国土の3Dマッピングで土地利用の最適化を図るシンガポールの挑戦“バーチャルシンガポール”で何ができるのか

シンガポール政府は、国土を3Dマッピングして都市計画に生かすプロジェクトを開始した。詳細な3Dマップによって何が実現するのだろうか。

2016年11月01日 08時00分 公開
[Ai Lei TaoComputer Weekly]
Computer Weekly

 シンガポール政府は、3D(3次元)モデルを使った最先端の都市計画を進めることを決断し、国全体の3Dマッピングを作成する国家プロジェクトに着手した。

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 その3Dモデルは、2016年6月に米サンディエゴで開催されたカンファレンス「Esri International User Conference」で披露された。モデルの生成には、高度な地理情報システム(GIS)のテクノロジーが利用されていた。

 シンガポール政府の目標は、限られた国土の利用法を最適化することだ。そこで同国政府は、シンガポール本島全体の「実世界そのままのイメージ」を視覚化したいと考えた。これは政府主導の「スマートネイション」計画の一環で、政府機関のリスク管理改善、コラボレーションの促進、意思決定の質の向上を目指したものだ。

 「シンガポール土地管理局(SLA)は、(シンガポールの)地理空間とテクノロジーの両方の限界を押し広げて、政府の『スマートネイション』施策を推進している。SLAは、シンガポール全体の3Dマッピングを進めているところで、これが完成すれば『バーチャルシンガポール』の重要な構成要素となる」と、SLA局長のタン・ブン・カイ氏は語る。「これによって地理空間データの共有と分析ができるようになるので、(国民の)センスメイキング(気付きを得る)の能力と、コンセプトのたたき台の構築と同化の能力とを向上させて、最新の複雑な課題へのソリューションの発見につなげたい」

 このプロジェクト(の成果)は、世界各地の主要都市でグローバルレベルの新しいベンチマークとなるだろうと、GISソフトウェアサプライヤー、Esri(Environmental Systems Research Institute)のシンガポール法人で代表を務めるトーマス・プラモートダム氏は語る。「『スマートネイション』計画でGISテクノロジーを活用することについても、シンガポールは世界で最も先進的な都市(の1つ)だ」と同氏は説明する。

 SLAは、従来の2D(2次元)の都市計画地図では、(現在と将来に必要な情報である)複雑な環境を完全に表現するには不適切であると認識している。これに対して3Dモデルであれば、都市の設計、構築、開発について、目的に見合った情報を正確に分かりやすく表現できる。

 例えば、3Dモデルはシンガポール島の太陽エネルギーの産出量を見積もるのに利用できる。また、建築申請されたビルが、完成時に都市の景観にどのように影響するかを見極めることもできる。

 プロジェクトではこれまでに、均質的に収集したデータからシンガポール史上最大の地理空間的データセットを構築した。そのサイズは既に100TBを超えている。

 SLAが作成した3Dモデルの(想定されている)具体的な利用法を以下に幾つか挙げる。

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