サーバOSの移行は“クラウド+運用”でのインフラ設計が最大の肝に

「Windows Server 2012 R2」への移行における最大の懸念事項は、アプリケーションの移行よりも将来を見越したインフラの設計だ。これこそが、柔軟性や管理性に優れ、コストメリットの高いIT環境を構築する肝になる。

2014年08月04日 10時00分 公開
[提供:デル株式会社]

 2015年7月14日の「Windows Server 2003」のサポート終了まで1年を切り、多くの企業で最新の「Windows Server 2012 R2」への移行を検討・作業していることだろう。

 既存の環境を新しい環境に変更するに当たり、最も懸念されているのがアプリケーションをどのように移行するかという点であろう。実際のビジネス・業務で扱うのはアプリケーションであるから、そこに集中してしまうのも当然だ。しかし、アプリケーションばかりに注力しているようでは、また何年後かに新しいOS・環境へ移行しなければならなくなったとき、同じような課題に悩まされる可能性がある。

 Windows Server 2003のサポート終了は、10年前の古い環境を最新の環境にするだけでなく、将来を見据えた環境に変革するための大きなチャンスでもある。表面ばかりに気を取られず、インフラも含めて統合的なマイグレーションを実施することで、柔軟で拡張性に富み、運用管理性に優れ、コストメリットも高いIT環境を構築できるはずだ。

 そこで、運用管理や事業継続性といった観点で注目したいのが「Microsoft System Center 2012 R2」である。適切なソリューションやプロフェッショナルのサポートを受けて導入することで、最大の効果を発揮することだろう。今回は、将来の変化にも耐え得るIT基盤をどのように構築すべきか、どのように考えるべきかを含めて、System Centerの魅力に迫る。

いいとこ取りのハイブリッドクラウドへ

 Windows Server 2003は「クラウド以前のIT」にすぎない。オンプレミスシステムとして導入するのが通常で、全てを自社でコントロールできる一方で、設備コストが高く、俊敏性に劣り、管理者の運用負荷が高いというデメリットが目立つ。Windows Server 2012 R2への移行に当たっても同じような環境を構築してしまえば、これらのデメリットを解消することはできない。

 今やシステム構築は、クラウドの活用を前提として検討するのが一般的である。プライベートクラウドやパブリッククラウドとクラウドの選択肢はあるが、いずれも高い柔軟性と俊敏性、拡張性を有しており、ビジネス上のメリットも高い。

 プライベートクラウドは自社システムとして構築するため、オンプレミスシステムと同様に、運用ポリシーやセキュリティポリシーを柔軟に適用できるメリットが得られる。一方のパブリッククラウドは、システム増強や拡張が容易で、リソース枯渇といった懸念がなく、運用負荷も非常に小さく、コストメリットが高いという利点がある。

デル 金野氏

 「私たちは、システムごとに適切なクラウドを選択する“ハイブリッドクラウド”が主流になると考えています。例えば基幹システムや独自システムはプライベートで、グループウェアやCRMはパブリックでというように、適材適所でシステムを選択するのが効果的です」(デル インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス本部 シニア・ソリューション・アーキテクト 金野 勉氏)

 金野氏によれば、ハイブリッドクラウドの導入に当たっては、次の9つの点をよく検討すべきであるという。

  1. 課金
  2. オーケストレーション
  3. DR(災害復旧)
  4. パフォーマンス監視
  5. ITサービスマネジメント(ITSM)
  6. DaaS(Desktop as a Service)/BYOD
  7. ID管理
  8. セキュリティ
  9. クラウド相互連携

 特に注目したいのは、事業継続性を考慮したDR環境だ。バックアップ先としてパブリッククラウドを選択すれば、遠隔地のデータセンターに高価なシステムを構築しなくても、容易かつ安価にDR環境を構築することができる。

 「ハイブリッドクラウドを実現する基盤として、Windows Server 2012 R2とシステム管理を担う『Microsoft System Center 2012 R2』の組み合わせは強力です。『Microsoft Azure』との親和性が非常に高く、運用管理やBCP(事業継続計画)/DRまで、メリットを十分に生かすことが可能です。当社では、ハイブリッドクラウドの運用性をさらに向上させる機能やサービスを組み合わせて、ハイブリッドクラウドソリューションとして提供しています」

