大切なデータを失わない、AWSへのバックアップ/リカバリ必勝法クラウドとオンプレミスとの融合策とは?

普及期に差し掛かっているクラウド。中でもデータの爆発的な増加を背景に利用が急増大しているのがクラウド型ストレージである。果たして、その賢い活用法とは。

2015年10月22日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]

“誤解”が解けることでクラウドがいよいよ本格化

 数あるクラウド型ストレージの中でも、とりわけAmazon S3が脚光を浴びる理由。それは「使い勝手が良く、安価で、かつ非常に堅牢」という点に集約される。

 一般にオンプレミス環境では、将来的なデータの伸びを予測して容量を決定する。だが、データの種類と量が急増していることを背景に、予測の手間と困難さは増す一方だ。必然的に予測に誤差が生じ、大量の余剰ストレージの発生など無駄なITコストが発生する。

 必要な容量を随時調達できるAmazon S3であれば、その利用形態からサイジングの悩みは抜本的に解消される。加えて、クラウドのビジネスモデルは、大量のリソースを抱える事業者ほど、コストメリットを利用者に還元しやすい。事実、世界最大規模のクラウドストレージであるAmazon S3では、1Gバイト分の利用料が1カ月当たりわずか約4円と他社と比較し極めて安価に抑えられている。

photo アマゾン データ サービス ジャパン 松本氏

 しかも、Amazon S3では物理的に離れた3カ所のデータセンターによるデータのレプリケーションによって「イレブン9(99.999999999%)」という高い可用性を実現している。アマゾン データ サービス ジャパン(以下、アマゾン)のエコシステム ソリューション部で部長を務める松本大樹氏は、力を込めて次のように語る。「クラウドでのデータ保管に対しては、当初、データ管理を他社に委ねるリスクから懐疑的な声も少なくなかった。クラウドへの理解が進み、具体的なリスクとその対策が明らかになることで、漠然とした不安は確実に払拭(ふっしょく)されつつある。その上で増え続ける各種データをできるだけ安価にバックアップするために、Amazon S3の利用の裾野がここにきて急速に拡大している」

期待に応えるNetAppの“秘策”

 そうした中、既に述べた通り、アマゾンではパートナー企業との協業を精力的に推し進めている。その理由として松本氏は、次のように打ち明ける。「当社は安心して安価に利用できるデータの“保管庫”の提供に力を入れてきた。Amazon S3より安価なクラウドストレージ『Amazon Glacier』を開始したのもその一環だ。その使い方を見ると、社内データの全てを移行したり、ハイブリッド環境を構成したりとさまざま。当然、環境ごとに要件は異なり、ユーザーを支援できる余地はまだ残されている。協業の一番の狙いは、これらの領域でのきめ細やかなフォローを通じた、さらなる利便性向上にある」

 中でも、同社が最重視してきたことの1つが、「既存のオンプレミス環境とAmazon S3との可能な限りのシームレスな融合」(松本氏)である。そして、そこでの代表的な成果として松本氏が挙げるのが、ネットアップのストレージ「NetApp AltaVault(AltaVault)」との連係だ。AltaVaultは、クラウド環境へのバックアップを実現するバックアップ用ストレージだ。

 オンプレミスとクラウドとの連係における考慮点は幾つかあるが、その1つとして両者でのデータ転送方法がある。典型例がバックアップにおけるデータ転送容量の増加である。この用途ではファイルのデータ量の肥大化が避けにくく、もしネットワークの能力が低い場合には転送時間がそれだけ長引くだけでなく、現場の運用負荷が高まるとともに、万一の際の迅速なシステム復旧も困難となる。

 また、大容量を安価に利用できる半面、既存環境とはAPIが異なることも多く、既存運用にて利用しているバックアップツールなどをそのまま利用できないケースもある。

 対して、AltaVaultにはこれらの課題を踏まえた特徴的な機能が実装されている。まず挙げられるのが、転送時のインラインでの重複排除やデータ圧縮により、転送容量が最大で30分の1にまで圧縮可能なことである。その結果、ネットワークの負荷が軽減され、転送時間の短縮が実現される。なお、転送時には併せてデータの暗号化も行われることも、情報漏えい対策を考えればポイントだ。

