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「SSLさえ使っていれば安全」は大きな誤解最後に侵入テストを行ったのはいつ?

本当に危険なのは、データが転送された後でWebサーバやアプリケーションの脆弱性を突かれてしまうことだ。そのための対策は万全だろうか?

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 Secure Sockets Layer(SSL)をめぐる誤解はあまり指摘されていないが、実はWebセキュリティに対するわれわれの見方をゆがめている。一般的に、Webサイトや電子商取引アプリケーションがどれだけ安全かを考える場合、「SSLが使われていればWebサイトとそのデータはいたって安全」ということになってしまっている。

 Webサイトのプライバシー/セキュリティポリシーの一部として、「このWebサイトは128ビット暗号化で保護されています」といった文を堂々と載せているのも見掛ける。Webセキュリティに真剣に取り組んでいる「証明」として、認証機関へのグラフィカルリンクまで置かれていることもある。

 コンピュータの使い方を紹介するラジオ番組で、ホストがSSLについて話すのも耳にする。Web上でのデータ保護についての一般的なアドバイスは、ブラウザに表示されるSSLの鍵アイコンを確認しながら操作することで、そうすればきちんと安全を確保できるという。

 業界の強力なマーケティングの結果として、またもや消費者とビジネスユーザーは思い込みを持ってしまっているように見えるのはわたしだけだろうか。それは、通信中のデータが暗号化され、接続先のWebサイトの真正性が確認されていれば、オンライン上の安全確保は万全だというものだ。

 気掛かりなのはそれだけではない。興味深いことに、開発者やDBA(データベース管理者)、そのほかのWebセキュリティに携わっている人々からも同様の話をよく聞く。「われわれはSSLを採用している。それがわれわれのサイトとデータのセキュリティ対策だ。また、コンプライアンスを確保してトラブルを避けるための対策でもある」というのが彼らの言い分だ。

 SSLが使われているからWebサイトは安全だというのは、ファイアウォールさえあればネットワークをインターネットから保護できるという古い俗説と似たり寄ったりだ。事はそれほど単純ではない。

 SSLを使うことで、転送中のデータ保護と認証の悪用防止が可能になるとは言える。WebサイトにSSLを導入すれば、フィッシング攻撃や、悪意あるユーザーによるARPポイズニングやトラフィック傍受の心配はほぼなくなる。こうしたメリットがWebセキュリティの向上につながることは確かだ。しかし、こうしたメリットが得られるからといって、Webサイトの安全確保や機密情報の適切な保護が徹底されていることには決してならない。

 本当に危険なのは、データが転送された後でWebサーバ、アプリケーション、データベースの脆弱性や弱点を突かれてしまうことだ。それらの例としては以下のようなものがある。

 皮肉にも、これらはすべて安全なはずのSSLトンネルを使って攻撃に悪用される恐れがある。

 あなたの会社が「SSLでセキュリティを確保している」とWebサイトで主張している場合や、あなたがビジネスでWeb関連のセキュリティをSSLに全面的に依存している会社と付き合いがある場合は、詳しいチェックを始めるのが賢明だろう。「最後に侵入テストやソースコード分析を行ったのはいつか」などといった厳しい質問をぶつけてみるとよい。

 なお、SSL自体は意図された機能を果たしている。新しいExtended Validation Certificates(EV証明書)により、Webユーザーはサイトの真正性をより厳密に確認できるようになっている。だが、それはまた別の問題だ。本当に脆弱性の影響を受けるのは、転送中のデータではなく静止状態のデータだ。データは静止状態にある時間がほぼ100%を占め、一般にこの状態が最もアクセスしやすい。

 技術的な管理が甘かったり、アプリケーションの作り方が粗雑だったり、ビジネスプロセスに欠陥があったりといった問題を抱えている場合、「SSLを使っていればWebセキュリティは万全」と誤解したままでいると必要な対策が一向に進まない。業界の宣伝文句をうのみにするのは禁物だ。まずはSSLが何に有効なのかを念頭に置かなければならない。

本稿筆者のケビン・ビーバー氏は、米アトランタにあるPrinciple Logicを経営する独立系情報セキュリティコンサルタントで、執筆、講演も手掛ける。情報セキュリティに関する6冊の著書および共著書がある。例えば、「Hacking For Dummies」、「Hacking Wireless Networks For Dummies」(以上Wiley刊)、「The Practical Guide to HIPAA Privacy and Security Compliance」(Auerbach刊)など。また、IT担当者が外出先でもセキュリティを学習できるオーディオプログラムセット「Security on Wheels」も制作、提供している。

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