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サプライチェーンリスク管理は多くの企業でまだ手薄:リスク管理ができなければ対応策は打てない
多くの企業は直面するリスクを自覚しているが、その危険性を定量化し、標準化されたプロセスを確立している企業は極めて少ない。
サプライヤーリスクの管理は、常にサプライチェーン管理(SCM)の要素の1つだ。だが、サプライヤーリスクは従来、サプライヤーの評価において、差し迫ったコストや効率に関する問題よりも軽視されてきた。
しかし現在、サプライヤーリスクは、サプライチェーンの中心的課題となっている。その背景には、グローバルアウトソーシングの活発化や、昨今の世界的な経済危機に加え、合理化されたサプライチェーンでは、混乱や遅延といったトラブルや、さらには自然災害によるトラブルも、許容される余地がほとんどないことが挙げられる。
不確実性やリスクが増大し、サプライチェーンが物流の遅延や品質および安全性の不備による商品のリコールといった問題に見舞われる可能性が高まっているにもかかわらず、企業はそれに対応する準備があまりできていない。
保険仲介とリスクコンサルティングを手掛ける米MarshがRisk & Insurance誌と共同で、北米のリスクマネジャー110人を対象に実施した調査では、「自社のサプライチェーンリスクが2005年以来、高まっている」と答えた回答者が4分の3近く(73%)に上る。
「自社のサプライチェーンが混乱した場合の財務的影響が増大している」と答えた回答者も、ほぼ同じ割合(71%)となった。また、回答者の半数が大きな懸念事項の1つとして、「サプライヤーのリスクや遅延」を挙げた。「物流の遅延や混乱」、あるいは「自然災害」を大きな懸念事項に挙げた回答者も、それぞれ40%に達した。
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