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オープンソースベンダーとの上手な付き合い方Column

オープンソースソフトウェア(OSS)ベンダー企業はコストの安さを宣伝したがる。だが、彼らは大抵、ソフト自体のコストにしか言及しない。OSSベンダーとビジネス交渉を行うには、プロプライエタリなベンダーとの交渉の場合と同様に、十分な準備が必要だ。

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 かつては無料で一切コストが掛からないなどと言われていたオープンソースだが、オープンソースソフトウェアベンダーといえども企業であり、当然利益を上げることを目的としている。従って、オープンソースベンダーとビジネス交渉を行う企業は、プロプライエタリなベンダーとの交渉の場合と同様に、十分に準備しなければならない。

 OSSベンダーは売り込みの際にソフトウェアの特徴や機能がいかに素晴らしいかを説明するが、そうした場でユーザーが聞くべきことは、そのベンダーがサポートプログラムとさらに重要なライセンスモデルに関して、プロプライエタリなベンダーやほかのオープンソースベンダーと、どのように差別化しているかなのだ……

 オープンソースソフトウェア(OSS)ベンダーは、旧約聖書に登場する巨人ゴリアテに立ち向かう少年ダビデのように、プロプライエタリなベンダーに挑む挑戦者と見られて得をしているかもしれない。だが、そうした清新なイメージに惑わされてはならない。

 オープンソースベンダーはプロプライエタリな大企業とまったく同じように、利益を上げようと懸命だ――。先ごろ米マサチューセッツ州ニュートンで開催されたオープンソース・ビジネスカンファレンス(OSBC)では、出席者やアナリストから次のような声が聞かれた。オープンソースベンダーとビジネス交渉を行う企業は、プロプライエタリなベンダーとの交渉の場合と同様に、十分に準備しなければならないという。

 適切なオープンソースビジネスアプリケーションを見つけて最良の包括的サポート契約を結ぶためには、ベンダーに尋ねるべきことや、どのような交渉材料があるかを知っていなければならない、と出席者は話している。その多くはシュガーCRMやスリーピーキャットソフトウェアといったオープンソースアプリケーションベンダーと取引している。

 「以前は、オープンソースは無料で、一切コストが掛からないなどと思われていた」とOSBCで講演したIT市場調査会社の米レッドモンクの主席アナリスト、スティーブン・オグレーディ氏は語った。「だが、オープンソースアプリケーションベンダーは企業であり、利益を稼いでいることを理解することが重要だと思う」

ライセンスモデルについて尋ねる

 OSSベンダーは主に、オープンソースアプリケーションのサポートを売るビジネスを手掛けている。だが、潜在顧客がこうした企業の売り込みを受けるときには、多くの場合、アプリケーションの特徴や機能がいかに素晴らしいかを聞かされるとオグレーディ氏は説明する。

 オグレーディ氏は、特徴や機能が素晴らしいとしても、そうした場で本来話されるべきことは、ベンダーがサポートプログラムとさらに重要なライセンスモデルに関して、プロプライエタリなベンダーやほかのオープンソースベンダーと、どのように差別化しているかだと指摘する。

 例えば、顧客はオープンソース電子メールベンダーと話すときには、単刀直入に、そのベンダーのライセンスがマイクロソフト製品やNotes/Dominoのライセンスとどう違うのかを尋ねるべきだ、とオグレーディ氏は語る。

 同氏は、ライセンスモデルは企業によって大きく異なるため、こうした質問は非常に重要だと語る。ユーザーごとや案件ごとにサポートサービスに課金する企業もあれば、サポート料金を前払いで請求する企業もある。

 「どの会社も製品で差別化しようとしている」と同氏。「だが、多くのオープンソースプロバイダーがなすべきことは、ライセンシングでの差別化に本腰を入れて取り組むことだ」

コミュニティーの力を判断する

 サポートを売るオープンソースベンダーは自社が扱うソフトについて、コードを寄贈する開発者のコミュニティーの規模と範囲を自慢するが、うのみにしてはならないと、デジタルマーケティング企業、BZプロダクションズのCIO、ロブ・ラキー氏は語る。

 オープンソースデータベースベンダーのMySQLや、シュガーCRMと取引しているラキー氏は、こうしたコミュニティーのメンバーのうち何人が、当該アプリケーションの改良に活発に取り組んでいるかを突き止めることが重要だと語る。

 ラキー氏は、開発者コミュニティーが強力であれば、バグ修正が迅速で、改良が頻繁に行われ、全体的なセキュリティが高いと説明する。

 「オープンソース企業を選ぶ場合には、扱っている製品のコミュニティーの力と、企業のビジネスモデルでそのコミュニティーがどれだけ生かされているかを、第一に検討しなければならない」(ラキー氏)

規模を交渉材料にする

 金融サービス大手、シティストリートのCIO、バリー・ストラスニク氏は、購買力とは何かを熟知している。

 ストラスニク氏はオープンソースベンダーと交渉する際、良い条件にしてくれなければ、アプリケーションを無料でダウンロードして、サポートのためにインドの会社を雇うと、彼らにストレートに言う。

 「いまだに一部のオープンソースベンダーが、CPU数に基づく料金でサポートライセンスを販売しようとするのにはあきれる」とストラスニク氏。同氏が率いる総勢500人の強力なITチームは、JBoss、Apache、Linuxを利用している。「だが、ベンダーがそうした料金制で全社規模のサポートライセンスを売り込んできても、サポートを必要として電話をかけるのはせいぜい2人しかいない、と約束して条件を見直してもらう」

長期的なコストはどうか

 オープンソース企業はオープンソースのコストの安さを宣伝したがる。だが、彼らは大抵、ソフト自体のコストにしか言及しない。

 OSBCの出席者は、ユーザー企業は移行やサポート、保守、トレーニングのための長期的なコストを常に検討し、把握していなければならないと指摘した。

 「物事を変えるのは厄介だ」とレッドモンクのオグレーディ氏。「運用コストの削減や機能の向上などにより、移行やサポートのコストをどう埋め合わせるのかをベンダーに尋ねてみるべきだ」

 BZプロダクションズのラキー氏は、CRMのような非常に専門性の高いビジネスアプリケーションの場合は、トレーニングについて尋ねることが特に重要だと語る。

 「揺りかごから墓場まで、必ずすべての段階を見なければならない」(同氏)

(この記事は2005年11月7日に掲載されたものを翻訳しました。)

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