独自アプリも実装可能なTensorFlow Lite搭載スマートウォッチ「Bangle.js」ハックしたくなる要素山盛り

JavaScriptで独自アプリを開発・実装でき、TensorFlow Liteを利用したAIアプリも作れる。ハードウェアは分解も容易。そんな開発者を刺激する要素満載のスマートウォッチとは?

2020年01月15日 08時00分 公開
[Adrian BridgwaterComputer Weekly]

 アイルランドの州都キルケニーは「Node.js」コミュニティーのカンファレンス「NodeConf EU」の開催地として知られることになった。このカンファレンスにはNode.jsに魅了された専門家が集った。Node.jsはJavaScriptをブラウザ外で実行できるようにするオープンソースでクロスプラットフォームのJavaScriptランタイム環境だ。

 2019年は、NearForm ResearchとEspruinoが共同で用意したカンファレンスバッジ「Bangle.js」が出席者を驚かせた。そのバッジは機械学習を駆動するスマートウォッチで、昔ながらの地味なストラップと名札よりも素晴らしかったのは間違いない。

 Bangle.jsはGoogleの「TensorFlow Lite」を通じて機械学習を駆動する初のオープンソースJavaScriptスマートウォッチだといわれている。このスマートウォッチは、安価な家電にJavaScriptと機械学習を採用する流れを主流へと押し上げる一歩になると期待されている。

 開発者は、Bangle.js機器用に独自のAIアプリケーションを作成できることになる。

 Bangle.jsには機能やアプリがあらかじめ搭載されている。GPS、コンパス、心拍計、地図、ゲーム、BluetoothによるPCアプリケーションのジェスチャーコントロールなどがその例だ。

 NearForm Researchの最高製品責任者(CPO)コナー・オニール氏は次のように語る。「Bangle.jsは1つの端末や1つのコードベースにはとどまらない。当社だけのものでもない。誰でも互換性のある端末を構築したり、使ったりできる。誰でも自身のデータを保持できる。私見だが、コミュニティー主導のオープンな医療プラットフォームを自力開発することも可能だ。機械学習は医療技術の重要な側面だ。当社はTensorFlowというオープンソースプロジェクトにさらに深く携わることに喜びを感じている」

 ウオーターフォードに拠点を置く同社は、幅広い業界に及ぶアイルランド企業や国際企業にプロフェッショナルな技術コンサルティングを行うことで知られている。「当社が成すことは全てオープンソースに端を発する」というのが同社の主張だ。

腕時計メーカー

 開発チームは、ある程度高機能の市販スマートウォッチにEspruinoのコードを移植することで、その全てのセンサーにJavaScriptプログラマーがアクセスできるようにした。

 この最初のBangle.js端末はドライバーだけで簡単に分解でき、部品の修理と交換が容易になっている。

 TensorFlow Liteのマイクロ版も移植されており、TensorFlowコミュニティーがインプットした機械学習機能も提供する。また、機械学習ジェスチャー検出アルゴリズムを設計し、ユーザーが「Microsoft PowerPoint」などのアプリケーションをハンドジェスチャーで制御できるようにした。

 同社の説明によれば、昔ながらのプログラマーでもプログラマー以外でも、「Blockly」(訳注)またはローコードプログラミングツール「Node-RED」を使ってBangle.jsを操作できるという。

訳注:Googleが無料で提供しているビジュアルプログラミングツール。Scratch風のブロックをマウスで組み合わせると、JavaScriptやPython、PHPなどのコードが生成される。



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