2016年12月20日 08時00分 UPDATE
特集/連載

Computer Weekly製品ガイドクラウドバーストの利用が伸びない理由

クラウドバーストの魅力は理解しやすい。だが少なくとも現時点では、それに伴う複雑さがメリットをかき消している。

[Danny Bradbury,Computer Weekly]
Computer Weekly

 ほとんどのIT部門は、時としてコンピューティング需要の急増に見舞われる。これは予想できることもあれば(例えばスポーツのベッティングサイトは決勝戦当日の状況を予想できる)、できないこともある。

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 そうした需要のピークに対応するための機器を自社で調達することは、必ずしもコスト効率が良いとはいえない。解決策としてよく挙げられるのがクラウドバーストだ。クラウドバーストでは、オンプレミスのリソースの負荷が高まると、理論上はアプリケーションが自動的にパブリッククラウドサービスに作業を割り当てる。

 このアプローチの魅力は分かりやすい。普段は余分な演算能力のためにコストを掛ける必要がない。この概念は数年前、ハイブリッドクラウドを企業に売り込みたいサプライヤーの宣伝戦略として浮上した。

 調査会社451 Researchのクラウドデータ担当調査ディレクター、アンドルー・ライヒマン氏も、かつて勤務していたAmazon Web Services(AWS)でこのアイデアを売り込もうとした1人だった。「AWSにいたころ、宣伝に使えそうなクラウドバーストの実例を探していたが、1つも見つからなかった」と同氏は告白する。

 ライヒマン氏は、企業が突如としてクラウドバーストに飛び付くようになるとは考えていない。「まず何よりも、複雑だから」というのがその理由だ。

技術的課題

 コンサルティング会社Quocirca創業者のクライブ・ロングボトム氏も同じ考えだ。クラウドにクエリを送って戻って来るまでの時間を考えると、ローカルネットワークの反応時間を想定して構築したアプリケーションにクラウドバーストを使う可能性は排除されると同氏は言う。

 「これがうまくいかない傾向にあるのは、ローカルのデータを使うローカルのアプリケーションに対してリモートのリソースを利用しようとするためだ」と同氏は言い、そのためにシステムには0.5秒のレイテンシが生じると指摘。「バーストのメリットがあったとしても、このレイテンシによって帳消しになる」と解説する。

 リモートのアプリケーションへの高速アクセスを実現するためには、全データセットをリモートに複製する必要が生じるかもしれない。そうなると、データをリアルタイムの運用に使う場合は、リモートに複製したデータを常に最新の状態に保ち続けることが課題になる。

 データ層でアプリケーションのクラウドバーストを試みる場合、さらに問題は増え続ける。もしそのアプリケーションが、トランザクションの原子性、一貫性、独立性、耐久性(ACID)を求められるリレーショナルデータベースだった場合、クラウドバーストはさらに困難になる。リモートアプリケーションのトランザクションは、トランザクションプロセスの一切の不一致を避けながら、オンプレミスのトランザクションと同期し続けなければならない。

 クラウドサービス企業iLandの事業開発担当シニアバイスプレジデントのダンテ・オルシーニ氏によれば、機能をアプリケーション層で設計しない限り、複雑性は大幅に増す。

 「アプリケーションのインテリジェンス性が高く、ワークロードの状態を把握してクラウド環境に追加ワークロードのインスタンスを作成できるようプログラミングされたオンプレミス環境はまだ登場していない」とオルシーニ氏は話す。

分割して征服

 もっとニッチだがクラウドバーストに向いているアプリケーションもあると解説するのは、マネージドITサービス企業Trustmarqueのジェームズ・バトラー最高技術責任者(CTO)。

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