XP以上に深刻、「Windows Server 2003」が放置できない本当の理由問題はセキュリティリスクだけではない

Windows Server 2003サポート終了は、セキュリティ対策のための単なるOS移行ではない。企業とITを競争力ある存在へと変革する絶好の機会なのだ。移行の仕方を間違えると、こうしたメリットが得られないまま終わってしまう……。

2014年06月13日 17時00分 公開
[提供:デル株式会社]

 2015年7月14日、「Windows Server 2003」の延長サポートが終了する。Microsoftのセキュリティアップデートが行われなくなるため、そのまま利用する場合には安全性に大きな問題を抱えることになる。

 IDC Japanの調査によれば、国内で36万台のWindows Server 2003サーバが稼働しているともいわれている。Windows Serverの中では28.2%という数字である。

 企業システムの場合、セキュリティやハードウェアの耐用年数などを考慮すれば、10年以上も全く同じマシンを使い続けることは考えにくい。にもかかわらず、これだけWindows Server 2003マシンが残っているのはなぜだろうか。そこには、ユーザー企業個々にWindows Server 2003マシンを手放せない事情があるのだ。

 一方で、Windows Server 2003からの移行先である「Windows Server 2012」には、単なるサーバOS移行以上の価値があるのも事実だ。しかし、そのことに気が付かず、単純にサーバおよびサーバOSだけをリプレースしては、本当のメリットを享受できないまま終わってしまう。この記事では、多くのユーザー企業がWindows Server 2003マシンから移行できない事情を踏まえ、Windows Server 2012の本当のメリット、スムーズな移行方法のヒントについてまとめた。

Windows Server 2003は自社のどこにある?

 クライアントOSであるWindows XPの場合、組織によっては社内のPCが全てWindows XPマシンだったというケースもある。大量の古いクライアントマシンを、どのようにリプレースするかというのが経営者やIT担当者の課題であった。

 一方、全てのサーバがWindows Server 2003のままである組織はまれだ。企業の成長やビジネスの変更に合わせて、徐々にシステムを導入していくのが一般的である。特に、ミッションクリティカルなシステムや多くのユーザーが使用するシステムであれば、早い段階で最新のシステムに乗り換えているだろう。デル インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス本部 コンサルティング部 部長の高橋 明氏は、Windows Server 2003を取り巻くユーザー企業の状況について次のように述べる。

デル 高橋 明氏

 「古いシステムを使い続けている理由はユーザーによってまちまちです。そのサーバでどのようなアプリケーションを動かしているのか、どのような役割を担っているのか、全く異なるからです」(高橋氏)

 まず1つ考えられるのは、何らかの役割を持っているものの、使用頻度が非常に小さい情報システムだ。例えば、部門などで何らかの数値を集計するために月に1回や四半期に1回だけ稼働させるシステムが挙げられる。

 さらに、自社やソフトウェアハウスなどで独自に開発したアプリケーションを搭載しているために、同じサーバをずっと使い続けているというケースも多い。OSをアップグレードしようにも、当時の開発者がいなかったり、開発資料すら残されていなかったりするからだ。

 経済的な理由も考えられる。当時最新であったWindows Server 2003を導入した後、2008年のリーマンショックの影響でIT予算を凍結されたため、本来ならば入れ替えすべきタイミングであったところを、やむを得ず使い続けていたというケースもあるだろう。

 もう1つ、状況を難解にしている問題がある。Windows Server 2003が登場したのは、リーマンショック以前の経済状況であり、多くの企業がITに大きな予算を投じていたころだ。高橋氏によれば「情報システム部門を通さずに、ユーザー部門がサーバマシンをどんどん購入できていた時期」だったという。そうしたIT部門が把握していない“部門サーバ”が、現在も個々のオフィスに放置され、ひそかにネットワーク接続されている可能性は高い。

古い仕組みを捨ててワークスタイルを変革するチャンス

 システム担当者にまず実施していただきたいのは、サーバ資産の棚卸しを行うことである。

 「Windows Server 2003サーバが、どこで、どのくらい、どのようなユーザーが、どんな頻度で、何の業務に使っているのか。それを正しく把握することが最も重要です」(高橋氏)

 Windows Server 2003サーバが、全くのスタンドアロンで稼働しているというケースはまれであろう。ネットワークに接続されていたり、いずれかのユーザーがログオンして使用したりするものであれば、サポート切れによって全社的なセキュリティホールを発生させる恐れがある。

 「そうしたシステムの中には、さまざまなカスタマイズを施し、業務の中に溶け込んで、もはや手放すことができないというものもあるでしょう。しかし、ここで新しい視点を持っていただきたいのです。つまり、そのシステムで実施している業務自体の棚卸しも行って、ワークスタイルそのものを見直すということです」(高橋氏)

