ITサービスに対するユーザーの期待値は、業務やシステムによってさまざまに異なる。これをあらかじめ正確に把握し、ユーザーとSLAを締結しておかないと、ゆくゆくは痛い目に遭うかもしれない。
前回「システム運用管理の理想形はラーメンチェーン店?」では、より安定したITサービスを提供するためには「システム運用の平準化」が必要だという話をしました。可視化されたサービスの平準化が行えるようになると、たとえ担当者が変わったとしても提供するサービスの品質を維持することができ、顧客の満足度も向上します。
さて今回は、可視化されたサービスの平準化が進むと必ず顧客から要求される「サービスレベル」というものについて話してみたいと思います。
そもそも「サービスのレベル」って何でしょう? 本連載の第1回「運用管理に『コーン入りしょうゆラーメン』の発想を」では、「サービス」とは「売り買いした後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のこと」だと説明しました。すなわち、そのサービスの受け手が「便利」だとか「うれしい」と思うようなものでなければいけません。では、どうすれば受け手はうれしいと思うのでしょうか?
例えば、いつも食べ物の話ばかりで恐縮ですが、宅配ピザを頼んだときに30分のお届けで満足してくれる人もいれば、15分のお届けじゃないと満足しない人もいます。共通しているのは、それぞれサービスに対する満足度の判断基準を持っているということです。つまり、うれしいかどうかを決めるのは常にそのサービスを受ける側であり、この判断の基準が「サービスのレベル」だということになります。
ITサービスでは、ITILでも重要視されている「SLA(Service Level Agreement)」というサービスに対する考え方があります。“Service Level Agreement”をそのまま日本語に訳すと、「サービスレベルの合意」となります。要するに、「サービスの提供者と利用者との間での、サービスレベルについての合意事項」だということです。
具体的には、
などといったように、サービスレベルの内容について具体的かつ数値化した項目を定義します。また、それぞれの数値の計測方法もきちんと定めておきます。ちなみに弊社インフォリスクマネージの場合は、現状のサービスレベルを数値として正確に把握するために、アラートの検知から対応作業の開始・終了、電話連絡、メール送信までの時間をそれぞれすべて計測し、統計化しています。
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