超高速カラム指向型エンジンと一体化した次世代データベース登場、その実力は?OLAPもOLTPもこれ1つで低価格に実現

主要な商用データベースは高過ぎる。でも安いだけのデータベースにも不安がある。そんな企業に知ってほしい、コストと機能のバランスが取れたデータベースが登場した。

2017年10月02日 10時00分 公開
[ITmedia]

 企業システムの構築・運用に携わる情報システム担当者にとって、目下最大の課題の1つが「データベース製品のコスト問題」だ。これまでエンタープライズ系データベースの主力を担ってきた製品が、数年前に製品ラインアップと価格体系の大幅な変更を実施し、多くのユーザー企業にとって保守費用の負担が大幅に跳ね上がっているためだ。

 それではと、同等の機能を持つ他の製品に思い切って乗り換えたとしても、ある程度のコストは削れるものの、大幅なコスト減までには至らないことが多い。オープンソースソフトウェア(OSS)のデータベース製品に乗り換えれば、コスト面では大きなメリットが生まれる。だが機能面で不満を感じたり、実績があってもサポート面でどうしても不安が拭えなかったりする人もいるだろう。

 近年ではビジネスにおけるデータ活用のニーズが急速に高まっており、多くの企業がデータ分析やビジネスインテリジェンス(BI)のためのデータベース基盤構築に乗り出している。当然のことながら「より大容量」「より高速」を追い求めていくと、データ分析基盤の構築・運用にかかるコストも跳ね上がっていってしまう。

 こうした幾つかの事情が重なった結果、現在データベース製品の費用対効果を根本的に見直す動きが各所で起こりつつある。まだ「これだ」という決定打は見つかっていないものの、解決策となり得る製品も徐々に登場しつつある。コストパフォーマンスの高いデータベースの新たな選択肢を見ていく。

エンタープライズ系データベースの新たな選択肢「Actian X」

 オープンソースのデータベース製品として、近年ではエンタープライズ用途でも徐々に使われるようになってきた「PostgreSQL」。この一風変わった製品名が「Post-Ingres」、つまり「Ingres」という別のデータベース製品の名前に由来していることをご存じだろうか。

 日本の一般ユーザーの間では決して広く知られているとはいえないIngresだが、実はリレーショナルデータベース(RDB)製品の元祖ともいえる古い歴史を持つ製品だ。現在、広く普及している商用RDB製品の多くが、このIngresの系譜を継いでいる。

 これまで米国のActianが提供してきたIngresは、世界中の数多くの大手企業に採用され、長らく実績を積み上げてきた。一方、日本市場ではこれまで本格的な販売には至っていなかったが、このたび「Actian X Hybrid Database」(以下、Actian X)と名前を変えて、長年、組み込み用データベース「PSQL」の販売を手掛けてきたエージーテックが2017年10月2日、正式に提供を開始することになった。

 Actian X最大の魅力は、何といってもその高いコストパフォーマンスにある。既に世界中で長く実績を積み上げてきた老舗のエンタープライズ系データベース製品でありながら、競合製品よりはるかに安価に入手、利用できる。さらにエージーテックは、Actian Xの国内向け販売記念特別価格を設定しており、CPU2コアのベーシック構成のライセンス価格が65万円から、そして8コア以上の上位ライセンスでも8コアで500万円からと、競合製品のおよそ半額という低価格を実現している。このActian Xを採用したアプリケーションベンダーには、同条件での継続取引の交渉も応じるという。

 とはいえ、安いからといって機能面で劣っているわけでは決してない。ハイエンド製品と比べると、ごく一部の高度な機能で劣る面もあるが、一般的なエンタープライズ用途で必要とされる機能は一通り網羅している。

画面 画面 Actian Xの管理画面《クリックで拡大》

超高速のカラム指向型データベースエンジンと一体化

 Actian Xは、単にオンラインシステム用のRDB製品としてコストパフォーマンスに優れるだけではない。その正式名称に“Hybrid(ハイブリッド)”という言葉を含む通り、もともとIngresが得意としてきたオンライントランザクション処理(OLTP)に加え、データウェアハウス(DWH)やデータ分析といったオンライン分析処理(OLAP)用途に最適化した列指向型データベースのエンジンも内包している(図)。

 この列指向型データベースは、もともと別製品として販売されていたものであり、その処理性能を評価する企業は世界に広がっている。データベース製品の性能を評価する世界標準のベンチマークテスト「TPC-H」では、一般的OS(WindowsもしくはLinux)で動作するデータベース製品をしのぐ結果を記録している。

 高性能であるにもかかわらず、運用に手間が掛からないメリットもある。DWHアプライアンス製品のように専用のハードウェアを使うのではなく、汎用(はんよう)サーバ製品のみで構築できる。かつインデックスを構築したりキューブ(多次元データベース)を作成したりする必要がなく、チューニングレスで容易に運用できる。

