2008年05月12日 08時00分 UPDATE
特集/連載

ERP導入事例:JD Edwards EnterpriseOneコンサルタントがERPの導入を助け、カスタマイズの柔軟性がコストを抑制

オムロン ヘルスケアのERP導入を成功に導いたのは、コンサルタントの活用とカスタマイズの柔軟性にあったという。ここでは、導入リスクの低減とコスト抑制のためのヒントを紹介する。

[谷川耕一]

組織もITシステムも親会社から脱却

 オムロン ヘルスケアは、2003年7月にオムロンのヘルスケアビジネス部門が分離独立し設立された。親会社であるオムロンの主力商品は産業用機器である。一方、オムロン ヘルスケアの主力商品は一般消費者向けの健康関連機器で、親会社とは異なるビジネスを展開している。分社化の目的の1つは、それぞれが専門分野に特化することでフットワークを軽くし、市場の変化に迅速に対応することだった。

 分社化したとはいえ、当初のオムロン ヘルスケアは親会社であるオムロンのITシステムを借用していた。しかし、一般消費者向けのビジネスを展開するオムロン ヘルスケアにとって、主たる業務が企業向けであるオムロンのITシステムは、特に販売系のシステムで不便が生じていた。市場の変化への迅速な対応という面では管理会計に対するニーズも高まっていたが、オムロンのITシステムを借用している状況下ではその実現も難しかった。

mo_om_yamamoto.jpg オムロン ヘルスケア 経営統轄部 業務インフラ改革部 情報推進グループ長 マネージャー 山本広和氏

 そこで、親会社のITシステムから脱却し、名実ともに独立することが検討された。コストや時間を考えれば、今さら手組みでITシステムを一から構築することは考えられない。そのため、業務パッケージの導入という方向性はすぐに定まったという。しかしながら、オムロン ヘルスケアの山本広和氏は、システムのどの範囲までパッケージを導入すべきか悩んだという。

 「会計については、当初から新システムを導入するつもりでした。そうなると、会計と販売はセットで入れた方が都合がいい。さらに、管理会計も実現したい。残る生産管理はどうするか。生産管理だけを残すと、他システムとのインタフェースをすべて別に作らなければいけません」(山本氏)

 生産管理だけを残すと、オムロンの既存システムとの連携の仕組みが必要であり、それだけでもプログラムは相当な数に上る。開発にもかなりの工数が掛かることが予想され、そうなればコストもかさむ。将来、生産管理でもパッケージを導入するのであれば、いっそのことERPパッケージを導入すべきと判断したのだ。

ERPパッケージはカスタマイズの柔軟性で選択

 オムロン ヘルスケアの売上高は、2007年3月期の連結決算で657億円。ERPの導入を決めた2004年当時は約500億円だった。この事業規模においてSAP ERPはコスト的に大き過ぎ、その一方で、国産ERPは将来的に管理会計をグローバル化する目的もあって候補には入らなかったという。

 ERPの導入に際し、「業務をパッケージに合わせる」が基本方針に設定されてはいたが、ビジネスの変化に応じて継続的なカスタマイズが発生することも予想されていた。そのため、柔軟にカスタマイズできるパッケージを選ぶ必要があった。

 「ビジネスプロセスを少し変更したい。あるいは新規事業を始める。そういった際に、自分たちでシステムを変更できるものが欲しいと考えていました」(山本氏)

 これらの条件を満たすものとして選ばれたのが、JD Edwards EnterpriseOne(以下、JD Edwards)だ。2004年当時、オムロン ヘルスケアは海外に8つの拠点を持っており、中でも米国と欧州ではJD Edwarsを導入済みだった。そのため、価格が手ごろでカスタマイズが容易であることは実証済みだったという。

 また、2004年時点の国内におけるJD Edwordsの利用実績は、IBMのPower Systemsシリーズではあったもののオープン系システムではほとんどなかったという。そのため、パフォーマンスについては不安が残っており、日本オラクルにコンサルタントとして参画してもらい解決することになった。

コンサルタント離れのいいパッケージを選ぶ

 導入プロジェクトに掛かったコストの割合は、ERPパッケージのライセンス費用が1、他システムとの連携インタフェース構築費用が1、コンサルタント費用が2、ハードウェアなどのシステム環境費用が1、というものだった。ERPパッケージの導入で最も苦労したのは、「プロジェクトの進ちょく状況の把握」だったと山本氏は言う。

 「パッケージだけに画面は出来上がっており、システムもすぐに動作しました。しかし、パッケージの導入に不慣れなこともあって、その動きが正しいかどうかの検証に時間がかかりました」(山本氏)

 プロジェクトを適切に管理するために、コンサルタントの力も大いに借りた。その結果、コストに占めるコンサルタント費用の割合は大きなものとなった。ERPパッケージを導入したとはいえ、人事システムはオムロンのものを継続利用。さらには、オムロンとの共同購買体制やメインフレーム系システムとの連携も必要だった。開発コストの多くは、この部分に投入されたという。

 ITシステムへの投資全般についていえることだが、コスト削減のためには初期導入コストだけでなく運用コストにも目を向ける必要がある。つまり、「コンサルタント離れのいいパッケージを選ぶこと」だと山本氏は指摘する。

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