2008年04月23日 08時00分 UPDATE
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ERP導入事例:SAP ERP中小企業にSAP ERPは高根の花? “アドオン禁止”と“使い倒し”で導入実現

東向鉄工は、年商約24億円にして「SAP ERP」の導入を決断。ここでは、中小企業におけるERP導入後の効果やコスト問題をクリアするためのヒントを紹介する。

[谷川耕一]

計画生産のためにはERPが必要

 東向鉄工は1929年(昭和4年)創業で、事業は船舶関連の機器製造から始まった。現在は大型クレーンのミッションや油圧タンクなど、油の力で物を動かす油圧技術を核とした部品製造を中心にビジネスを拡大している。

 大型クレーンをはじめとする重機は、自動車のように大量生産されない。重機メーカーは自動車と同じように必要なものを必要なときに必要な数だけ生産するジャストインタイム方式を進めている。大型重機用部品の製造を行う東向鉄工も例外ではなく、重機メーカーの要求に合わせ、多品種少量生産をタイムリーに実現できなければならない。

 大型重機の納期は、変動的である上に長い。そして、その重機用部品の製造に必要な原材料の調達もまた、長い期間を要する。

mo_sap_higashimuki.jpg 東向鉄工 代表取締役社長 東向一彦氏

 「6カ月後に納品すべき部品の材料調達に、6カ月かかる場合があります。これでは、製造する時間がありません。材料は高価で貴重なものが多く、余裕を持って在庫するにも負担が伴います」と代表取締役社長の東向一彦氏は語る。

 多品種少量生産が求められる一方で、顧客のジャストインタイム方式にも対応しなければならない。この状況を打開するためには、きちんと需要を予測した計画生産が必要だ。しかし、この予測を人手で行うのは難しく、解決にはERPの力が必要だったというわけだ。

SAPが中堅・中小企業市場に注力すると予測

 東向鉄工は社員数100人、年商約24億円の企業だ。その東向鉄工が採用したのは、「SAP ERP 6.0 for Industrial Machinery & Components」(以下、SAP ERP)だ。会社規模から考えても同社は、「SAP ERPの導入にはまだ早い企業」と東向氏は言う。しかし、そう自覚しつつも導入に踏み切ったのには理由があった。

 東向氏は、同社社長に就任する以前はコンサルティングファームに在籍しており、SAP ERPやJD Edwards OneWorld、Oracle E-Business Suiteなど各種ERPアプリケーションの導入プロジェクトにも携わっていた。

 「わたしの過去の経験から言えば、SAP ERPはどちらかといえば汎用的で、全般的に能力はあるけれど際立って優れているところもない。そういうバランスの取れた製品でした」(東向氏)

 SAP ERPの採用を決定付けたのは、同氏が感じるSAPという企業の勢いだった。SAPは2007年ごろから、中堅・中小企業市場に向けた取り組みを強化していくと宣言している。実際、大企業向け市場は一巡した感があり、これ以上の売り上げを見込むためには新たな市場の開拓が必要とされていた。そうであるなら、中堅・中小企業向けのERP製品は確実に成長・熟成し、東向鉄工のIT戦略にも好影響をもたらすと考えたわけだ。

 「現時点で、いくら細かな機能が自社の要求にフィットしていたとしても、それが5年後、10年後にどうなっているか分からないのでは困ります。製品の将来性も考えた上でSAP ERPを選択しました」(東向氏)

ERPはベンダーが全勢力を傾けるべき製品

 多くの販売実績を持つオラクルのERP製品であっても、将来性の面で不安があったという。

 「ERPは、ベンダーが全勢力を傾けるべき製品と考えています。当時、オラクルはPeopleSoftを買収した直後で、『PeopleSoft商店』『JD Edwards商店』『Oracle E-Business商店』といった具合に複数の店舗が乱立する状態でした。これでは、オラクルのERPに対する方向性が見えてきません」(東向氏)

 ちなみにOracle E-Business Suiteは、製造分野でも生産設備などの確定系システムではフィットする印象を持っていたという。しかしながら、MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)の能力はSAP ERPの方が高く、同社の計画系システムには向かないと判断したという。

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