PHR実現をけん引する携帯端末向け健康情報管理サービスEHRと並ぶ医療情報の電子化基盤「PHR」

携帯端末を活用して日々の体調や運動履歴を記録する健康管理サービスの利用が広まっている。本稿では、国内で提供されている主要な携帯端末向けサービスを紹介する。

2011年01月11日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

医療情報の電子化2つの基盤:「EHR」「PHR」

 日本政府のIT戦略本部が中心となって進めている「地域医療連携ネットワーク」構築。その実現のためには、病院の電子カルテシステムなどに記録されている診療情報を複数の医療機関で共有する仕組みである「EHR(Electronic Health Record)」の構築が不可欠だ。

 医療情報の電子化基盤として、EHRとともに挙げられるのが「PHR(Personal Health Record)」である。PHRでは一般の人がWebサービスなどを通して、自身の健康・医療情報の入力や検索などが可能となる。そのため、“患者主導”による医療情報の電子化の仕組みといえる。

 個人向けの健康情報管理サービスの代表例としては、米国Googleの「Google Health」や、米国Microsoftの「Health Vault」などが挙げられる。これらのサービスがEHRと連携することで、健康・医療情報の共有化や医療の質の向上にも役立つ。

 また、PHRでは体重計や血圧計、歩数計といった家庭用医療機器との連携や携帯電話からのデータ取り込みなども可能で、身長や体重、血液型などの基本情報や既往歴、服用中の薬、アレルギーなどの情報を個人で持ち運びしやすいというメリットもある。現在、PHRに関連した健康管理サービスが登場しており、特に携帯端末向けサービスが広く利用されている。本稿では、国内における携帯電話を活用するPHR関連サービスを紹介する。

主要な携帯キャリアに対応するPHR関連サービス

 まずは、国内の主要な携帯電話キャリアに対応するPHR関連サービスを紹介する。これらはPC用と携帯用の両方のポータルサイトを持っていたり、連動したりする。

PHR関連サービス
サービス名 提供企業 概要 対応キャリア
からだログ モバイル版 NTTレゾナント 自身の健康に関するさまざまな項目を記録するだけでなく、会員個人の専用ページを作成して友人を招待したり、共通のテーマを持つ会員とコミュニケーションできるSNS機能を持つ NTTドコモ、au、ソフトバンク
健康創造館 スズケン 「ダイエットシミュレーション」や「ダイエット日記」など日々の体調情報の入力やそのシミュレーション、病状の予測診断ができる「カラダ部位別チェック」などを利用できる NTTドコモ、au、ソフトバンク
ヘルスプラネット タニタヘルスリンク 体組成計や歩数計、血圧計などの測定データを専用のリレー端末を介して、データベースへ転送し、PCや携帯端末などから確認できる「からだカルテ」の携帯版 NTTドコモ、au、ソフトバンク
メタボリック・ダイエット 日本ケアサプライ メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)の改善を手助けするサイト。朝・夕の体重や1日の歩数を入力し、体重の増減を自己管理することで生活習慣病予防につなげる NTTドコモ、au
マイライフ手帳 ヒューマン・データ・ラボラトリ 携帯電話を使って生活習慣や健康補助食品(サプリメント)の摂取量などを記録・管理する。2010年12月にSNS機能を追加してリニューアルした NTTドコモ
ルナルナ エムティーアイ 生理日予測やダイエットサポート機能などを提供する女性向け携帯サイト NTTドコモ、au、ソフトバンク(※ iPhone対応バージョンも有り)

 また、国内の携帯キャリアは自社の通信網を活用したPHR基盤の提供を進めている。ここからは各キャリアの動向を紹介する。

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