2018年05月08日 08時00分 公開
特集/連載

Computer Weekly製品導入ガイド5G時代のネットワーク戦略

クラウドベースのワークロードには高い柔軟性が要求される。企業がそれに対応するためには、WAN戦略をどう見直すべきなのか。その鍵を握るのが5Gだ。

[Rene Millman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 クラウドベースのワークロードが増え続ける中で、エンタープライズWANには一層のアジャイル性と柔軟性が求められている。

Computer Weekly製品導入ガイド無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly製品導入ガイド」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。


 そうしたアジャイル性と柔軟性は、最新のソフトウェア定義WAN(SD-WAN)に盛り込まれている。だがそれは、次世代技術について企業が戦略の再考を求められることを意味する。

 現代のエンタープライズエコシステムにおける主要ネットワーク全てにいえることだが、次世代のWANはソフトウェア定義性が一層高まる。「われわれは既に、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)技術がWANに与える多大な影響を目の当たりにしている。SD-WANサービスが開始され、今や広範に使われるようになった」。Verizonの製品戦略担当副ディレクター、オリバー・カンター氏はそう語る。「このトレンドは今後も加速する見通しだ。SDプラットフォームを通じてWANを管理するプロセスは、一層の成長が見込まれる」

恩恵を解き放つ

 カンター氏によると、当面はビジネスおよび顧客の需要に応じてSD-WANのメリットを活用することの重要性は明白で、成長も著しい。「加えて、WANの調達モデルや契約モデルは、CAPEX(設備投資)よりもOPEX(運用経費)に照準を合わせたユーティリティーベースモデルや、従量制の月額ライセンス方式へと進化するだろう」と同氏は予想する。

 次世代ネットワークが必要とされる背景にあるのが多様性だ。企業はサービス提供のペースを速めて、質の高いサービスを維持しながらIT経費の削減と運用コストの改善を目指す。その試みの中で、アジャイル性が高く、デプロイが容易なシステムに目を向けている。

 クラウドベースアプリケーションとインフラプラットフォームは、高いレベルの事業目標の達成に適している。企業は「Office 365」や「Salesforce」のようなSaaSを採用し、そのためにインターネットは企業のバックボーンに欠かせない要素になった。

 ThousandEyesの上級製品マーケティングマネジャー、アーチャナ・ケサバン氏によると、インターネットが企業の通信のバックボーンになる場合、ネットワークモニタリングを内部に緊密に統合した次世代WANについて、組織は積極的に考える必要がある。

 「こうしたトレンドが続き、IoT(モノのインターネット)が普及し続ければ、ネットワークとアプリケーションの無数の依存状態を前提として、敏速で反応が良く、クラウドに優しい、より安定した次世代WANに対するニーズ、さらにはこの種の環境用ネットワークモニターソリューションに対するニーズが一層高まる」。ケサバン氏はそう語る。

 だが問題なのは、誰が何の目的で次世代WANを使うかという点にある。Freeform Dynamicsのエンゲージメント担当ディレクターで著名アナリストのトニー・ロック氏は言う。「5Gのような開発のビジネスケースは、明白とは程遠い。特に無線周波数免許を取得して中核インフラを構築しなければならない通信会社にはそれが言える」

 ロック氏によると、まだやるべきことは多いものの、これまでのところ技術標準はうまく開発されている。だが、どんな顧客がそれを使うために料金を払ってくれるのか、どの程度であれば支払ってくれるのかという疑問については、納得のいく対応がなされていない。

 「臆測で、IoTには5Gが必要だとよく言われるが、実際はそんなことはない。あるいは、今よりもはるかに普及が進むまでは必要とされない。しかも、成長予測は少なくとも、やや楽観的に見える」(ロック氏)

 公的インターネット経由のアクセスは、まだ企業が必要とするサービス品質やパフォーマンス、安定性を提供できるほど信頼できる状態にはないという認識によって、次世代WANへのシフトは加速されている。ネットワーク管理者は、データの転送に関する限り、柔軟性と選択肢を必要とする。

 SSE Enterprise Telecomsの最高ネットワークアーキテクト、コンラッド・マロン氏は言う。「ここで鍵を握るのは、顧客の需要に見合った適切なインフラを選択できるかどうかだ。もし、低コストのプライベート接続が広く普及していれば、そちらを優先的に選ぶだろう。だが、インターネットや無線バックホールのような代替手段の方がリーチに優れていて速度も速く、あるいはコストが低い場合、そちらも検討しなければならない」

 システムインテグレーターTeneoの最高技術責任者(CTO)マーク・ソラーズ氏によると、そうした複雑性を増すWANについては、ユーザーエクスペリエンスからクラウドに至るまでのグローバルネットワークをエンドツーエンドで把握できる戦略や、WANのパフォーマンスとセキュリティ管理に使われるプロセスの多くを、ネットワークチームとその予算にできるだけ負担をかけずに自動化する戦略が求められる。

 「今や多くのネットワーク技術が、サービスとしてのデリバリーモデルで利用できる。その技術をどう管理するか検討することは、どんなネットワーク技術を導入するか決めることと同じくらい重要だ」とソラーズ氏。

 グローバル企業が自前のWANを運営すれば、

  1. 新しい現場やサービスのプロビジョニング高速化
  2. デバイス設定の簡略化と高速化およびアプリケーション駆動型パフォーマンスルールに基づく安定性の向上
  3. トラフィックのルーティングのスマート化による全般的なネットワークコストの削減と、コストがかさむMPLSネットワークへの依存低下

という3点を根本的に改善できる。ほとんどの企業は、このうちの1つ、あるいは3つ全ての改善を求めている。

 SD-WAN技術は、グローバル企業がネットワークトラフィックとパフォーマンスのオプションを中央で手早く設定することによって、アプリケーションパフォーマンスを向上する手助けができる。調査会社IDCは、2021年までにSD-WAN市場は80億ドル(約8500億円)規模になると予測する。

 「企業は拡大や成長のために、MPLSやインターネットから4Gに至るまで、さまざまな種類の接続を使っている。だが、支部のアプリケーションパフォーマンス不良、接続問題、ユーザーのデバイス切り替えに伴う暗号化に関するセキュリティ不安、時間とともに上昇するネットワーク管理コストといった課題が浮上する」(ソラーズ氏)

 さらには、ソフトウェア技術とハードウェア技術の混在を前提として、SD-WANは物理ネットワークとコンポーネントからのコントロール層を形成する。「これで、ネットワークチームが適切なトラフィックを異なる接続を介してルーティングしたり、新しい現場のネットワークニーズをリモートから設定したりすることが可能になり、場当たり的なプロビジョニングを回避できる」(ソラーズ氏)

コントロールと視界の低さ

 多くのIT管理者にとっての問題は、自分たちのネットワークをほとんどコントロールできず、見通すこともできていない点にある。

ITmedia マーケティング新着記事

news086.jpg

「CMOには事業部門間をつなぐ役割がある」と9割が認識――Accenture Interactive調査
Accenture Interactiveの調査によると、最高マーケティング責任者(CMO)が、これまで以...

news067.jpg

カスタマージャーニーの設計に多様性のあるチーム作りが重要である理由
カスタマージャーニーマップをどう描くか。「Gartner Symposium/ITxpo 2018」におけるGar...

news125.jpg

Instagram「ショッピング機能」、動画対応など3つのアップデート
Instagramは、「ショッピング機能」における3つのアップデートを発表した。