オンプレミスと同様のバックアップをクラウドで

 また、データの転送では、バックアップデータを一度、内蔵ディスクに格納した後、データをクラウドに順次書き出す。つまり、AltaVaultのオンプレミスへの導入を通じ、直近に生成されたデータはすぐにでも使えるようキャッシュとして手元に残しつつ、長期保存データなどはAmazon S3へ自動バックアップする仕組みを整備できる。

photo AltaVaultの連係イメージ

 AltaVaultは運用面にも配慮が払われているという。豊富な導入実績を誇るバックアップ/リカバリ管理ソフトウェア「SnapProtect」や他社の製品を標準で利用でき、Amazon S3を含むシステム全体を既存のオンプレミス環境の延長として、運用を見直す手間なく管理できる。

 「ハイブリッド環境はお客さまが選択し得るクラウド利用の1つの選択肢であり、当面はそのような環境でのデータ管理が続くことも考えられる。こうした中、現行の運用を極力変更せずに、より簡単にAmazon S3を使ってもらうには、AltaVaultの採用が効果的だ」(松本氏)

 アマゾンとネットアップの協業開始は約5年前。以来、ストレージ管理基盤をAWSのクラウドにまで拡張するソフトウェア「NetApp Cloud ONTAP for Amazon Web Services」を開始するなど、企業でのクラウド利用を支援するために両社は協業を深めてきた。

photo ネットアップ 杉本氏

 ネットアップのシステム技術本部でシニアクラウドアーキテクトを務める杉本直之氏は、次のように強調する。「データ保管にまつわるコスト増への対応において、クラウドは今後、欠かせなくなることは確実。ただし、ネットワークやセキュリティ、管理の容易さなどクラウドに付随する技術には課題も残され、オンプレミスがすぐになくなるとは考えにくい。AltaVaultはそうした環境下でのクラウドとオンプレミスの、いわば“良いとこ取りを”実現する。ストレージベンダーである当社からの新たな提案に他ならないのだ」

 松本氏も、オンプレミスが今後も残ることも視野に入れている。その上で、「企業のデータ管理へのニーズが多岐にわたることを考慮すれば、オンプレミスとクラウドが今後は互いに補完し合う関係に進化すると考えた方が自然だ」と、近未来を予測する。「だからこそ、オンプレミスで豊富な経験とノウハウを蓄積したネットアップには、今後もぜひ協力を仰ぎたい」(同)

“オンプレミス”と“クラウド”の融合に向けて

 Amazon S3の今後の利用拡大に向け、両社が期待を寄せるのがディザスタリカバリ(DR)への活用である。DRは万一の“保険”であり、予算を潤沢に確保することは難しい。だが、Amazon S3とAltaVaultによる“持たないDR”によって、安価かつ使い勝手の良いDR対策を実現できる。

 「単純計算で例えば100GバイトのDR環境を月に約400円、人件費を加味しても数万円で運用できる。DRのオペレーション効率化において、AltaVaultの果たす役割は決して小さくない」(松本氏)

 こうした期待に応えるべく、ネットアップでは“コスト”と“機能”の両面からAltaVaultのさらなる改良に取り組む考えだ。具体的には、まず従量課金のクラウドとの併用を踏まえ、AltaVaultのレンタル提供を通じ、より安価にシステムが利用できる料金体系の用意を視野に入れる。

photo

 「この数年来のネットアップによるクラウドへの対応を通じ、その使い勝手は格段に向上し、さらなる利用を呼び込むという好循環が生まれている」と松本氏。オンプレミスとクラウドの連係を通じ、ストレージの新たな世界が切り開かれつつある。


提供:ネットアップ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部

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