日立、ストレージ階層の仮想化を実現するディスクアレイシステムNEWS

日立がハイエンドディスクアレイシステムの新機種と運用管理ソフトの新版を発表。ストレージ階層を仮想化し、運用管理の簡素化・自動化でストレージのTCOを約30%削減する。

2010年09月29日 19時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 日立製作所(以下、日立)は9月28日、ハイエンド向けディスクアレイシステムの新機種「Hitachi Virtual Storage Platform」(以下、VSP)とストレージ管理ソフトウェアの新版「Hitachi Command Suite 7」を全世界で販売開始すると発表した。

photo Hitachi Virtual Storage Platform

 VSPは基幹システムやデータセンターなどで利用できるディスクアレイシステム。最大搭載HDD数1024台(3.5型ドライブ)、キャッシュメモリの最大容量は256Gバイト。コントローラーの強化によってプロセッサーのデータ処理量を平準化でき、従来製品と比較してシステム性能を約2.3倍向上させた。また、新たに2.5型のSSD/SAS HDDの搭載を可能にし、消費電力を従来製品と比べて約50%低減するという。

 VSPではストレージ階層の仮想化を実現するソフトウェア「Hitachi Dynamic Tiering」を活用することで、SSDやSAS、SATAなど異なる記憶媒体が混在する環境でもデータのアクセス頻度に応じて、最適なリソースプールへデータを自動的に割り当てることが可能。例えば、アクセスが集中するデータは高速処理が可能なSSD階層へ、未使用データは低コストで大容量保存が可能なSATA階層へと自動的に配置できる。

 さらにHitachi Dynamic Tieringではストレージの管理単位である論理ボリュームよりも小さい42Mバイトのブロック単位で監視・制御が可能。同社は、ほかのストレージシステムとの差別化ポイントとして、管理対象となるデータの粒度の細かさを挙げている。

photo ストレージ階層仮想化機能「Hitachi Dynamic Tiering」
photo 日立の情報・通信システム社RAIDシステム事業部長 岩崎氏

 日立の情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長 岩崎英彦氏は「企業内のデータアクセスの50%が5%のストレージ領域に集中するなど、データアクセスの大部分が一部のストレージ領域に偏っている」と指摘。データを自動的に最適な記憶媒体へ格納する機能を活用することで「運用管理の自動化とコストパフォーマンスの最大化を実現できる」と説明した。

 VSPでは、ユーザーのシステム要件やニーズに合わせて柔軟にシステムを拡張する「3Dスケーリング構造」を採用。ストレージに搭載するプロセッサーやポート、HDDなどの要素を独自に追加する「スケールアップ」、ストレージ処理を担うコントローラー2台を連結させて大規模なデータセンター環境などに拡張する「スケールアウト」、既存資産である他社のストレージなどの異機種との接続や統合管理が可能な「スケールディープ」などにで、システムを拡張できる。VSPと異機種ストレージと接続では最大255Pバイトまで容量を拡張でき、その管理も可能。VSPの販売価格は7715万2950円から、Hitachi Dynamic Tieringは220万5000円からで、10月4日に出荷開始する。

 Hitachi Command Suite 7は、ストレージ階層仮想化機能と連携して、従来製品の約40倍となる100万個のボリュームを1台で管理可能。ダッシュボードの活用により、ストレージ利用・構成状況の把握、アラート監視などを実施できる。

 日立は同時にストレージ仮想化機能を活用したシステム構築・運用サービス「Hitachi Virtual Storage Service」を発表した。仮想化機能や新製品の導入効果を可視化して、その効果的な活用を支援するというサービスで、製品の導入検討からコンサルテーション、設計・構築、運用に至るまでの4つのサービスで構成する。

photo ストレージサービス「Hitachi Virtual Storage Service」
photo 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 小菅氏

 日立の情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 小菅 稔氏は「必要なデータを即時活用でき、環境変化に対応し、競合力強化・ビジネス拡大を実現するソリューション“One Platform for All Data”をコンセプトに掲げて、今後もクラウド環境に対応する高付加価値ソリューションの提供を目指す」というストレージソリューション戦略を発表した。また、小菅氏は「サーバ仮想化システムの導入が進み、画像や動画などの非構造化データへの対応などで、今後さらにストレージ仮想化へのニーズが高まる」と説明した。

photo 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEO 佐久間氏

 さらに、同社の情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEO 佐久間嘉一郎氏は「ストレージソリューション事業の売り上げを2009年度の3040億円から、2015年には4000億円まで拡大し、海外売上比率を2009年の8割から2015年度には9割まで伸ばす」という成長戦略を発表した。

 日立は経営戦略において、社会イノベーション事業に注力することを掲げており、ストレージソリューション事業を同社の情報通信基盤「DATA DRIVES OUR WORLD」の中核として位置付けている。

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