企業向けデータ管理の主要技術、2017年はどうなる?テープがついに引退し、クラウドをDRで利用?

2017年、企業でのデータ管理の在り方はどのように変わるのか。DR目的でのクラウド利用やテープストレージの終わりの始まりなど、起こり得る5つの事象を予測する。

2017年03月17日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 2017年になり、企業でのデータ管理の在り方はどのようになるのかと思いを巡らせていた。ここでは、幾つかの予測を述べる。

1. 業務継続性を高める目的でクラウドを利用する

 最近まで、ディザスタリカバリー(DR)目的でのパブリック/共有クラウドの利用には、それを阻む2つの大きな障害があった。1つ目はデータの所在地(保存場所)についての問題、2つ目はプライマリーのデータセンターからクラウドへのワークロードの移行を効果的に管理できるツールがなかったことだ。しかし、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Hewlett Packard Enterpriseなど、大手のクラウドサービスプロバイダーは、幾つかの法的管轄区域において、現地に施設を建築することで、データの所在地の問題を解決した。また、Veritas Technologiesなど一部のベンダーは、現在、データのレプリケーションの自動化や、ワークロード移行のオーケストレーションが可能なツールを提供している。これにより、あらゆる規模の企業、中でも中堅企業が、リスクとコストの両方を低減できる代替技術としてクラウドの利用を検討できるようになってきた。クラウドを導入することで、専用のDR施設を維持しなくても済んだり、DRの対象になる運用ワークロードの範囲を拡大できたりする。

2. テープストレージの終わりの始まり

 ディスクストレージデバイスに重複排除機能が導入されたことで、テープドライブの利用が縮小した。テープストレージは、多くのエンタープライズデータセンターで、長期のバックアップ用のデータ保管にしか使用されなくなっている。しかし2017年にはついに、長期保管にさえテープは使用されなくなるだろう。企業は、長期のデータ保管目的でクラウドにデータをバックアップするようになる。この動きは、クラウドストレージの値下げ、データセキュリティの信頼性の向上、クラウドに保存するデータの重複排除機能の成熟によって促進されると考えられる。依然として企業はテープの輸送やストレージ費用、高価な機器の保守料金など、テープの管理に年間数百万ドルを費やしている。2017年、テープストレージの束縛から自らを解放し、より安価で高速なバックアップを利用するようになるだろう。

3. GDPRによってデータ管理ポリシーの導入を余儀なくされる

 2018年5月に欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されるため、企業は、2017年中にGDPRに準拠する準備を整える必要がある。企業は、以下の4つの難問に答えられるようにならなければならない。

  • 保存されている個人データは参照でき、詳しい情報を引き出せるか
  • 特定のデータ主体(data subject)について、全ての情報の所在地を明示できるか
  • 要請されてから短期間で要請者にデータを提供できるか
  • 保存されている個人データを何に利用しているか、または、個人データが保護されていることを証明できるか

 企業がこれらの問いに答えられるようになるには、長年先送りにしてきたデータ管理に本格的に取り組まざるを得ない。だがその結果、データのストレージと管理費用の削減というおまけが付いてくる。

4. ソフトウェア定義型ストレージがメインストリームになる

 2017年はスケールアウト型のプライベートクラウドインフラストラクチャで実行されるワークロードが18%増える見込みだ。この新しいハイパースケール環境では、データストレージに新しいクラウドスケールのアプローチが求められる。これは、現在のSAN接続のモノリシック型ストレージシステムではなかなか対応できない。企業は2016年を通して、新しいスケールアウト型のソフトウェア定義によるストレージ管理方法を模索してきた。2017年は、その運用を始めるだろう。このようなソリューションなら、コモディティハードウェア(サーバ、SSD、HDD)を活用して、費用対効果が高く、ポリシーベースで、パフォーマンスの優れたストレージサービスを提供できる。さらには、オンプレミスとパブリッククラウドのストレージプールを統合することもできる。

5. ビッグデータプラットフォームがメインのリポジトリになる

 2016年に意外だったのは、分散データ処理ソフトウェア「Apache Hadoop」ベースのビッグデータリポジトリを保護する方法を多くの顧客から尋ねられたことだ。どうやら、データ分析の導入が進み、かつてないほど多くのデータがHadoopプラットフォームにアップロードされるようになったことで、今やHadoopプラットフォームは企業にとって失うことができない貴重な存在になっているようだ。実際、このようなビッグデータプラットフォームは、エンタープライズマスターデータのリポジトリとして利用されている。データが失われたり、破損したりした場合、単純にデータの再アップロードで済む問題ではなく、ビジネスを左右するほどの問題になる。

 以上が、筆者の2017年度のエンタープライズデータ管理に関する5大予想だ。読者はどう思われるだろうか。


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