今後導入したいデスクトップ仮想化製品、XenDesktopを抑えVMware Viewが躍進デスクトップ仮想化に関する読者調査結果リポート

TechTargetジャパンは9月にデスクトップ仮想化に関する読者調査を実施した。今後導入したいVDI製品では、導入済み製品首位のXenDesktopを抑えVMware Viewが人気を集めた。

2012年10月29日 08時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパンでは2012年9月3日から9月18日にかけて、会員を対象に「デスクトップ仮想化」に関する読者アンケートを実施した。本稿では、調査結果の一部を紹介する。全ての結果を記載したリポートは文末のリンクから会員限定でダウンロードできる。

 なお、本調査では、デスクトップ仮想化をVDI(Virtual Desktop Infrastructure)とDaaS(Desktop as a Service)の2種類に分類して調査した。それぞれの定義は以下の通り。

  • VDI(Virtual Desktop Infrastructure)

ユーザーのデスクトップPC環境(OS、データ、アプリケーションなど)の全てを企業内に構築したサーバ側に集約し、ユーザーごとの仮想PC環境を作成する技術のこと。ユーザーはPCやスマートフォンなどさまざまな端末からリモートアクセスできる(関連記事:デスクトップ仮想化の仕組みとメリット)。

  • DaaS(Desktop as a Service)

DaaS事業者のデータセンターに構築された仮想PC環境を月額単位で利用できるサービス。仮想PC環境のリソースは柔軟に変更可能であり、サービス開始/解約も可能(関連記事:VDIよりクラウド型仮想デスクトップ「DaaS」がオススメな理由)。

調査概要

目的:TechTargetジャパン会員のデスクトップ仮想化導入について調査するため

方法:Webによるアンケート

調査対象:TechTargetジャパン会員

調査期間:2012年9月3日〜9月18日

有効回答数:215件

※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります


VDIの導入率は2割、検討する割合は4割以上

 まずはVDIの導入状況を見てみよう。試験導入を併せても既に導入している人の割合は21.9%。情報を収集したり、導入候補の製品を評価するなどの検討をしている人の割合は46.6%だった。

VDIの導入状況(有効回答数=206)

 これらの数値は、2011年10月に実施したデスクトップ仮想化(VDI)に関する調査結果と比べてもほぼ横ばいである(2011年調査リポート:約3割が導入に前向き、デスクトップ仮想化(VDI)が選ばれる理由)。ちなみに、2011年10月の調査では、試験導入を含めた導入済みが20.6%だった。

今後導入したいVDI製品ではVMware Viewが躍進

 続いて、現在導入しているVDI製品と今後導入してみたいVDI製品の結果はどうだろうか。

 現在導入しているVDI製品では「XenDesktop」(17.7%)が最も多いことが分かった。一方、今後導入したいVDI製品では「VMware View」(42.6%)が伸びている。

現在導入/試験導入しているVDI製品と、今後導入したいVDI製品(有効回答数=141)

 VMware Viewは2011年にVMware View 5にバージョンアップし、3Dグラフィックス向け機能の追加やセキュリティ、管理機能の強化、VoIP対応など、利用者および管理者にとって役立つさまざまな機能が追加・強化された(関連記事:3D対応やVoIPも実現、VMware View 5の新機能とライセンス)。こうした製品の進化を受けて、ユーザー企業での導入意向が高まっているのかもしれない。

VDIの導入や運用に関する懸念

 VDIの導入や運用に関する懸念や問題点として多かったのは、「ネットワークの速度」(53.4%)、「費用対効果」(52.9%)、「ライセンスコスト」(50.5%)だ。

VDIの導入や運用に関する懸念や問題点(有効回答数=206)

 ネットワークの速度に関しては、エンドユーザーが利用した際の通信速度を懸念していると考えられる。

 VDIでは、Windows端末から仮想デスクトップを使う場合でも、ソフトウェアアシュアランス(SA)もしくはVDI用のデスクトップOSライセンス「Microsoft VDA(Virtual Desktop Access)」が必要となる。自由回答では、マイクロソフトのライセンスが高すぎるといった意見があった。また、ハードを含めたコストの関係で、従業員に十分なVDIライセンスを付与できていないといった声も挙がった。

DaaSの認知度はまだ低め

 最後に、DaaSの導入状況に触れておきたい。VDIと違い、インフラを自前で持たなくてもいいDaaSは、初期費用の安さや、導入・運用管理の手間が軽減される点などで魅力的だ。調査結果では、「導入、検討ともにしていない」(56.0%)が最も多く、次いで「情報収集をしている段階」(35.5%)が多かった。

DaaSの導入状況(有効回答数=200)

 DaaSはまだ認知度が低く、具体的な検討段階には入っていないようだ。VDIの次のステージとしても期待できるため、今後も注目していきたい。


 その他、調査では「VDIを導入しない理由」や「DaaSに期待すること」などについて聞いた。詳細なアンケート結果は、以下からダウンロードできる(TechTargetジャパン会員限定)。

TechTargetジャパン会員を対象にした「デスクトップ仮想化に関する読者調査」を実施。本リポートでは、デスクトップ仮想化の状況や導入済みの製品、課題、期待することなどをまとめている。

調査結果リポートのダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

 本稿では紹介しきれなかったさまざまなアンケート結果とともにアンケート回答者の詳細な属性も紹介されている。ぜひ参照されたい。

ITmedia マーケティング新着記事

news038.jpg

生活者の生成AI利用動向 10代後半はすでに5割近くが経験――リクルート調査
テキスト型生成AIサービスの利用経験者の割合は若い年代ほど高く、特に10代後半はすでに5...

news108.jpg

今度の「TikTok禁止」はこれまでとどう違う?
米国ではまたしてもTikTok禁止措置が議論されている。これまでは結局実現に至らなかった...