環境に優しいデータセンターは、コストにも優しい:Case Study
企業にとって環境への配慮は優先順位の低い課題だが、それがコスト削減につながるとなれば話は別だ。環境とコストを両立したデータセンターを追った。
企業の経営陣にとって、自然環境への配慮は最終収益との関係によって決まる。
そのため、厳しい予算で新しいデータセンターの構築を計画しなければならないとなれば、環境に配慮した取り組みに関するコストは承認されにくいようだ。
だが、ボルティモアの建築/エンジニアリング会社RTKLアソシエイツの副社長、ダグ・マッコーチ氏によれば、効率的設計の金銭的メリットも考慮に入れれば、それほど受け入れがたい提案ではないという。新たに構築されたハイマークデータセンターを着想したのは同氏だ。このデータセンターは環境保護を特徴としており、例えば、同データセンターでは冷却システムとトイレ用の水として10万ガロンの雨水を利用するシステムを採用している。
勾配のある2階建て9万平方フィートのこの設備は最近、米国グリーンビルディング協会(USGBC)によるLEEDと呼ばれる建築評価プログラムでシルバー認証を受けたほか、アップタイムインスティテュートのTier-3レベルの認定も受けている。
企業の経営陣にとって、自然環境への配慮は最終収益との関係によって決まる。
そのため、厳しい予算で新しいデータセンターの構築を計画しなければならないとなれば、環境に配慮した取り組みに関するコストは承認されにくいようだ。
だが、ボルティモアの建築/エンジニアリング会社RTKLアソシエイツの副社長、ダグ・マッコーチ氏によれば、効率的設計の金銭的メリットも考慮に入れれば、それほど受け入れがたい提案ではないという。新たに構築されたハイマークデータセンターを着想したのは同氏だ。このデータセンターは環境保護を特徴としており、例えば、同データセンターでは冷却システムとトイレ用の水として10万ガロンの雨水を利用するシステムを採用している。
ハイマークはペンシルベニア州ピッツバーグのヘルスケア保険企業。同社では、1日に50万件の支払い請求を処理し、100以上の病院と1万5000社のヘルスケアプロバイダーをつないでいる。同社の勾配のある2階建て9万平方フィートの設備では、2万8000平方フィートのデータセンターをホスティングしており、この設備は最近、米国グリーンビルディング協会(USGBC)によるLEED(エネルギーと環境デザインに関するリーダーシップ)と呼ばれる建築評価プログラムでシルバー認証を受けたほか、アップタイムインスティテュートのTier-3レベルの認定も受けている。「これは、クジラを保護するといったレベルの話ではない。当社が非常に健全なビジネス手法を採っていることを顧客に伝えようとしているだけだ。企業社会において、これは非常に重要なメッセージだ。正直なところ、この3年間でわれわれに持続可能性(サステナビリティ)とコストについて尋ねなかった顧客はいない。“ここまでする価値はあるのか?”と聞かれる。だが、われわれは取締役会が理解できる表現で持続可能性を説明しようとしている」とマッコーチ氏。
USGBCによれば、シアトルなど一部の都市では、すべての新築ビルにLEED基準への準拠を義務付けており、多くの建築会社やインテリア設計会社は連邦事業の獲得で競争すべく、LEEDの認定スタッフを雇用したり、スタッフにLEED認定のトレーニングを受けさせたりしている。
マッコーチ氏はハイマークについて、次のように語っている。「持続可能性を求めることで、われわれはより良いビルを構築せざるを得なくなる。それはオーナーにとっても、大いにプラスなことだ。だがデータセンターは概して、エネルギーの大食家だ。その点は難題だった」
電力は大きな問題だ。データセンターは稼働中、冷却機器が休むことなく運転を続けている。家電でいえば、大きな冷蔵庫のようなものだろう。だがマッコーチ氏によれば、ある程度のコスト節約が可能であることは、ハイマークが導入した各種の方法でも実証されている。例えば、ロケーションが斜面であることもその1つだ。土地が斜面であるために不動産コストが低く、当初はマイナス面が危惧されたが、実際には、配管の長さの短縮などの形である程度のコスト削減が実現したほか、同一フロアに冷却水を流さずに済むことから、浸水の懸念も解消できた。ハイマークによれば、そのほかの斜面のメリットとしては、垂直輸送がエレベータ1機で済む点を挙げられるという。上階には斜面からアクセスできるからだ。
LEEDの認定は、ビル用地の「持続可能性」「水効率」「エネルギー/環境」「素材/リース」「屋内環境クオリティ」の5点スケールで与えられる。
ハイマークはバイク用のラックを設置したり、駐車場のためのスペースを用意するなど、これらのポイントの一部についてはごくシンプルな手段で稼いだ。一方では、代替燃料車向けの充電ステーションなど、目新しい取り組みにも挑戦した。
だが多くの企業にとって、この種の変更は急激な変化となる。シカゴのシステム・ディロップメント・インテグレーションのシニアコンサルタント、トム・コンドン氏によれば、こうした選択肢は依然としてリスキーなものととらえられている。
「環境保護の取り組みは依然として、非ミッションクリティカルなビル建築ではなかなか採用されずにいる。データセンターでの広範な採用にはしばらく時間がかかるだろう。エネルギー費の上昇に伴い、採用が加速する可能性はある」と同氏は語っている。
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