2015年11月30日 08時00分 UPDATE
特集/連載

電源なしでセンサーが稼働電波から電力を生み出す「Freevolt」でIoTの電源問題は解決?

Wi-Fi、携帯電話、放送用の電波を電力に変換する技術が発表された。これを利用すれば電源を用意しなくても各種センサーを稼働させることができ、IoTに大きく寄与すると期待される。だが……。

[Bill Goodwin,Computer Weekly]
Computer Weekly

 電波からエネルギーを抽出できるポータブルな小型アンテナで、無数に存在するセンサー、つまりモノのインターネット(IoT)を構成している機器に電力を無限に供給できるという。元英国科学技術・イノベーション担当大臣のポール・ドレイソン卿が発表したデバイスは、煙探知器から温度センサー、ウェアラブルテクノロジーなど幅広い分野に応用されるだろう。

Computer Weekly日本語版 11月18日号無料ダウンロード

18078.gif

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 11月18日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 IoTは組み込みセンサーの需要を喚起した。その市場規模は、今後4年以内に携帯電話、PC、タブレット、ウェアラブル端末の全てを合わせたものを軽く追い越すだろうと市場調査の専門家たちは予測している。

 「Freevolt」と命名されたドレイソン卿のデバイスは、5年間の調査研究と数千万ポンドの投資の成果だ。Wi-Fi、携帯電話、放送用電波などの電気信号を収集し、埋め込みセンサーに電力を供給する。

 「何年も前から複数の企業が、Wi-Fi、携帯電話、放送用電波などからエネルギーを得る研究に取り組んでいた。ところがこの研究はなかなか実を結ばなかった。そうした電波の出力は非常に弱いため、拾った電波をエネルギーとして利用できるレベルまで集約させるところが難関だったからだ。しかしわれわれは、とうとうそこを解決した」とドレイソン卿は説明する。

 Freevoltは、元大臣が所有する英Drayson Technologiesが開発した。Wi-Fiや携帯電話の信号、放送用電波をアンテナで集め、電力に変換する。

 同社はロンドンの英国王立研究所(The Royal Institution of Great Britain)で、このデバイスを搭載した蓄電式の温度センサーと無線ビーコンのデモを披露した。デモのシナリオは、買い物客が小売店に来ると、店員がその客の携帯電話にパーソナル化したお勧め品情報を送信するというものだった。

大気汚染の監視

 このデバイスを使った最初の製品は、携帯サイズの大気汚染測定器だ。これがあれば、大気汚染がひどい地域を回避することができる。

 ドレイソン卿はぜんそくの持病があるために電気自動車を熱心に支持してきたので、この製品には個人的な関心も大いに寄せていると話す。

 「大気汚染の情報を取得するのは、実は難しくない。しかしその取得方法や活用方法を知っている人は多くない」と元大臣は語る。「人々が求めているのは、局地的で直接的なデータ、つまり『自分が今いる、この場所』の大気の情報だ」

 大気汚染測定器「CleanSpace」の価格は65ポンドで、スマートフォンアプリと連動させて使用する。アプリは、その都市の平均的な大気汚染のレベルではなく、その人がいる場所の(一酸化炭素などの)汚染物質濃度を記録できる。

 測定データは匿名でクラウドにアップロードされ、これらを集約することで精度の高い大気汚染マップを作成する。こうして情報を提供すれば、行政担当者がその町の大気汚染対策を実施する際に、資料として活用できる可能性もある。

 また、CleanSpaceのスマートフォンアプリはユーザーがカーボンフットプリントを増やさないようにするための提案もする。つまりウォーキング、自転車、電気自動車の利用などを勧めてくる。利用者がその提案に従うと「ごほうび」としてポイントを発行する。このポイントをためるとコーヒー無料券や自転車のキーなどと交換できる仕組みだ。

 早期利用者の実験で分かったのは、バスがバス停に停まった瞬間に大気汚染レベルが跳ね上がるということと、オフィスワーカーも、エアコンが外気を引き込むので有害物質にさらされているということだ。

 Drayson Technologyは、このテクノロジーの利用許可をセンサーメーカーに提供する計画を立てている。必要であれば売却にも応じる構えだ。ドレイソン卿は事業をさらに拡大し、電力関連のテクノロジーをセンサーメーカーに提供する多国籍企業に育てるというビジョンを描いている。既に2社の大手投資会社から支持を取り付けているという。

 同社は現在、このテクノロジーを今よりもさらに柔軟性の高い素材で実現するための開発に取り組んでおり、ウェアラブル端末に組み込むことを目指している。将来は、同社が開発したデバイスを住宅の壁一面に「塗りこめれば」、その住宅に組み込んだセンサーが大気汚染データを取得し続けることができるとドレイソン卿は期待を語る。

本当に電池より優秀?

 ただし、同社製品がどれほど優れているのかという疑問は残る。

この記事を読んだ人にお薦めのホワイトペーパー

この記事を読んだ人にお薦めの関連記事

Loading

注目テーマ

ITmedia マーケティング新着記事

news014.jpg

2016年夏のテレビ的「話題」と「問題」
リオ五輪で注目を集めた日本人選手、パラリンピック選手の競技環境、テレビが健康に及ぼ...

news083.jpg

マーケティングオートメーション「B→Dash」が「Sansan」「kintone」と連係開始
フロムスクラッチが開発・提供するマーケティングオートメーションプラットフォーム「B→...

news028.jpg

Act-on Softwareのマーケティングオートメーションを月額9万円で提供
MKTインターナショナルは、Act-on Softwareと販売パートナー契約を締結し、同社が提供す...