医療・医薬品分野のスマートデバイス活用が分かる3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

医療・医薬品分野で急速に進むスマートデバイスの業務活用。気になる運用コストやネットワーク運用時の注意点などを解説したホワイトペーパーを紹介する。

2014年01月24日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 医療・医薬品分野のIT化トレンドの1つに「スマートデバイスの活用」が挙げられる。病棟や院内を移動する際に従来のPDA端末の代替として持ち歩いたり、在宅医療の現場では患者宅や移動中でも必要な診療情報を閲覧・入力したりするなど、その用途は増える一方だ。本稿では、医療・医薬品分野でのスマートデバイス活用を解説した3つのホワイトペーパーを紹介する。

iPadよりも運用コストを59.7%削減できるWindowsタブレット

photo 提供:デル(21ページ)

 医療分野で広く浸透しているスマートデバイス。一方で、個人情報の漏えいのリスクや運用管理の負荷などを理由に、スマートデバイスの導入をためらう医療機関も多いという。

 このホワイトペーパーでは、iPadと比べてセキュリティ機能が充実し、運用コストを抑える工夫を凝らしたデバイスとして、Windows 8搭載タブレット「DELL Latitude 10」を提案。第4世代のiPadとのコスト比較分析の結果を紹介している。

 具体的には、250台のタブレット製品を導入して3年間運用するケースを想定し、タブレットの配備やプリンタのセットアップ、ソフトウェアアップデート、バッテリーなどの項目で1デバイス当たりの管理費や必要な追加ハードウェア費などを比較。その結果、DELL Latitude 10の方がiPadよりも運用コストを59.7%削減できると試算する。また、デバイス250台使用の場合の管理タスクにかかる想定時間なども検証。「Microsoft System Center 2012 Configuration Manager(SCCM)」による管理が可能であるなどをメリットに挙げ、「数百台規模の大規模導入でも短時間で効率よくできる」と結論付けている。

 その他、スマートデバイス導入における運用管理面の注意点などを解説している。スマートデバイスの試験導入を検討している担当者の参考になるだろう。

院内の無線LANの「遅い」「切れる」という悩みを解消した病院の取り組みを紹介

photo 提供:シスコシステムズ(4ページ)

 スマートデバイス活用とともに、病院での普及が進む無線LAN環境。病院業務の根幹を支えるため、そのネットワーク基盤には高いパフォーマンスと安定性が求められる。しかし、院内には各種医療機器や外部からの持ち込み端末など電波発生源も多く、電波干渉によって無線LANの通信速度や通信の安定性を妨げる要因も存在する。また、システム管理者の無線LANに関するスキルが不十分な場合、アクセスポイントの適切な設計・配置やトラブルが発生した際の原因切り分け・対応が難しくなることもある。

 このホワイトペーパーでは、社会医療法人 孝仁会の釧路孝仁会記念病院が実施した無線LAN環境の再構築の事例を紹介している。同病院では6階建ての病棟の2、3階に無線LANを敷設し、ノートPCと無線で通信することで病室から電子カルテやオーダリングシステムにアクセス可能なネットワーク環境を構築していた。しかし、回診中に通信が切れてしまうことが多く、さらに通信速度が不十分という問題も抱えていたという。

 同病院では無線LANの高速性と安定性を高めるため、シスコシステムズの無線LANソリューションを導入し、安定的な高速通信や電波干渉の検知、電波の自律的な最適化、電波環境の可視化などを実現。また、BYOD(私物端末の業務利用)を見据えて、セキュリティを確保したネットワーク基盤を構築したという。同病院の情報室室長が「スピード、安定性、セキュリティの三拍子がそろった、病院向けのネットワークとして1つの完成形ではないか感じている」と語るほどのネットワーク環境とはどのようなものだろうか。無線LANの運用保守に課題を抱えている管理者にお勧めのホワイトペーパーだ。

MR、学術担当者 約1700人にiPadを配布し、膨大な医薬品情報を管理

photo 提供:インフォテリア(12ページ)

 このホワイトペーパーでは、医薬品・医薬部外品の製造販売を手掛けるエーザイのスマートデバイス導入事例を紹介している。

 2011年、エーザイは医薬情報担当者(MR)が所有する携帯電話が入れ替えの時期を迎えたのを契機に、同社のMRと学術担当者約1700人にiPadを配布。エーザイでは、クライアントPCと比較して「すぐ起動できる」「見やすい」「バッテリーが長持ち」である点をiPadの特徴に挙げている。

 MRが医療関係者に提供する情報(医薬品情報)は、製品情報に加えて病気などの関連情報も多く、数十万規模の件数になる。こうした医薬品情報を適切に管理するため、インフォテリアのモバイルコンテンツ管理システム「Handbook」を導入。Handbookによって更新頻度が高い膨大な情報をカテゴリ分けして整理し、配信している。その他、iPadとHandbookを組み合わせた事例として、野村証券や橋本総業、九州大学、名古屋文理大学など6社の使い方を紹介している。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介など医療ITに関するホワイトペーパーや製品カタログを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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