異業種との協業で地域医療連携の新ニーズを開拓 日本HP地域医療連携ソリューション紹介:日本HP

医療機関に対する最上流からの一貫したシステム提供を手掛ける日本HP。同社は医療機関に加えて、異業種における地域医療ネットワークの利用拡大に取り組んでいる。

2012年06月18日 09時00分 公開
[岡崎勝己]

“院内業務の可視化”と“地域医療連携”の双方を強化

 米Hewlett-Packardは、医療分野でのコンサルティングに強みを持つITサービスプロバイダー、Electronic Data Systems(EDS)を2008年に買収して以来、医療機関向けの提案活動をグローバルで加速させている。これを受け、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)も国内の医療市場の開拓に向け、以下の2つの分野での提案を進めている。

  1. 「デジタルホスピタル」による業務変革で医療経営を見える化
  2. 「HIE(Health Information Exchange)」による医療情報連携の促進

 デジタルホスピタルとは、医療情報を迅速かつ的確に活用するためのITインフラの提供を目指す取り組み。その狙いは、院内業務を可視化することで病院経営を改善することにある。例えば、患者情報を医療従事者間で広く共有できれば、患者に対する効果的なケアによって医療の質を向上させ、サービス提供や診断の効率化が可能になる。それらを通じて、病院経営の高度化も促すことができる。その実現には、患者や職員間でのリアルタイムコミュニケーションや医師の診療支援のための医療画像の高速な解析、各種データのセキュリティを確保するためのシステムや技術などを用いる。

HIEでマルチベンダー環境の地域医療連携を支援

 HIEとは、異なるネットワークやシステム間で診療情報などを共有化するための医療情報交換の仕組みを指す。HIEの構築を通じて目指すのが「ベンダーに縛られないデータ連携の実現」である。地域医療連携では医療機関間をまたいだデータ連携が不可欠だが、同じHL7規格の電子カルテでもデータの保存形式がベンダーによって異なるため、情報連携が困難になるケースもある(関連記事:医療分野におけるメッセージ交換の標準化規格「HL7」)。また、医療システムの種類は多岐にわたり、それらの接続に多額のコストを要することが課題に挙げられる。事実、特定ベンダーによる小規模かつ閉ざされた地域医療ネットワークが少なからず存在し、そこに参加する医療機関はこれまで特定ベンダーの製品に縛られざるを得なかった。

 一方、HIEでは医療情報の標準規格「IHE」(Integrating the Healthcare Enterprise)などをベースにした医療情報連携フローの実現を目指す。これにより、マルチベンダー環境でもデータ交換が容易になり、これまでの課題を抜本的な解決することもできるという(関連記事:「地域医療連携」を活用したビジネスモデルの創出)。

photo 日本HPの宇佐美氏

 日本HPのエンタープライズサーバ・ストレージ・ネットワーク事業統括 エンタープライズシステム営業統括本部 ビジネス企画部で公共・医療担当部長を務める宇佐美茂男氏は、「現在、地域医療連携のための標準化は政府主導で進められているが、その完了には少なからず時間を要す。HIEは、地域医療連携の円滑な普及を支援するためのデータ連携プラットフォームに位置付けられる」と説明する。

 現在HPではベンダー各社と仕様書を公開して共有するなど、グローバルでのIHEインタフェースの開発を進めている。こうしたノウハウを生かし、さらにクラウドの採用による低コスト化を訴求することで、HIEの利用拡大を同社は目指すという。

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