マイクロソフト、Office 2010導入時の検証・トレーニングコストを削減する企業向け支援策:NEWS
マイクロソフトは次期Office製品に関する記者説明会を開催し、既存版との互換性検証やトレーニング・インストール作業に掛かるコスト削減策を紹介した。
マイクロソフトは3月29日、「Microsoft Office 2010」関連製品群に関する定例記者説明会を開催し、企業向けのOffice 2010導入支援策を紹介した。
同社が既存Officeユーザー向けに実施した「Office導入における課題」調査によると、多くの企業が“互換性の検証”“トレーニング”“導入・展開(インストール作業)”の3点に課題を感じているという。Office 2010ではそうした課題に対し、アーキテクチャの変更やUI(ユーザーインタフェース)の改善・改良が図られたほか、パートナー企業と連携した各種支援サービスなどが用意されている。
顧客環境に合わせた互換性検証
マクロ動作やレイアウト確認などを行う前バージョンとの互換性検証に対しては、これまで通りOffice導入にかかわる情報やホワイトペーパーを専用サイトで公開する。加えて、パートナー企業(大塚商会、CSK Winテクノロジ、日本システムディベロップメント)とともに2009年9月より開始した「Office導入支援センター」により、顧客環境に合わせた互換性検証サービスを提供する。
公開されるホワイトペーパーは、見直しが必要な項目など代表的な検証ポイントを記載したマクロ互換性のホワイトペーパー、混在/共存/移行時にレイアウトを維持するためのポイントを解説したレイアウト互換性のホワイトペーパー、導入全般について顧客環境に合わせた状況別の最適手法を解説したホワイトペーパーの3点。導入全般の技術情報を集約した専用サイト(仮称「Office 2010導入支援サイト」)は、製品出荷後60日以内に公開する予定としている。
なお同社では、同様の専用サイトをOffice 2007でも公開しているが、今回はOffice導入支援センターで実施したユーザー企業環境での検証結果を基に作成しているため、互換性対応にかかる時間・工数をさらに軽減できるという。
製品自体の改善としては、マクロ/レイアウト互換性の両項目でアーキテクチャが変更され、マクロ互換性ではセキュリティの強化やUIの変更、レイアウト互換性では重要度が高いとされる不具合が削除された。Office 2010 RC版を用いてOffice導入支援センターで検証した結果では、Office 2003からOffice 2007に移行する際の検証結果と比較してマクロ互換性のコストを約60%、レイアウト互換性のコストを約22%削除したという。
リボンUIをさらに使いやすく、無償のトレーニング用コンテンツも提供
担当者およびエンドユーザーへのトレーニングコスト対策としては、Office 2007から追加した新しいインタフェース「リボンUI」の操作性を向上させ、動画解説やノウハウ集をまとめたトレーニング用コンテンツを出荷とほぼ同時期から無償提供する。
同社ではリボンUIの効果として、Office 2007はOffice 2003と比較して作業時間が40%削減できたという調査結果(三菱総合研究所「Office 2007による生産性向上効果およびTCO評価」)を紹介した。今回はさらに使いやすく分かりやすいUIとして、ファイルタブを変更し、エンドユーザーが自由に機能カスタマイズできる機能、ファイル操作を一括処理できる機能を追加した。
無償コンテンツの主な内容は、アプリケーションごとに最低限知っておくべき内容を収録したA4サイズ1ページのクイックガイドと、操作方法と上達ノウハウを収録した動画、作業効率を向上させるテクニック(Tips)集の3点。これらを1枚のDVDに収め、希望者に送付あるいはWebを通じて提供する。コピーフリーなので、企業は各クライアントPCに同コンテンツをコピーしたりイントラネットで展開するなどして利用可能だという。
仮想化によるソフトウェア配布工数の削減
導入・展開時のコスト削減策としては、同社のアプリケーション仮想化技術「Microsoft Application Virtualization(App-V)」を用いたソフトウェアの配布、ランセンス認証キーの集中管理と保護を実現する認証システム「Volume Activation 2.0」への対応、多層防御によるセキュリティリスクの軽減で、潜在的なコスト削減が可能だとする。
またOffice 2010は、アプリケーション仮想化技術「App-V」への最適化を意識して開発された初のOffice製品。App-Vと連携することで、各クライアントPCへのOfficeインストール/メンテナンスなどを数クリックで実行でき、各作業にかかる時間・コストをソフトウェア版と比較して格段に削減する。SharePoint ServerやWindows Searchとの連携機能も備わっている。
Volume Activation 2.0に対応したことで、従来よりも強固なランセンス管理「KMS(Key Management Service)」が可能となった。エンドユーザーにラインセンスキーを公開せずにインストールが可能になるため、外部へのライセンス流出防止といったコンプライアンス面での効果も期待できる。
セキュリティ面では、開こうとしたドキュメントが信頼できるものかどうかの判断を仰ぐツールバーを、ドキュメントの上部に表示する機能を搭載。ツールバーの右部分にある“有効にする”ボタンをクリックするとドキュメントが操作可能になる仕組みで、一度有効だと判断されたドキュメントについては、2回目以降ツールバーが表示されない。
なお説明会では、Office 2010から新規に追加されたOutlook用のアドオン「Business Contact Manager(BCM)」も紹介された。BCMは小規模(従業員数20人以下)企業での利用を想定した顧客情報管理ツールで、米国および諸外国ではOffice 2003から提供されている。Outlook上で顧客情報を管理したり、営業活動の状況を分析・共有できる。マーケティング活動の最適化、イベントなどのスケジュール管理にも有効だという。β版は同社のWebサイトにてダウンロード可能(32ビット版/64ビット版)。
同社ではOffice 2010の今後の予定として、2010年5月に米国で出荷イベントを開催し、日本でも6月中に出荷を開始する意向を示している。
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