 Actian Xは、この列指向型データベースをOLTP用のデータベース機能と一体化しているため、同じデータベース内にOLTP処理用のテーブルと集計・分析処理用の列指向型テーブルを共存させることができる。当然のことながら、どちらも同じ管理ツールを使って、単一のセキュリティポリシーに基づき一括管理できる。

 OLTP用のデータベースとDWH用のデータベースを個別に構築・運用する場合と比べれば、運用効率が劇的に向上するのは誰の目にも明らかだ。加えてActian Xには、Actianがこれまで長年にわたって提供してきた高信頼のETL(データ抽出、加工、転送)ツール「DataConnect」も含んでおり、外部システムとのデータ連携も柔軟にできる。

図 図 Actian Xの構造

ハイブリッドデータベースがもたらす新たな価値

 ハイブリッドデータベースの価値は、単にOLTPとOLAPを単一のデータベースで効率的に管理できるようになるだけではない。むしろその真の価値は、OLTPとOLAPという異なるワークロード(処理)を、アプリケーションから単一のインタフェースを通じて実行できる点にある。

 アプリケーションは、Actian Xのデータベース内に存在するOLTP用の行指向型テーブルに対して読み書きをする際も、OLAP用の列指向型テーブルに対して大量検索を掛ける際も、同じデータベースコネクション(接続)を通じて、同じSQLの文法を使って処理できる。つまりActian Xを使えば、オンラインアプリケーションのデータベースも、BIアプリケーションのデータベースも、全て1つのデータベース基盤でまかなえるのだ。

 既存のオンラインアプリケーションにデータ分析機能を加えたり、逆にBIアプリケーションにオンライン処理を追加したりする場合も、従来の開発スキームの延長線上で異なるワークロードを手軽に追加できるようになる。アプリケーション開発者にとっても、Actian Xはこれまでにない可能性をエンタープライズアプリケーションにもたらすものとして注目に値するだろう。

 アプリケーションの保守やメンテナンスを行う技術者にとっても、Actian Xのようなハイブリッドデータベースの存在価値は極めて高い。Actian Xは前述の通り、従来は異なるベンダーの製品を使うことが当たり前だったOLTP系のデータベースとOLAP系のデータベースを、単一ベンダーの単一製品として調達できる。万が一トラブルが発生したとしても、少なくともデータベースソフトウェアに関する問題であれば、同じサポート窓口を通じてワンストップで迅速に対応してもらえるようになるわけだ。

今後はパートナー企業を通じて導入支援サービスも提供

 まだ登場して日が浅いActian Xだが、その基となる製品は既に長い歴史を持ち、世界中の大手企業で長らく利用され続けている。例えば世界中の約300社の航空会社にIT製品/サービスを提供しているドイツのLufthansa Systemsでは、同社の主力製品であるフライト・航路計画用ソフトウェアのデータベースとしてIngresを採用している。航空業界で使われるシステムには、極めて高い安定性とリアルタイム性、高速な処理性能が求められる。こうした要件に応え得るデータベース製品として、Lufthansa Systemsは長らくIngresを採用し続けている。

 Ingresは今後、もともと持つエンタープライズ系データベース製品としての高い機能と実績に加え、世界最高速との呼び声の高いカラム指向型データベース機能とETL機能が一体化された上で、Actian Xと名前を変えて提供されることになる。同製品の日本市場における販売やサポートを担うエージーテックでは、Actian Xの魅力をできるだけ多くの企業に伝えるべく、パートナー企業と協力しながら製品トレーニングや導入支援、コンサルティングサービスなどを今後提供していく。またエージーテックでは、無償の評価版の提供を始め、各種日本語ドキュメント(マニュアルや手順書など)を取りそろえ、新たなデータベースとして市場へ一石を投じていくという。

あらゆる企業にデータベース代替策の提案を

 エージーテックは、同じくActianが提供する中小規模向けデータベース製品「PSQL」の販売も手掛けてきた。PSQLは、「Btrieve」からの流れをくみ、さらにSQLエンジンも一体化しデュアルデータベースエンジンとして長年販売継続しており、既に日本市場において多くのアプリケーションの組み込み用データベースとして実績を積み重ねている。

 PSQLもやはりActian Xと同様、従来の商用RDB製品の運用コストを見直す目的で導入されるケースが多いという。これに今回、大規模向け製品であるActian Xが加わったことで、エージーテックは今後、あらゆる企業に対して既存データベース製品の代替策を積極的に提案していく考えだ。

Actian X製品に関するお問い合わせ先

エージーテック Actian X担当

電話: 03-3293-5230

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