2017年08月29日 08時00分 UPDATE
特集/連載

Computer Weekly製品導入ガイドHANAの実装を巡る混乱に翻弄されるSAP顧客

HANAに関する混乱のために、多くの顧客が二の足を踏んでいる。その課題について専門家に解説してもらった。

[Jim Mortleman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 SAPは2014年の「Run Simple」キャンペーン開始当時、「SAPは扱いにくくて複雑だ」という評判を変えたいと考えていた。その中心にあったのが、2010年に導入されたインメモリカラム型データベースの「HANA」だった。従来型のリレーショナルデータベースと比較して、HANAにはクエリが超高速で、リアルタイムの分析と報告ができるというメリットがある。

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 だがその後数年、HANAベースの製品やシステムの混乱が続き、多くの顧客は頭を抱えた。

 数々の製品に加えて「HANA Cloud Platform」や「Business One Cloud」があり、CRMや「Business Warehouse on HANA」のようなSAPコンポーネントも数多い。そしてもちろん、同社の主力ERPの「Business Suite on HANA」と、フル機能を装備した後継の「S/4HANA」もある。同社はまた、HANAブランド下でアプリやアクセラレーターを含む幅広い製品やサービスを展開している。

明瞭さが不十分

 英国とアイルランドのSAPユーザーグループが最近実施した調査では、ユーザーの70%が「S/4HANAへの移行ルートについて、SAPは明瞭に伝えることができていない」との認識を示した。

 長年SAP製品を使ってきたオーダーメイドブラインドのメーカー、Hillarys BlindsのICT責任者ジュリアン・ボンド氏は言う。「それはマーケティングの仕事だとSAPは考えている。これには良い点もあるが、顧客層には何がどうなっているのか全く見当が付かず、実際のところ、それ自体があらゆる混乱を引き起こしてきた」

 Hillarysは、アップグレード作業を半年という目覚ましいペースで完了し、2016年に実働させた。だがボンド氏によると、「われわれはBusiness Suite on HANAに移行した。これは、もともとS/4HANAになるはずだった。ところがSAPはゴール地点を動かして、その後に新バージョンをリリースし、それが実際のS/4HANAだと言っている」という。

 Hillarysは結果として、盛んに宣伝されているアプリポータル「Fiori」のような先端の機能を全面的には活用できていない。

HANAの課題

 SAP顧客にとっての問題は、S/4HANAへ移行するかどうか、そしてどう移行するかを決めることが、決して簡単ではない点にある。「スイッチを入れるような単純なことではない。単純なアップグレードではなく、非常にコストがかかる再実装になることもある。SAPの現在の主力製品セットは、40年以上前に構築され、4億行のコードがある。顧客は集中的なカスタマイズのために多額を投じてきたのに、S/4HANAへ移行すればそれを書き換えなければならないかもしれない」。SAPやOracleなどのソフトウェアサポートを手掛ける独立系サポートスペシャリスト、Rimini Streetのセバスティアン・グレイディ社長はそう語る。

 「率直に言って、組織がコストや費用対効果についてどうすれば理にかなった計算をできるのか、私には分からない。なぜなら顧客は必要な情報を全ては持っていないからだ。効果も実証されておらず、開発に何年もかかりそうなシステムのために、顧客があえてリスクを取る理由があるだろうか」

 一方、ビジネスのデジタルトランスフォーメーションが進む中で、SAPを支持する顧客がいずれS/4HANAに移行することは避けられないとの見方もある。

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