Windows ServerとMicrosoft Azureで作るハイブリッドクラウドのメリット

 図1のような、本番サイトとDRサイトをプライベートクラウドで構築し、パブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを例に取り、デルのハイブリッドクラウドソリューションの機能について説明しよう。

図1 デルのハイブリッドクラウドソリューション

 統合環境のシステムを監視するのは「System Center Operations Manager」(SCOM)である。SCOMは、プライベート側の仮想マシンとパブリック側の仮想マシンの双方を同時に監視することができ、障害などを速やかに発見することができる。

 これに加えてデルでは、SCOMのハードウェアアラートをサポートセンターで自動的に受け取って管理者に連絡するなどの対応を行う「Dell SupportAssist for SCOM」サービスを提供している。

 「System Center App Controller」(SCAC)と「System Center Orchestrator」(SCO)は、仮想マシンのデプロイやActive Directoryの管理など、さまざまな運用管理作業を自動化することができる機能だ。

 また、「System Center Data Protection Manager」(SCDPM)は、バックアップ機能として従来提供されているものであるが、デルではこれをAzure Backupと連携させて、「ディスク to ディスク to クラウド」のバックアップを実現している。

 さらに、「System Center Virtual Machine Manager」(SCVMM)と「Hyper-V Recovery Manager」を活用し、Windows Server標準のレプリケーション機能を組み合わせることで、高度なBCP環境を実現できる。

 OS標準のレプリケーション機能だけでは、本番/DRいずれかのサイトに接続しなければ切り替えができないため、大規模災害のときには作業が困難になる場合もある。一方、Hyper-V Recovery Managerがあれば、インターネット上からリモートで切り替えが可能となる。

 「もし現在、必要に従ってオンプレミス環境を選択したとしても、将来的なクラウドへの拡張を考慮するのであれば、Windows ServerとSystem Centerの組み合わせがオススメです。これらのようなメリットを、すぐに享受できるためです」(金野氏)

クラウドへの移行とは新たな秩序作り

 「クラウドへの移行は、ただ漫然と行えるようなものではありません。組織内へ新しい共通サービスを提供するためには、ガバナンス、SLA(サービスレベル保証)、運用ポリシーといったルールの策定が必要です。“クラウドファースト”の考え方で、新しい秩序を形成することが非常に重要です」(金野氏)

 しかし、知識もノウハウもない状況で、全く新しいシステムや秩序を構築するのは非常に困難だ。そこでデルでは、こうした秩序作りを支援するコンサルティングサービスを提供している。

 クラウドへの移行については、図2のような「クラウド・トランスフォーメーション コンサルティング」のプロセスに従って、最適な運用方法やシステムを選択していくことになる。このステップを自社のみで進めるのは、もはや不可能に近いことが想像できるはずだ。

図2 クラウド・トランスフォーメーション コンサルティング

 金野氏によれば、“運用計画”は特に十分に時間をかけて取り組む必要があるという。組織によって運用体制は千差万別であるし、体制作りも大きな時間と手間が掛かる。実際にどのような体制で運用すべきか、細かに決めて望まないと、稼働してから破綻する恐れもあるからだ。

 「当社は、設立当初のPCベンダーから、エンタープライズシステムベンダーへ、そして現在はサービス&ソリューションベンダーへの変革を進めています。2013年には、『Dell SecureWorks』としてセキュリティコンサルティングサービスを開始しました。クラウド・トランスフォーメーション コンサルティングも、非常に重要なサービスの1つとして注力しています。私たちが蓄積してきたノウハウと知見を最大限に活用してください」(金野氏)

よくわかる Windows Server 2012 移行 虎の巻

サポート終了が目前に迫る「Windows Server 2003」。Windows Serverの入れ替えはクライアントOS以上に時間がかかるため、計画的に進めることが大切だ。本特集では、移行計画の立て方、移行プロセスおよびその際に気を付けるべきポイント、移行後の運用管理ノウハウなどを紹介する。Windows Server 2003を手放せずに悩んでいる人も必見!

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