2016年10月25日 08時00分 UPDATE
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矛盾する2つの調査結果の謎英SAP顧客「HANAに大満足」 vs. SAP優良顧客「SAP製品は二度と買わない」

2016年夏、SAP HANAに関する2つの調査結果が相次いで発表された。1つは、中小企業もHANAに高い満足度を示した。一方、SAP自身が紹介した優良顧客の60%は、二度とSAP製品は買わないという。

[Brian McKenna,Computer Weekly]
Computer Weekly

 英国のある企業の調査によると、インメモリデータベース「SAP HANA」は、この製品に批判的な人々の主張よりは包括的であり、安価で、迅速に展開できることが分かったという。ところがこの結果は、調査会社Nucleus Researchが2016年6月に発表したHANAに関する調査結果とは矛盾するようだ。この調査では、SAPが紹介した顧客の60%(そのほとんどは米国で活動している顧客)が、「SAPテクノロジーはもう二度と購入しない」と回答した。

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中小企業もHANAに大満足

 今回発表されたのは、SAPなど複数のエンタープライズ向けIT製品のリセラー(再販業者)であるCentiqが市場調査会社Coleman Parksに委託した調査の結果だ。この調査は、英国でSAP HANAのライセンスを保持する企業250社を対象に、2016年4月〜5月に実施された。

 “HANAの信頼性を感じる点はどこか”という設問に対して、92%の回答者が「ITインフラのコスト削減に役立った」、87%は「(システムの)運営費用が削減された」と答えた。また、98%強のHANAプロジェクトが予算の範囲内で完了し、現在進行中のプロジェクトの65%が「予算内で収まる見通し」だとしている。

 SAPテクノロジーは複雑過ぎるとしばしば指摘されるが、SAPのCEOビル・マクダーモット氏はこの数年、複雑性を主張する人々に対しては常に同社の「Run Simple」(シンプルにいこう)のスローガンを盾に反論してきた。

 Centiqの調査は、HANAは実稼働までの期間が比較的短いことを強調したいようだ。72%は6カ月以内に稼働を開始したという。ただし、その実装のスピードは業界によって大きく異なる。

 製造業(79%)、ハイテクおよび電気通信業(75%)、小売および流通業(62%)はデータベースを半年以内に実装できたが、公共機関の回答者の67%は実装に7〜12カ月を要したと答えている。

 今回の調査では、HANAのユースケースがアナリティクス以外の分野にも広がっていることを確認したという。データウェアハウスとトランザクション処理にもアナリティクスと同じくらい利用されていた。オンライントランザクション処理(OLTP:On-Line Transactional Processing)に利用しているという回答が96%だったのに対して、オンラインアナリティクス処理(OLAP:On-Line Analytical Processing)は92%だった。

 つまり調査で明らかになったのは、HANAのライセンスを所有する回答者の96%がOLTPに利用している一方、(本来想定された用途である)OLAPに利用しているユーザーは92%にとどまっているということだ。

 「HANAの最初のバージョンはアナリティクスに重点を置き、極端な高速処理が要求されるビッグデータの『最先端のケース』に利用されていた。初期のバージョンを導入したのは通常、既存のインフラにHANAを追加して、以前なら不可能だったことを実行したいという大企業だった」とSAPの幹部が話したと、調査報告書には記載されている。

 また、HANAは大規模組織だけでなく中小企業にも導入されていると報告書には記載されている。調査に参加した小規模企業の83%が、「HANAを導入したことにより、『革新的なアプリケーション』の設計と実装を実現できた」と回答した。

 「われわれは、HANAのライセンス保有者の満足度が高いことに驚いた。SAPは、こうした(中小企業の)プロジェクトを稼働させるところでも優れた実績を残しているし、大企業でもHANAの実装はすばらしいという評判が高い」と、Centiqで技術および事業部門のディレクターを務めるロビン・ウェブスター氏は語る。「ひところは『HANAを取りあえず購入はしたものの……』という話をよく聞いたので、本当に稼働させている企業が多いことに驚いた」

 この調査は、ユーザーが旧バージョンのテクノロジーである「SAP Business Suite」をHANA上に展開しているかどうかだけではなく、SAPのフル機能のERPスイート製品「S/4HANA」も対象に加えている。Business SuiteをHANA上に展開している、または既にS/4HANAへ移行したと答えた回答者は、実に10人に9人の割合(88%)だった。

60%超のSAP顧客は今後の製品購入を望んでいない

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