創業60年の老舗企業3代目社長が挑む、Salesforceを使った業務改革Sales CloudとSkyOnDemandの事例

親子で3代続く自動溶接装置のメーカー三葉電熔社は、創業60年来の手書き帳票スタイルを「Sales Cloud」「Amazon EC2」そしてEAIツールの「SkyOnDemand」でクラウド化した。目指すのは従業員のマインドチェンジだ。

2013年11月27日 08時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 自動溶接装置メーカーの三葉電熔社は、創業60年以上も続く老舗企業だ。溶接機器や溶接ロボット、さまざまな溶接材料を組み合わせて、自動車の排気マフラーなどの部品を溶接する機械装置(産業用ロボットシステム)を製造・販売する。主要顧客は三恵技研工業などの自動車部品メーカー。機械装置は1台ごとに特注で、制作には数カ月から半年を要する。価格も数千万円は下らない。制作に当たっては高度な専門知識と熟練した技術が求められることは想像に難くない。

図1 自動溶接用ロボットシステムを製作プロデュース(出典:三葉電熔社)

 三葉電熔社は本社を東京都文京区に置き、国内に3拠点を構える。同社の従業員数は15人。本社勤務の経理担当以外は、全て拠点で勤務する営業担当である。当然、IT部門などない。

三葉電熔社 代表取締役社長 尾崎 洋氏

 同社の3代目に当たる尾崎 洋氏は、5年前に突如、父親の後を継ぎ社長として入社する。そこで目の当たりにした課題は、“この道、何十年”という熟練した営業担当のスキルに依存した業務プロセスと、アナログな管理手法だ。高度な専門知識とノウハウが不可欠な商材であるが故に、顧客からも話が通じやすい“前回と同じ”営業担当が指名されやすい。見方によっては顧客からの信頼が厚い証拠といえる。一方で、人に依存するやり方は、仕事の進め方も属人的にならざるを得ない。その担当者がいなければ仕事が進まない、他の担当者との情報交換がなされないことを意味する。また、納品書、支払い帳、売り帳、入金管理表、支払い予定表など、ほとんどが手書きで行われており、案件の進捗について誰かと共有するという体制にはなかった。

 創業以来、各営業担当は20年、30年という長い年月をかけて商品についての知識を蓄え、自分の顧客は自分で囲い込むというスタイルを貫いてきた。だが、これでは営業担当同士はおろか社長も業務内容を把握できない。こうした状況を変えるべく、同社のIT導入がスタートした。営業支援ツールを導入し、情報を1カ所に集め、案件管理・顧客管理の透明化と情報共有を目指す。

 だが、この考え方に社内からの反発は予想以上に大きかった。IT化することは、営業担当の仕事のやり方を大きく変えることにつながるからだ。「ライバルと情報共有する意味はあるんですか?」。競争心から、そういった反発があったという。

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