音楽配信サービスSpotifyのGoogle Cloud Platform移行に残る謎Google Cloud Platform事例

約7500万人の会員を擁する音楽配信サービスSpotifyが、自社データセンターからGoogle Cloud Platformに移行した。SpotifyがGoogleを選んだ理由とは何か。そして、既に使用していたAWSはどうするのか?

2016年04月29日 08時00分 公開
[Caroline DonnellyComputer Weekly]
Computer Weekly

 音楽配信サービス企業Spotify(サービス名も「Spotify」)は、自社のITインフラを「Google Cloud Platform」(GCP)に移行させることを決断。自社データセンターへの依存度を下げて、音楽ストリーミング事業のニーズ拡大に応えようとしている。

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 Spotifyは登録ユーザーに音楽をストリーミング配信するサービスで、ユーザーはモバイル端末、PC、ゲームコンソールなどで曲を聴くことができる。同社の説明によると、世界58カ国の約7500万人のアクティブユーザーを獲得しているという。

 2016年2月、同社は社内IT環境移行についての記事を公式ブログに投稿した。その記事の中で、筆者であるエンジニアリングおよび基盤部門担当バイスプレジデントのニコラス・ハルトー氏は、「当社はかつて、購入やリース契約でデータセンターリソースを確保し、3000万曲を配信していた」と説明している。

 しかし、ユーザー層が拡大してサービスの需要も伸び続けたために、データセンターの運用だけでは対応しきれなくなり、クラウドの活用を再検討することにした。

 「社内データセンターだけでサービスを運用するのが苦しくなってきた。とはいえコアなクラウドサービスはその当時、サービスの質、パフォーマンス、費用のレベルが、長期的に見て格段に優れた選択肢だとは思えなかった」とハルトー氏は振り返る。

 「しかし最近になってそのバランスは変わってきた。クラウドプロバイダーが提供するストレージ、演算性能、ネットワークサービスの質とパフォーマンスが向上し、費用は下がったので、既存インフラと比べても遜色なくなった。そこでわれわれは迷わず、クラウドに移行することを決めた」

 同社が基盤の移行先として選んだのがGCPだった。Spotifyはデータ処理からアナリティクスまで、Googleの幅広いサービスを利用開始あるいは検討している。例えば、Googleのデータ分析サービス「BigQuery」や「Hadoop」マネージドサービス「Cloud Dataproc」などのツールを利用することで、これまで数時間かかっていた複雑なデータのクエリが数分で完了するようになり、Spotifyは新サービスの開発により注力するようになったという。

ピンポイントで狙いを定めたサービス利用

 Spotifyのブログ記事は、同社がクラウドへの移行にかかる期間についてはほとんど触れていない。それについてはGCPの主任セールスエンジニア、ギヨーム・リーグ氏が、現在SpotifyがGCPで運用しているタスクのサイズとクラウドサービスの範囲について、今後の計画を含めてGoogleの公式ブログで説明している。

 SpotifyはCloud DatastoreとNoSQLデータベースサービス「Cloud Bigtable」を利用して同社のストレージ要件を満たし、さらにネットワークテクノロジーではGCPの「Direct Peering」「Cloud VPN」「Cloud Router」を利用する計画を立てている。

 「Spotifyはデータに対して、全く新しいテクノロジースタックを適用しようとしている」とリーグ氏は投稿記事の中で付け加えている。「その新しい試みには、Hadoop、『MapReduce』『Apache Hive』に加えて、社内開発のダッシュボードツールという既存環境からの移行が含まれる。この環境を最新のデータ処理ツールに移行させる予定だ。さらに、『Cloud Pub/Sub』『Cloud Dataflow』などを導入する」(ブログ記事より)

AWS利用の前歴

 実は、Spotifyは以前からAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)も利用している。

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