ERPの導入は従業員の仕事のやり方の大幅な変更を伴うため、効果的で実践的なトレーニング方法を入念に計画することが重要だ。
ERPの導入を成功させるには、従業員のトレーニングが不可欠だ。ERPの導入は従業員の仕事のやり方の大幅な変更を伴うため、大規模なシステム導入の一環として従業員のトレーニングを位置付けなければならない。
しかし現実には、企業でのERPのトレーニングは必ずしも効果を上げていない。エンタープライズシステムのトレーニングの取り組みでは、操作方法の習得に主眼を置いたものが多いが、これは誤りだ。また、ERPトレーニングコースの多くは「変更内容を従業員が理解しやすい状況に関連付ける」「時間をかけて徐々に変更を適用する」「さまざまな学習スタイルに応じて複数のトレーニング方式を提供する」といった重要な目標を達成できていない。
ERP導入トレーニングの取り組みには、以下の6つの重要なポイントを盛り込む必要がある。
ERPソフトウェアメーカーは一般に、システム上で処理を実行する方法を説明するマニュアルを作成したり、ユーザーをトレーニングしたりするのは得意だ。しかし業務の処理は、システム上で処理を実行すればそれで終わりというわけでは決してない。ERPのトレーニングコースでは、システムで新たな処理を実行する方法を教えるだけではなく、従業員が日常業務を処理する状況に即した知識を提供しなければならない。
新しいERP環境への移行に当たっては、現行のビジネスプロセスをお払い箱にしたいという誘惑に駆られる。しかし、従業員は従来の業務手法に関連付けて理解しようとするため、新しいプロセスと現行のプロセスとの対応を示すことが、従業員が新たな環境に移行する手助けとなる。また、現行プロセスとの関連付けは、従業員に関係する重要な変更部分を明確化することにもなる。
学習方法は人によって異なり、従業員の認識と行動を変えるには、反復学習と複数の学習手段が必要になることも多い。米Panorama Consulting Groupの調査によれば、大抵のERP導入事例では授業形式のトレーニングが採用されているが、新しいERPシステムを導入する企業の多くは、チートシート(トラの巻)、ユーザーマニュアル、Webベースのチュートリアル、体験型シミュレーションといった効果的な学習ツールを活用していない。変更を確実に定着させるには、正式なトレーニング以外にもさまざまなトレーニング手段を活用する必要がある。
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