企業のiPad導入をめぐる賛否両論対抗馬のAndroidにも弱点あり

iPadの企業導入が進んでいるが、Androidタブレットに比べてiPadは高価だ。一方でAndroidにも弱点はあり、タブレット市場は混沌としている。今、iPadを取り巻く市場トレンドとは?

2014年09月25日 08時00分 公開
[JP Gownder,Computer Weekly]
Computer Weekly

 実質的にタブレットという新たな市場を築いたiPadの、最初の製品が発売されたのは4年前のことだ。タブレットは人々のコンピューティング体験を一変させた。IT部門も、実務部門も現場の作業員たちも皆、業務にも個人的な利用にも使えるデバイスとして、このタブレットに飛びついた。

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 発売からたった4年しかたっていないフォームファクター(ハードウェア規格)を「従来品」と呼ぶのは奇妙に聞こえるかもしれないが、現在のタブレット市場の柱となっているのは9.7インチの画面を備えたAppleのiPadと、11インチ程度の画面サイズのiPad競合製品だ。競合製品の代表的なものには、韓国SamsungのGalaxy Tab 3(10.1インチバージョン)や米MicrosoftのSurface(Windows RTバージョンでは、画面は10.6インチ)がある。

 今やナレッジワーカーは業務にタブレットを使うが、多くのタブレットに搭載されているのはARMベースのマイクロプロセッサだ。新しいモデルならば、米IntelのAtomプロセッサが搭載されている場合もある。この手のデバイスの重量は、概して900グラムを切っている。また長時間の連続稼働に耐える仕様となっており、バッテリーの寿命も長くなっている。現在提供されているタブレットは、ユーザーがどんな状況にあっても高い生産性を発揮するためのデバイスだ。

Appleを選ぶ理由

 iPadユーザーには、プラットフォームであるiOSへの愛着を隠さない人が多い。世界中のナレッジワーカーの中には日常的に、職場で支給されたiPadだけでなく個人的にもiPadを購入して両者を使い分ける人々が一定数いる。Appleがタブレット市場で成功し続けていることには多くの理由がある。

 第一に、斬新なイノベーションは、iOS上で動作するものがまず世に出ることが少なくない。画期的な機能を持つアプリケーションを世に送り出そうとする開発者たちの多くは、iOSをそのプラットフォームとして選択する。その理由の1つは、期待できる収入額の違いだ。iOSとAndroidとで開発者が受け取るアプリの収益を比べた場合、一般的にiOSの方が高い。Androidもタブレットの主要プラットフォームの1つではあるが、(スマートフォンの場合とは対照的に)iPadは画期的なアプリがいち早く利用できるプラットフォームとなることが多い。その一例が米Expect LabsのMindMeldアプリだ。これは複数人が参加している会話も「聞き取って」、文字に起こしてノートにまとめる。さらに議題の要点を抽出してWebコンテンツの形式に編集するという、斬新なコンテンツ作成体験を提供する。このアプリは現在Android版も公開されているが、当初のバージョンは全てiPad向けだった。

 次に挙げられる理由は、サービスプロバイダーが充実しているので、iOSデバイスを大規模なシステムに対応させやすくなったことだ。iOSエコシステムの中で、サービスプロバイダーの分野はもっと評価されるべきだ。米AirWatch、米Good Technology、米MobileIronなどのモバイルデバイス管理(MDM)のサプライヤーが登場したことで、ITプロフェッショナルは多数のエンドポイントデバイスも容易に管理できるようになった。そしてこの3社によると、MDM製品を利用して管理するデバイスの中で最も多いのがiPadだという。

 また、Appleが以前から自社アプリケーションとして提供しているFileMakerは、現在はアプリケーションを開発するためのプラットフォームとなっているが、最近ホスティングサービスのプロバイダー数社によって、クラウドからFileMakerアプリケーションを実行するためのエコシステムが構築された。

 さらに、各業界でiPadを業務で利用しようとする動きがみられる。例えば医療の分野では、患者が退院して外来治療に切り替える際のケアにiPadを利用するサービスが開発された。大企業が自社の優秀な開発者をiOS専用のアプリケーションに投入する例が増えているので、iPadの業務利用も拡大を続けている。

 そこから、業務用のアプリでタブレット独自の機能を活用する傾向も現れている。この種の専用アプリは、センサー、ジャイロスコープ、GPS、LTEなど、iPadに装備されている、タブレットならではの機能を利用する。例えば現場作業員用のアプリケーションには、アクティビティに位置と時間のタグを付加する機能があり、各人の作業効率を追跡できる。iOSはタブレット市場を独占しているわけではないのに、このようなアプリは多くの場合、まずiPad版が作成される。

 最後に挙げる理由は、iPadは他社の機器と組み合わせて利用できる点だ。例えばiPad用の外付けキーボードは、AppleだけではなくスイスのLogitech(日本でのブランド名はロジクール)や米ZAGGからも発売されている。実際に、iPadで小説を執筆する作家も登場している。iPadをとりまくエコシステムには柔軟性があるせいか、ナレッジワーカーの必要に応える形で、周辺機器にまでその柔軟性が拡大している。

iPadの対抗勢力

 もっともエンタープライズ向けのアプリに関しては、AppleのiPadは企業間の競争を完全に制したとは言い難い。

続きはComputer Weekly日本語版 9月17日号にて

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