2018年02月05日 08時00分 公開
特集/連載

マルチクラウド神話を打ち砕く(後編)それでもマルチクラウドを夢見る管理者のための処方箋

マルチクラウドは幻想にすぎない。プロバイダーのうたい文句通りにはいかない。それでもマルチクラウドが必要なのであれば、次善策を検討しよう。

[Daniel Robinson,Computer Weekly]
Computer Weekly

 前編(Computer Weekly日本語版 1月10日号掲載)では、クラウドプロバイダーが主張するクラウド間のシステム(ワークロード)移行が容易なことではなく、現実的ではないことを解説した。

 後編では、それを踏まえてクラウド移植性を実現する方法を検討する。

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クラウド移植性を実現する次善策

 機能やサービスはクラウドプラットフォームごとに異なるため、ワークロードが非常に単純かつ自己完結型でない限り、単純にワークロードを別のクラウドに移行するのは難しい。ただし、この困難を回避する方法が1つある。それは、PaaSなど、特定のクラウドプラットフォームに結び付いていないアプリケーション環境を利用する方法だ。アプリケーションに必要なサービスの多くはPaaS自体に多数用意されているため、クラウド間で環境全体を移行できる場合にはPaaSが移行に役立つ。

 Gartnerのテクノロジーおよびサービスプロバイダー調査グループでリサーチディレクターを務めるマシュー・チャン氏は、次のように説明する。

 「PaaSプロバイダーは、実のところIaaSに全く価値を見いだしていない。例えると、家全体を持ち上げて別の場所に移すようなものだ。基盤となるインフラが全てそろっていれば、それほど苦労はしない」(チャン氏)

 その顕著な例が、Red Hatの「OpenShift」だ。このプラットフォームでは、ユーザーがDockerコンテナを使ってアプリケーションを構築、導入できる。Dockerコンテナは、オンプレミス、Azure、AWS、GCPに導入可能なバージョンが用意されている。従って、理論上は先述した任意のプラットフォームにアプリケーションを移植できる。

 だが、ここでも依存関係に関する同じ注意点が当てはまる。アプリケーションが特定のクラウドプラットフォーム固有の機能やサービスを利用していれば、別のクラウドプラットフォームに移行するのは難しくなる可能性がある。ロックイン状態を招く恐れがあるから便利な機能やサービスを使用しないと開発者が考えるのは、恐らく望み薄だろう。

サーバレスコンピューティングの将来性

 PaaSの先に見えるのが、サーバレスコンピューティングと呼ばれる新しいトレンドだ。これは、特定の従量課金機能を中心に構築されたアプリケーションのことで、「Functions as a Service」(サービスとしての機能)とも呼ばれている。その好例が「AWS Lambda」だ。

 ほぼ全てのサーバレスプラットフォームがPythonに対応するため、アプリケーションをPythonでプログラミングすると、コードをプラットフォーム間で簡単に移植できる。繰り返しになるが、アプリケーションコードが非常に汎用(はんよう)的でクラウド固有の特定の機能やサービスへの関連付けがないならば別だが、クラウドごとにサポート機能が異なる場合、シームレスな移行はできない。

 クラウド移植性を実現する上でもう1つの壁となるのが実際のデータだ。

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