2016年10月14日 08時00分 UPDATE
特集/連載

Computer Weekly製品ガイド成長するグラフデータベース技術

3世紀前から知られていた数学に基づくグラフデータベースは、FacebookやTwitterなどの企業を越えてビジネスバリューをもたらしつつある。

[Stephen Pritchard,Computer Weekly]
Computer Weekly

 グラフデータベースは現代的な応用を加えた18世紀の概念だ。

 出会い系サイトや不正検出など幅広い業務に使われるグラフ技術は、単なるデータではなく関係に着目することで機能する。その背後にあるアイデア──あるいは少なくとも理論的根拠──は、スイスの数学者レオンハルト・オイラーが1735年に提唱したものだ。

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 ほぼ300年の間、グラフ理論はほとんど学術研究の域を出なかった。だが、大量のデータ、特にデータ間の複雑な関係を扱う独創的な方法だったことが分かってきた。

 グラフ理論を応用して開発されているグラフデータベースでは、データだけでなく関係が特別な扱いを受ける。データそのものだけでなくデータのつながりを記録することで、グラフデータベースのシステムは素早く情報を掘り起こし、トレンドを見極めて、リアルタイム分析やソーシャルネットワーク、サプライチェーンのパターン、さらには犯罪の波のマッピングに利用できるパワフルなツールを提供する。グラフデータベースはつながりや関係(エッジと呼ばれる)に目を向けることにより、従来のデータベースシステムでは何日もかかっていたかもしれないクエリに対し、数分あるいは数秒で答えを出す。

グラフデータベースの実例

 Gartnerでデータと分析を担当する調査ディレクター、アラン・ダンカン氏によれば、グラフ技術は公共セクターと民間セクターの両方で幅広く応用されるようになっている。

 「捜査機関はこれを使って犯罪のパターンを調べ、防犯に活用している。銀行では詐欺対策責任者が詐欺のネットワークを見つける必要があり、通信網を運営する業者は通話経路を最適化する必要がある」(ダンカン氏)。同氏は、そうした用途がグラフデータベース技術の主な事例であり、そこには「自分の関心事項に影響を及ぼす複雑な関係」があると解説する。

 これまでのところ、グラフデータベースの最大のアプリケーションはプロプライエタリ技術をベースとしてきた。ソーシャルネットワークが使っているグラフ技術は大部分が、少なくとも今のところ、外部には公開されていない。TwitterやFacebook、LinkedInはいずれも、グラフデータベースを使ってユーザー間のつながりを特定したり、広告主にとって役に立つ情報を生成したりしている。つまり、インターネットに接続している人なら誰もがある程度のグラフデータベース技術を日常的に利用していながら、ビジネスにおける同ツールの導入は依然として限定的で、場合によっては実験的だ。例えばGartnerの推計では、グラフデータベースのターゲット市場のうち同技術を使っているのはわずか1〜5%にすぎず、企業が実施しているグラフデータベースプロジェクトの多くは実験段階や概念実証段階にある。

 実際のところ企業は、例えば事業部門が導入した不正検出パッケージやグラフ機能を搭載した概略分析ツールなど、専用アプリケーションを通じてグラフツールを使っていることの方が多い。だが、組織が保存するデータの量が増え、ビジネス分析でデータ間の関係に一層重点を置くようになれば、その状況は変わるかもしれない。

データが導く意思決定

 「われわれはデータに基づいてかなりの意思決定を行っている」と話すのは、オンラインゲームサイト「Gamesys」のプレイヤーサービスプラットフォーム責任者、トビー・オルーク氏。「われわれは常にデータの取り込みを増やし、プレイヤーとプレー方法に関するサイト上の現状ついて、より多くを知ろうとしている」と話す。

 Gamesysが同サイトにソーシャルネットワークの要素を構築すると決めた時点でグラフデータベースを選んだのはパフォーマンスが理由だが、導入しやすかったからでもある。

 「ソーシャルネットワークをどこかに保存する必要があった。それにはグラフのようなストレージシステムが非常に適していると思えた。基盤となる技術上で、問題は非常にうまくマッピングできた。ドメインモデルをわれわれのJavaアプリケーション内部で構築し、抽象層を何層も重ねなくてもデータストアにほぼ直接マッピングできたおかげで、大幅に高速化できた」

 オルーク氏はそう語り、商品化までに要する時間が重要な業界にとって、これは相当のメリットだと指摘した。

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