仮想化環境のストレージに生じる5つの問題と解決法ビジネスアジリティは向上するが代償も大きい

仮想化環境では、簡単に仮想マシンを作成することができ、アプリケーションや新サービスを迅速に展開できる。それ故に生じる5つの問題と、その対処方法を解説する。

2016年01月14日 08時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]
Computer Weekly

 データセンターに新しいアプリケーションを導入する際、よく利用されるのがサーバ仮想化だ。インフラのどこかに仮想マシン(VM)を格納しなければならないが、これには外部や内部のストレージを組み合わせて使用するのが一般的だ。

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 だが、あまりにも多様な機能があるため、この目的にストレージ製品を選ぶのは簡単なことではない。ストレージを正しく選ぶには、ワークロードの要件やストレージに生じやすい問題を確実に回避できるかどうかを考慮する必要がある。

 仮想サーバやデスクトッププラットフォームのストレージに生じやすい主な問題として、次の5つが挙げられる。

1. スプロール

物理サーバの購入、設置、稼働に掛かる労力に比べ、VMの作成は簡単だ。必要に応じてVMを稼働させることでビジネスアジリティは向上する。だが、その代償も大きい。あっという間に、ストレージリソースは、孤立したVMや使用されなくなったVMであふれかえることになる。例えば、ハイパーバイザーと関連付けられていないVM、起動しているのに何も実行していないVM、起動しておらず使われてもいないVM(いわゆる「ゾンビ」マシン)などがこれに相当する。

2. 効率

VMのストレージリソースは、慎重に管理しなければ制御不能なほど増加する。各VMにできるだけ多くのストレージ容量を割り当てようとするのが一般的だ。それは、後でVMのサイズを変更する手間を最小限に抑えるためだ(このサイズ変更は大きな影響を及ぼす可能性がある)。テンプレートを使用した導入では、全く使用されないリソースを過度に割り当てる危険性が伴う。

3. パフォーマンス

仮想化では、LUN(論理ユニット番号)の役割が物理サーバの導入とは逆転する。各サーバが1つ以上のLUNを受け取る環境では、仮想化はそれよりも大きなLUNを作成し、多数のVMを格納するために使用する。従って、LUNレベルのVMストレージワークロードは通常、ランダムな性質になる。複数のアクティブなVMのI/Oアクティビティが同じ物理ストレージを共有することを予測するのは不可能だからだ。I/Oのピークが非常に高いVDI環境でこの問題が特によく見られる(いわゆるブートストームなど)。

4. コスト

(GB当たりの)ストレージコストは下がり続けている。だが、実際にそれが当てはまるのはHDDで、特に大容量ドライブを使用する場合だ。フラッシュストレージはHDDに比べれば明らかに高価で、1ドル/GBという目標を実現するためのハイブリッドシステムも登場している。VM導入ではコストも重要な要素になる。コスト当たりのパフォーマンスが妥当な、正しいストレージを選ぶことが重要だ。

5. データ保護

VMの保護は必要だが、従来のバックアップ/リストア方式では仮想環境のニーズを満たせない。仮想化環境のコスト節約の基盤は、ハードウェアの統合だ。つまり、バックアップのために各VM上にエージェントを導入するのは、実用的なソリューションとは言い難い。課題は、VMのパフォーマンスと可用性に影響を与えず、ファイルとアプリケーションへのデータアクセスを細かく制御しながら、VMとアプリケーションの両方に一貫した適切なバックアップを取ることだ。

 この5つがストレージと仮想化における主な問題点だ。全ての問題に効く「特効薬」のようなソリューションは存在しないが、適切なプラクティスを実行し、ハードウェアとソフトウェアの幅広いソリューションを使用することで、いずれも解決できる。

スプロール

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