失敗しても大丈夫――ただし、日ごろのアピールが大切Column

企業はハイリターンの可能性を秘めた取り組みについては、進んでリスクを負うべきだ。ただし、行動を起こす前に、まず自社の状況をよく把握しておく必要がある。

2006年11月08日 07時00分 公開
[Shamus McGillicuddy,TechTarget]

 ハリウッドの映画会社は毎年のように、興行的な失敗作を出している。レコード会社も、誰も聴きたがらないようなアルバムを制作している。自動車業界も、ちっとも売れない自動車を生産したりしている。フォード社のエドセルなどは、その良い例だ。

 どの垂直業界であれ、企業が革新を目指す際には危険は付き物だ。企業は、何か新しいことに挑戦するときには失敗の可能性もある、という点を理解している。だがITの世界だけは、「失敗しても大丈夫」などと余裕に構えているCIOはめったにいないのが現状だ。

 石油ガス探鉱生産業を手掛けるPioneer Natural Resourcesの副社長兼CIO、トム・ハルバーティ氏は米情報マネジメント協会(SIM:Society for Information Management)が先ごろ開催したシンポジウムで講演を行い、「IT部門にとっての成功とは、価値を生み出すことだ」と語っている。

 そうした価値を生み出すためには、CIOはしばしばリスクを冒す必要がある。ビジネスの手法を革新しようとしているのであれ、新たにコスト削減を図ろうとしているのであれ、プロジェクトは常に失敗のリスクをはらんでいるものだ。

 もし経営陣が100%の成功率を期待しているようならば、CIOはその難しさを彼らに分からせる必要がある、とハルバーティ氏は指摘している。

 そしてプロジェクトが失敗したときには、経営陣にも理解しやすい形で失敗の背景を説明することだ。Pioneer Natural Resourcesでは、ITプロジェクトの失敗は「掘ってみたら、空であることが判明した鉱泉」の数と比較できるようになっている。そうした鉱泉は「たくさん」ある。

 「つまり、IT部門の成功率の方が会社の成功率よりも高いようなら、それで十分に評価できるということだ」とハルバーティ氏。そして、もしそういうことならば、IT部門のスタッフには、事務管理部門としての役割を果たすことよりも、むしろ革新的な取り組みを目指すよう、指導できる。

 「革新を正しく評価している企業は通常、革新を通じて価値を生み出している。コモディティ企業であれば、そうする代わりに、コスト削減を通じて価値を生み出すことになる」とハルバーティ氏。

関連ホワイトペーパー

CIO | CEO | ERP | 経営


ITmedia マーケティング新着記事

news079.jpg

狙うは「銀髪経済」 中国でアクティブシニア事業を展開する企業とマイクロアドが合弁会社を設立
マイクロアドは中国の上海東犁と合弁会社を設立。中国ビジネスの拡大を狙う日本企業のプ...

news068.jpg

社会人1年目と2年目の意識調査2024 「出世したいと思わない」社会人1年生は44%、2年生は53%
ソニー生命保険が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査」の2024年版の結果です。

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。