 Windows Server 2003が登場したころは、仮想化技術は企業に受け入れられるような状況ではなかったし、クラウドという考え方も、スマートフォンというデバイスも登場してはいなかった。しかし今では、仮想化技術で複数のサーバを1台のマシン上に配置してクラウドを構築し、スマートフォンからクラウド上の業務システムへアクセスすることが一般的になっている。そうした技術革新、業務改革が起きている中で、レガシーなシステムをいつまでも残しておくことにメリットはあるのだろうか。

 「古いシステムに依存している業務そのものに疑問を呈し、ゼロベースで考え直すべきです。シンプルで分かりやすい業務に変更し、誰もがどこからでも安全にアクセスできるシステムに乗り換えてしまうのです。むしろ今回のサポート終了問題は、現状を見直し、今の時代に則したあるべき姿へトランスフォーメーションを検討するチャンスでもあります」(高橋氏)

物理制限から開放されたクラウドOS

 Windows Server 2003の移行対象となるのは、やはり最新のWindows Server 2012である。さまざまなメリットを持つ機能、最新技術が搭載されているが、高橋氏が注目しているのは、Microsoftの考え方である。

 「Microsoftは、自身が抱える大きなビジョンをWindows Server 2012に反映させ、これを“クラウドOS”として位置付けています。つまり、多様化したITのあらゆる要素を包括的に統合できるプラットフォームであるという意味です」(高橋氏)

 従来のサーバは、サーバマシンを購入してアプリケーションをインストールして使うものであり、物理的な制限に依存するものであった。

 Windows Server 2012は、仮想化技術「Hyper-V」が標準で統合されている他、パブリッククラウドの「Microsoft Azure」と容易に仮想化インスタンスをやりとりできるという特徴も持つ。さらに、認証基盤としても利用できる他、専用装置に劣らないストレージ機能も搭載された。つまり、単なるサーバOSではなく、インフラとしてのOSなのである。

 「業務システムとして最低限満たしたい業務の継続性やデータ保護、安定稼働、物理制限から開放する仮想化といった機能が実現されます」(高橋氏)

 Windows Server 2012であれば、ビジネスの根幹を担う基幹システムから部門システムまで、統合された環境で運用することができる。前述したような、四半期に1回しか動かさないようなシステムであれば、必要なときだけ仮想マシンを起動する方がよいはずだ。物理資産にひも付けることなく、普段は電気もITリソースも無駄に消費することもない。他のシステムと同一のシステム上で実現できるため、管理負担も最低限で済む。

イノベーションを支援するデルのインフラストラクチャ・コンサルティング・サービス

 Windows Server 2003の入れ替えについて検討する際には、やはりプロフェッショナルの支援を受けることが望ましい。

 デルの強みは、サーバやストレージ、ネットワーク、ソフトウェアまで、エンドツーエンドのあらゆるシステムを提供しているだけでなく、あるべき企業システムを構築するためのコンサルティングから実際の構築まで、ワンストップでサービスを提供できるところにある。

 「1つ注意していただきたいのは、私たちはオープンスタンダードを重視しており、ベンダーロックインを目指しているわけではないことです。全てを提供できるというのは、マルチベンダー環境であっても、ユーザーに足りない部分を適切にサポートできるという意味なのです」(高橋氏)

 もう1つの強みは、業務プロセスやITをシンプルにすることでコスト削減や業務効率化を図る試みを、デル自身が取り組んでいるという点にある。この「Dell on Dell」の経験があるからこそ、得られた価値をユーザーに当てはめることができるというのだ。

 今や、ITシステムはクラウドの時代に突入し、従来のようなシステム単位の運用は時代遅れになりつつある。統合管理された共通基盤が用意され、依頼に応じて俊敏にリソースを提供する。共通基盤のリソースプールは、SDN(Software Defined Networking)やSDI(Software Defined infrastructure)などの技術によって効率的に管理する。

 「デルは、そうした“クラウドを基調とした新しいIT基盤”、“新しいIT基盤が実現する新しい働き方”、“新しいIT基盤のための新しい運用”の全てを包括した“新しい秩序”へとお客さまがトランスフォーメーションされることをご支援するための知見や実績および技術を蓄積しています。

 単なるWindows Server 2003のマイグレーションではなく、Windows Server 2012が備える最新機能をフル活用して最も効果的な“新しいIT基盤”と、それを包括した“新しい秩序”を実現することができます。

 新しい技術の採用とそれに合わせた新しい秩序の構築を自ら実施することはチャレンジが伴いますが、経験を有する私たちプロフェッショナルに任せていただくことで、リスクを排除して短期間で導入することが可能です。ユーザーの方々はその分、本来のビジネスや業務に集中していただきたいと思っています」(高橋氏)

よくわかる Windows Server 2012 移行 虎の巻

サポート終了が目前に迫る「Windows Server 2003」。Windows Serverの入れ替えはクライアントOS以上に時間がかかるため、計画的に進めることが大切だ。本特集では、移行計画の立て方、移行プロセスおよびその際に気を付けるべきポイント、移行後の運用管理ノウハウなどを紹介する。Windows Server 2003を手放せずに悩んでいる人も必見!

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