「iOS最優先」で本当にいいの? 失敗しないモバイルデバイス選択の基準人気よりモバイルアプリのサポートを重視

企業で使用するデバイスを一般的な人気で選ぶことがあってはならない。最優先されるべきはモバイルアプリのサポートだ。

2015年02月18日 08時00分 公開
[Marty Resnick,TechTarget]

 スマートフォンやタブレットの好みは人それぞれである。だが、IT部門がサポートするデバイスは、重要なビジネスアプリを余すことなく提供できるものでなくなくてはならない。

「iPad Air 2 Wi-Fi 16GB」、読者プレゼント実施中!

iPad Air 2

TechTargetジャパンは、2015年に企業が注目すべき最新技術の関連記事を集約したテーマサイト「はやる技術を先取りチェック 大胆予測、2015年に伸びる注目技術はこれだ」を開設しました。本テーマサイトの開設を記念して、「iPad Air 2 Wi-Fi 16GB」を抽選でプレゼントします。


iOSは仕事に向いていない?

 米Appleが2007年夏に発売した「iPhone」は企業のモバイルデバイスに対する考え方を大きく変えた。電話機能を備えたパーソナルデジタルアシスタント(PDA)は以前から存在していた。例えば、カナダBlackBerryの「BlackBerry」、米Palmの「Palm」、米Hewlett-Packard(HP)の「iPAQ」などだ。だが、企業がモバイルデバイスを使うという考えが浸透し始めたのはiPhoneなどのデバイスがエンドユーザーの心を捉えてからだ。仕事用のiPhone購入を上長に承認してもらうため、ありとあらゆる口実を考え出す従業員もいたほどだ。

 iPhoneの大ブームはある重要な問題を提起した。それは、「IT担当者は需要の高いデバイスを使用できるようにすべきなのか。それともモバイルアプリのサポートが優れているデバイスを追求すべきなのか」という問題だ。

 スマートフォンとタブレットの普及は、問題解決と生産性向上だけでなく、企業の収益に関わる機会創出も促した。外出中の従業員にもリアルタイムで顧客情報や企業データを提供できるようになった。デバイスの選択肢は数あれど、全てを管理してサポートするリソースは限られている。そのため、優先順位を考慮して戦略を立てることが重要になる。

 筆者は最近あるビジネスリーダーと話す機会があった。彼は自社のモバイルデバイス管理(MDM)プラットフォームを一新しなければならないと考えていた。ある機能を必要としていたが、その機能が彼の私物であるAppleの「iPad」で使用できなかったからだ。また、彼は市販のアプリを使用するときに、安全でコンテナ化されたメールクライアントを選択できるようにしたいと考えていた。彼が置かれている状況について詳しく聞いた後、私は彼の会社がiPadを使用する特別な理由があるのかを尋ねた。米Googleの「Android」ではアプリ内でリンクをクリックすると、メールの送信に使用するアプリを選択できる。一方、Appleの「iOS」搭載デバイスでは既定のメールクライアントを使用しなければならない。ご覧の通り、iPadは単なる個人の好みで使用していたものであり、必ずしも仕事に適していないことが分かった。これは、私たちが企業環境で使用するのに適したデバイスではなく消費者に好まれているデバイスにとらわれがちであることを示す好例だ。

 IT担当者が注力すべきは、解決が必要な問題と移行が必要なプロセスを明確にすることである。個人の好みは横に置いて、ユースケースに最適なデバイスを選択するのが賢明な対応だ。

デバイスではなくデータを重視する

 個人的な経験から、デバイスの種類ではなくモバイルアプリのサポートについて考えることが理にかなっていると考える。まずはビジネスの運営に不可欠なエンタープライズアプリを特定したい。それから、無数にあるデバイスを全てサポートしようとしないことが肝要だ。全てのデバイスをサポートしようとすると、コストがかさむだけでなく環境が過度に複雑になる。その結果、社内リソースを最大限に活用できる状況から程遠くなるだろう。モバイル化とは、ユーザーがどこにいても必要なデータを必要なときに提供できるようにすることだ。IT部門の目標は、使いやすいユーザーエクスペリエンスを備え、セキュリティが確保された便利なアプリを経由してユーザーが必要なデータを提供することである。

 エンタープライズモバイル管理は、デバイスではなくデータの管理を意味するようになっている。つまり、IT部門はデバイスではなくアプリを管理するので、以前ほどユーザーがどのデバイスを好むかは重要ではなくなった。だが、問題の原因がデバイスとアプリのどちらにあるのかを特定するのはそう簡単ではない。

 サポートするデバイスを制限している企業は多い。例えば、iPhoneと韓国Samsung Electronicsの「GALAXY」の最新2バージョンのみにするなどだ。利用を認められたデバイスはIT部門で完全にサポートされ、アプリが全社に公開される前にテストされる。ただし、従業員はデータが適切に保護されている限り、私物デバイスにアプリをインストールしても構わない。だが、そのような私物デバイスはIT部門では公式にサポートされない。この方法だと、ユーザーの好みはある程度尊重されるが、責任はIT部門ではなくユーザーに委ねられることになる。

 私たちはモバイルの専門家として、まずデータとプロセスを重視する必要がある。つまり、従業員が業務を遂行するために必要なビジネスアプリの提供に重きを置かなければならない。デバイスの好みは変化し続けるが、企業のデータを保護する必要があることは変わらない。IT部門には、ユーザーがどのデバイスを選択しても生産性を保証する責任がある。

ITmedia マーケティング新着記事

news136.png

ジェンダーレス消費の実態 男性向けメイクアップ需要が伸長
男性の間で美容に関する意識が高まりを見せています。カタリナ マーケティング ジャパン...

news098.jpg

イーロン・マスク氏がユーザーに問いかけた「Vine復活」は良いアイデアか?
イーロン・マスク氏は自身のXアカウントで、ショート動画サービス「Vine」を復活させるべ...

news048.jpg

ドコモとサイバーエージェントの共同出資会社がCookie非依存のターゲティング広告配信手法を開発
Prism Partnerは、NTTドコモが提供するファーストパーティデータの活用により、ドコモオ...