クラウドのいいとこ取りを実現したオンプレミスシステムの作り方HPE GreenLakeを選ぶべき理由

多くの企業でクラウド化が進む一方で、クラウドであること自体が目的化してしまい、導入がうまくいかないケースもあるようだ。クラウドのメリットをもっと上手に享受できる仕組みはないのだろうか。

2019年03月29日 10時00分 公開
[ITmedia]

 昨今の企業システムは、「クラウドファースト」で検討することが一般的だと考えられている。経営陣が大幅なコスト削減を期待し、トップダウンでパブリッククラウド化を推進することが求められているIT担当者も少なくないだろう。

 しかし一方で、短絡的なクラウド万能論に懐疑的な担当者もいるはずだ。いち早くクラウド化を進めた大手企業がオンプレミスシステムに舞い戻ったというニュースもしばしば耳にするようになった。クラウドのメリットは理解しつつも思うように導入に踏み出せないというのが、多くの組織の現実ではないだろうか。

 パブリッククラウドを全面的に活用する際には、新しいガバナンス体制と業務プロセスを構築しなければならない。既存のオンプレミス環境で稼働しているアプリケーションと膨大なデータを移行する必要もある。もちろん前提として、どのリソースをクラウドへ持っていくか、持っていくことのできないリソースはないか、細かに検討しなければならない。

「クラウド化によって果たしたい目的が、総合的なコスト削減か、使った分だけ料金を支払うという利用形態、あるいは拡張性といったことにあるのならば、導入するのはパブリッククラウドでなくともいいのではないでしょうか。当社の『HPE GreenLake フレックスキャパシティ』はオンプレミスシステム型でありながら従量課金制を適用したサービスで、拡張性にも富んでいます」と、日本ヒューレット・パッカードの酒井 睦氏(Pointnext事業統括OSビジネス開発本部ソリューションビジネス開発部部長)は説明する。

 HPE GreenLake フレックスキャパシティにおいては、インフラの設計と構築、ハードウェアやソフトウェアの運用と保守、監視まで、日本ヒューレット・パッカードとパートナー各社がまとめて面倒を見てくれる。

 システム構築で最も難しいサイジングは経験豊富なエンジニアが適切に検討してくれるし、ビジネスの成長に従ってインフラの増強が必要になった場合でも、柔軟に拡張できる。HPE GreenLake フレックスキャパシティは、オンプレミスの信頼性とクラウドの運用性を兼ね備えた“いいとこ取り”のサービスなのだ。

信頼性と柔軟性とコスト削減を同時に実現

 ある国内大手製造業A社は、2014年ごろからトップダウンでクラウドファーストを推進した。8割方のシステムをパブリッククラウドへ移行し、所有型から利用型のITへの転換に成功した。コストを削減するとともに、市場やビジネスの変化に追随できる柔軟性と俊敏性を持ったITシステムを実現し、海外のライバル事業者に対して強力な競争力を身に付けつつあった。

 問題は、残りの20%のシステムだ。これらはコストや技術的な制約、あるいは社内ポリシーとの整合性という観点から、パブリッククラウドへ移行することが困難だった。例えば、製造業の根幹ともいえる設計データは、オンプレミスのシステムで管理せざるを得ない。結局、移行に成功した8割のシステムは一般的なアプリケーションが中心であり、ビジネスの中核を担うシステムは実質的に今まで通り何も変わらないままだったのだ。

 ある種の使い分けができていたとはいえ、オンプレミスシステムの更改に当たり、クラウドファーストの大前提は維持したい。大きなコストと時間がかかる旧来のような購買方法で、新しいシステムを調達するのははばかられた。信頼性が高く、かつクラウドライクに利用できるシステムはないかと考え、HPE GreenLake フレックスキャパシティにたどり着いた。

 「HPE GreenLake フレックスキャパシティであれば、オンプレミスでもクラウドのようなサービス契約が可能です。本件では、当社が既存のシステムを買い取り、サービスとして提供し直す形態を取って導入コストの削減を図りました。当社のアカウントチームによるリソース管理によって、更改時期を調整し、短期間での移行も実現できました」と、酒井氏は振り返る。

 A社は、全国の工場でのGreenLake化も計画しているという。

変化に耐える将来性を持ったIaaS基盤の構築を目指す

 大手製造業のIT子会社であるB社は、ハイブリッドクラウド化を推進しており、基本的にパブリッククラウドへの移行を優先的に進めていた。問題となったのは、外販するIaaSサービスにおける共通基盤の構築だ。どのような基盤であれば、自社の理想とするサービスを実現できるかという点が検討材料だった。

 パブリッククラウドでインフラを構築し、外販サービスを展開する事業者は少なくない。しかしパブリッククラウドでは、想定したSLA(サービスレベル契約)を保つことが難しいこともある。一方で従来型のオンプレミスシステムの場合、調達コストが高額になる。また調達に長い時間がかかってしまうのも問題だった。

 さらに、市場や技術の動向として、今後パブリックとオンプレミスのどちらが主体となっていくか、どちらが有効な選択肢か、予測が難しい点も懸念材料であった。将来的な変化によっては、やはりパブリッククラウドへの転換も視野に入れておく必要がある。そこでB社は、HPE GreenLake フレックスキャパシティを活用して新規共通基盤を構築した。

B社はこのIaaSサービスに自信を持っており、成長と共に基盤を拡張していくことも予測していた。だが、伸び率の予測は難しい。またオンプレミスシステムの場合、インフラの拡張に従って運用の難度が上昇する点も見逃せない。

 「そこでB社は当社のアカウントチームの包括サポートを含む契約を選択し、SLAを維持して安定稼働するための体制を整えました。月額制の従量課金型モデルであるため、収支のバランスを採りやすい点も評価していただいています。一般的な調達よりも社内承認を得やすく、短期間での拡張が可能になったとのことです」と、日本ヒューレット・パッカードの最上 慶一氏(Pointnext営業統括本部コンサンプションIT営業開発本部担当部長)は語る。

 B社は、このIaaSサービスを段階的に大規模なものへと成長させていきたい考えだ。サービス型で柔軟性と迅速性に富んだHPE GreenLake フレックスキャパシティがそうした戦略と高い親和性を持つことは、言うまでもないだろう。

 現代の企業にとってクラウドファーストが重要な課題であることは間違いない。ただし、クラウドに適さないシステムの存在は常に念頭に置く必要がある。それらに対しても、どうすればクラウド同様の恩恵を与えることができるか。その意味でHPE GreenLake フレックスキャパシティは、クラウドに近い環境構築のために取り得る選択肢の1つといえるだろう。

 「企業や組織ごとに、チャレンジする部分は大きく異なります。グローバルで8年、さまざまな経験を積んだ私たちであれば、あらゆるニーズに、しっかり合わせることが可能です。HPE GreenLake フレックスキャパシティは、さらに役立つソリューションへと進化していくことでしょう」(酒井氏)


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