2017年09月04日 05時00分 UPDATE
特集/連載

IT部門の選択肢はNAS置き換えを狙う「オブジェクトベースストレージ」の基本と主要ベンダー (1/3)

多くのベンダーが、拡張性の高いオブジェクトレベルのストレージ製品を提供している。これらの製品はファイルインタフェースを備えることで、NASに代わる選択肢として手軽に利用できるようになってきた。

[Chris Evans,TechTarget]
主要ベンダー、日立データシステムズのWebサイト《クリックで拡大》

 NASファイルサーバは過去25年間にわたり、非構造型データ(古典的なデータベース形式に収まらないデータ)を保存するための伝統的な手段だった。非構造型データとはいうものの、これは内部に構造を持たないデータを意味するわけではなく、ファイルが基本的にバイナリオブジェクトだというにすぎない。オブジェクトストアは伝統的なファイルサーバに代わる方式として普及が拡大しており、多くのベンダーがオブジェクトレベルのストレージでありながら、ファイルベースのインタフェースを通じてデータにアクセスする製品を提供している。

 本記事では、非構造型データを保存する方法としてオブジェクトレベルのストレージとファイル方式を組み合わせた手法の長所と短所を論じるとともに、この手法を採用した製品を検討している企業のIT部門にはどんな選択肢があるのか検討する。

NASの基礎

 NASは、IT業界において異なる方面から登場した2つの技術を利用する。NFS(Network File System)とSMB(Server Message Block)だ。Sun Microsystemsが開発したNFSは、非Windowsのネットワーク上でファイルコンテンツにアクセスするための標準プロトコルとなっている。SMB(以前は「CIFS:Common Internet File System」と呼ばれていた)は、Microsoftプラットフォーム用のファイルプロトコルだ。両技術ともその登場以来、急速な進化を遂げ、パフォーマンスと拡張性の向上を通じて単純なファイル共有にとどまらない高度な機能を提供するようになった。

 伝統的なNAS技術は、ハードウェア障害時にデータを復元するための保護メカニズムとしてRAIDを用いる。ベンダー各社のNAS製品の多くはデュアルコントローラーアーキテクチャをベースとし、スケールアウト機能を備えるものもある。ファイルシステムは物理ストレージメディア上に構築し、NFSまたはSMBを使用するネットワークからこれらのファイルシステムにアクセスできる。

NASとオブジェクトストレージの共通点

ファイルベースのNASとオブジェクトストレージは、同じタイプのデータ(ファイル階層内部あるいは外部の非構造型データ)に対応できる。両方式ともスケールアウトアーキテクチャを備えるため、何十億個とまではいかなくても何百万個ものオブジェクトを保存できる。


 データストレージの手段としてファイルシステムを利用するのは、使い勝手の面で以下のような問題を伴う。

1. 拡張性の問題

 シングルノードNASあるいはフェイルオーバー型デュアルノードNASでは、ファイルシステムがOSの1つのインスタンス上に存在する。これには、ファイルの作成やロック、更新といった「イミュータブル」(変更不可能)な処理に対応するのが比較的容易だというメリットがある。だが、ファイルシステムを拡張するのは容易ではなく、多数のノードを扱う場合に複雑化する。

2. データの整合性

 ファイルシステムはデータを構造化して保存する。これらの構造は、論理ディスクボリュームあるいは物理ディスクボリューム全体にわたってメタデータとファイルコンテンツを保持する。ファイルサーバの電源が遮断した場合、システムはファイルシステムチェック(FSCK)を実行し、電源遮断時のデータの状態を検証しなければならない。ファイルシステムの実装方法によっては、この遅延が大きくなる可能性がある。NetAppの「Data ONTAP」などのシステムでは、不揮発性メモリを使って大量のデータをコミットすることによりFSCKの負荷を軽減している。

3. RAID保護

 デイビッド・パターソン氏、ガース・ギブソン氏、ランディ・カッツ氏が1987年に発表した論文でRAIDを提唱して以来、この技術はストレージアプライアンスの主要な保護手段となった。RAIDは大きな役割を果たしたが、論文が書かれた時点での予想以上にHDDの容量が増加したために拡張性の限界に近づいてきた。今日、RAIDは再構築に長い時間がかかるという問題を抱えている。場合によっては再構築に何日も要することもあり、この問題は容量12TB超のHDDの普及拡大でさらに深刻化しそうだ。

 RAIDの制約は他にもある。これは、RAIDが単一のアプライアンスに保存されたデータを対象とした技術であるからだ。デバイスの障害よりもさらに厄介な問題に対してデータを保護するには、データを複製し、地理的に分散した場所にデータ全体のコピーを作成しなければならない。

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