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訴訟で問われる弁護士と経営者の意思疎通:THE ESSENTIAL LAWYER
電子情報の扱いを定めた米連邦民事訴訟規則の改正で、CIOと弁護士の意思疎通が一層重要になっている。
こんな小話がある。
ある男が気球の上から地上にいる男に向かって「わたしはどうなってるんだ?」と叫んだ。地上の男はこれに答え「地上30フィートの気球の中だよ。この方角からあっちの方角に向かってる」。気球の男は言った。「あんたは弁護士だな。技術的に正確で、恐ろしく役に立たない情報を教えてくれるなんて。あんたに問題を伝えたのに、わたしの状況は全然良くならないよ」。弁護士は言い返した。「あんたは会社経営者に違いない。わたしが正確な情報を与えているのに、問題を全部わたしのせいにするとは」
実際には、意思疎通問題はCIOやその会社にとって笑い事ではないと、エリック・フェルプス弁護士は語る。米連邦民事訴訟規則の改正で、訴訟における電子的に保存された情報の責任が定められ、CIOと弁護士は同じ言葉を話さなければならなくなった。
「訴えられる可能性があるか」と問われれば、常にその可能性はあるとフェルプス氏は言う。同氏はマイケル・ベスト&フリードリヒ弁護士事務所のパートナーで、カタログ・オンライン小売業者、ランズエンドの元顧問弁護士。
この賭けは「途方もなく高くつく」とフェルプス氏。判決は事実に基づいて下される。事実は文書、電子メール、モバイル端末でのやりとりなど、あらゆる電子アーカイブに存在する。会社の情報資産をしっかり把握し、十分な情報を与えられて訴訟に臨む弁護士は、相手陣営に対して戦略的に極めて有利な立場にある。
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