キャッシュレス社会のメリットが叫ばれる昨今だが、欧州中央銀行はユーロ紙幣&硬貨の流通量を減らすつもりはないという。彼らが主張する現金のメリットとキャッシュレスのデメリットとは?
デジタル決済の取り扱いが急増している。だが、ユーロ紙幣はこれからも長期にわたって存続するだろう。それは有効な代替手段がないためだ。これが欧州中央銀行(ECB)の見解だ。
ECBの理事イブ・メルシュ氏は、最近の講演で次のように話した。ECBはユーロ圏の国々から、現金の流通量を減らす方法について相談を受けている。だが、ユーロ紙幣はこれからも重要な役割を果たし続けるだろう。
小売業などの事業や個人が少額決済を非接触型技術で素早く行えるようになり、現金の必要性は減っている。例えばVisaが最近英国で行った調査では、ミレニアル世代の59%は個人間決済をスマートフォンで行っていることが分かった。
非接触型カードやスマートフォンを使用した低額商品の決済が急増している。メルシュ氏によれば、2017年にキプロス、ブルガリア、ベルギー、ポルトガル、デンマークが現金の削減についての話し合いをECBに持ち掛けたという。
だが、決して現金が消滅することはないと同氏は話す。「ユーロ印刷紙幣は、これからも長期にわたって社会で法定通貨としての立場と役割を保ち続けるだろう。ユーロ現金の代わりになる有効な手段はない。もちろん、紙、コットン、ポリマーに印刷された形態だけを紙幣といっているわけではない」
「ただ、印刷紙幣がECBの中核事業であることは変わらないだろう。ECBのデジタル通貨に公的な需要があるのであれば、それは現金が技術的に別の形態に変わるにすぎない」(メルシュ氏)
「代替決済方法がユーロ現金に取って代わる可能性はない。現金を補完するにすぎない。そのため、ユーロシステムはユーロ現金が存在することを保証し続けなければならない。欧州の人々の基本的な権利と自由を保護するためにユーロの紙幣と硬貨が果たす役割を守るには、現金を存続させるしかない」
メルシュ氏は、現金があればユーザーは自分自身を保護することができると話す。決済に現金を使えば、自身の取引を企業や政府に追跡されることはないためだ。同氏は次のように付け加える。
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