テクノロジーとビジネスのダイナミズムWeb2.0時代のIT戦略【第1回】

1990年代より各ベンダーが参入し始めたITサービスは、現在、大きな変革期を迎えようとしている。Webサービスの普及による「ソフトウェア通信の標準」、そして新概念「Web2.0」が象徴する「オープンソース」。こうした新たな潮流を踏まえ、ITサービスの変遷とこれからのIT戦略を解説する。

2006年06月12日 09時30分 公開
[TechTarget]
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株式会社電通国際情報サービス

R&Dセンター 

飯田 哲夫氏

【専門分野:IT戦略】

金融分野におけるシステム開発、ソリューション企画に携わる。現在は、オープンソース関連のビジネス企画を中心に、新しいSIモデルの構築に取り組む。東京大学文学部仏文科卒業、マンチェスター・ビジネス・スクール経営学修士。


 「2.0」というキーワードがある。あまりにも短すぎてキーワードとも呼べないかもしれない。もともとは「Web2.0」という、Tim O’Reillyが提唱した言葉が始まりであるが、「エンタープライズ2.0」と言ってみたり、「SI2.0」と言ってみたり、「2.0」という概念だけが一人歩きを始めている。

 「Web2.0」とは、Web上で起きている新しいムーブメントを概念的に表現したものであり、参加型のコミュニケーションとコラボレーションの形態、そしてそれを活用したビジネスモデルを総称しているといえる。例えば、BlogやSNSでは、参加者の自発的な情報発信が、有意なコミュニケーションのネットワークを生み出した。また、参加者の発信する情報を収集して付加価値に転換する「Google」や「Amazon.com」は、Web2.0を代表するビジネス・モデルということになる。

 そして、「Web2.0」を企業のIT戦略という文脈の中でとらえたとき、BlogやSNSという直接的なことではなく、その参加型モデルともいうべき「2.0」的な概念が活用可能なのか、逆に活用しないことにリスクはないのかを検討するべきである。なぜなら、「2.0」的な発想のもとに成長を続けるオープンソース・ソフトウェア(OSS)は、すでに企業のIT戦略に組み込まれつつあり、ITベンダーのビジネスモデルに変革を迫りつつある現実があるからだ。

 また、企業自体は「2.0」とは程遠い領域にいたとしても、そこに属する社員は企業の枠組みを超えて「2.0」的なコミュニケーション・ネットワークの中で新しいイノベーションに参加しつつあるかもしれない。それを企業として活かせるか否かは、ネットワーク化された社会における企業の存在価値にも関わる問題となるだろう。

 こうした背景を踏まえ、本稿では3回に分けて2.0時代においてIT戦略とはどうあるべきかを議論してみたい。第1回は、序章としてテクノロジーとビジネスの関わりがどう変化してきたかを理解し、「2.0」という概念が突きつける課題を整理する。第2回は、「2.0」が可能とするオープン・イノベーションとそれを取り巻く新しいビジネスモデルについて、第3回は、そうしたオープン・イノベーションをどうすれば活用できるのかを検討する。

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