スリーパー、ストレージの自律階層化を管理するソフトウェアを提供開始:NEWS
米3PARの日本法人スリーパーは、ストレージの自律階層化を管理するソフトウェアの提供を開始した。きめ細やかなQoSで、コストとパフォーマンスのバランスを考慮したデータ移行を実現する。
米3PARの日本法人スリーパーは3月16日、ストレージ管理ソフトウェア「3PAR Adaptive Optimization」の提供を開始した。同社のストレージ製品「3PAR InServ Fクラス」「3PAR InServ Tクラス」に搭載することで、サブボリュームレベル(※)でのストレージ自律階層化を行う。
3PAR Adaptive Optimization(以下、Adaptive Optimization)は、InServのSSD(半導体ディスク)、FC(ファイバーチャネル)、SATAといった異なるストレージ階層を1つのボリュームとして再構成し、データのストレージ階層化を自律的にサブボリューム単位で実行する。これにより、ユーザーは最小限のSSDドライブ数でストレージのパフォーマンスを維持できる。3PAR InServシリーズにAdaptive OptimizationとSSDを搭載した場合、FC単体構成の場合よりも30%低いコストで同等サービスレベルを実現するという。
米3PAR マーケティング担当副社長 クレイグ・ヌネス(Craig Nunes)氏は、自律階層化の背景について、「SSDの1Gバイト当たりのコストはFCの10〜20倍。すべてのボリュームをSSD上に載せるにはまだまだコストが掛かり過ぎる。よって、パフォーマンスを重視する部分だけSSD上に載せる」と述べた。
ユーザーは、使用する個々のアプリケーションに合わせAdaptive Optimizationでストレージのプロファイルを設定する。各プロファイルは1つ以上のボリューム/アプリケーションをサポートし、各ボリュームはユーザーのポリシーにのっとってSSD、FC、SATAのうちの異なる階層からデータを持ってくることができる。
ヌネス氏は「Adaptive Optimizationの最大の特徴は、きめ細やかなQoS(Quality of Service)で、コストとパフォーマンスのバランスを考慮したデータ移行を実現することだ。つまり、ボリュームの重要度に合わせてストレージ階層を関連付ける。さらに自動化の設定はユーザー側で可能である」と述べた。ユーザーによりSLA(Service Level Agreement)が高く設定されているボリュームのデータはパフォーマンスを重視する「パフォーマンスグラディエント」としてSSD上に移動させ、一方でコスト重視のものは「コストグラディエント」として安価なSATA上に移動させる。例えば、季節需要で変動幅の大きい商品の受発注管理アプリケーションに対する処理では、パフォーマンスグラディエントを設定すれば繁忙期に迅速な処理が可能だ。Adaptive Optimizationは、ワークロードが通常レベルに戻るまでその状態を維持する。
階層の自律化においては、Adaptive Optimizationが各リージョン(サブボリューム単位)の1Gバイト当たりのI/Oを測定し、モニタリングすることで実現する。階層間の負荷のバランスを自動的に取りながらユーザー側で追加したポリシーも反映し、アプリケーション要求の変化に柔軟かつ継続的に対応していく。その間、システムの中断はないという。
ヌネス氏は「ストレージを階層化する製品はEMCの『FAST』などが既にあるが、プロビジョニングを備え、かつサブボリューム単位でデータの移動ができるストレージ自律階層化ソフトウェアはAdaptive Optimizationが業界初」と述べた。Adaptive Optimizationは、パートナーを通じて販売する。
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