EMCとアイシロン、スケールアウトNAS新製品を発表 7月には事業統合:NEWS
スケールアウト型NASのハードウェア2機種と3つのソフトウェアの新バージョンを発表。EMCジャパンがアイシロン日本法人を7月1日付で事業統合することも発表した。
EMCジャパンとアイシロン・システムズ(以下、アイシロン)は4月20日、スケールアウト型NAS(Network Attached Storage)「EMC Isilon」の新製品を発表した。今回、新たに「Isilon S200」「Isilon X200」のハードウェア2機種を製品ラインアップに加え、「OneFS 6.5」「SyncIQ v3.0」「InsightIQ v1.5」の3つのソフトウェアをバージョンアップした。両社によると、音声や画像、PDFなどの大量の非構造化データをより効率的に管理できるという。
アイシロン マーケティング部長 武堂貴宏氏は、同社のNAS製品は「NASコントローラー一体型のアーキテクチャを採用しており、ディスク容量の増設と機能拡張を同時に実施できる」と、他社のNAS製品との違いを説明した。また、「最大10.4P(ペタ)バイトまで単一のファイルシステムおよびボリュームで管理でき、ビジネス要件の変化やシステムの拡張にも柔軟に対応する」と語った。
今回発表した新機種の1つであるIsilon S200は、同社初となる2.5インチのSAS、SSD(ソリッドステートドライブ)を搭載でき、武堂氏によると「大量のトランザクションを処理する性能重視のNAS製品」という。Isilon S200は最大140万IOPS(1秒間当たりに処理できるI/O数)、最大スループットが85Gバイト/秒、最大搭載ドライブ数は24。また、Isilon X200については「コストパフォーマンスを重視したNAS製品」(武堂氏)で、最大30万IOPS、スループットは最大33Gバイト/秒、3.5インチのSATAまたはSSDを最大12ドライブまで搭載できる。両製品とも3ノードから144ノードまで拡張可能。
両社はまた、3つのソフトウェアの最新バージョンを発表した。専用OSのOneFS 6.5では、UID/SIDマッピングが可能になるなど認証機能の強化を図り、CIFSプロトコルのネイティブサポートやSSD階層管理などの機能を追加した。また、レプリケーション機能を提供するSyncIQ v3.0では、スナップショット機能「SnapshotIQ」を完全統合。より詳細に変更部分の特定が実施でき、レプリケーション処理の時間の短縮化を支援する。さらに、データ分析ツールであるInsightIQ v1.5では、分析機能を利用したキャパシティープランニングなどを支援する。Isilon X200の提供価格は468万3000円から(最小構成時。OneFS 6.5を標準搭載)。
アイシロンを7月から事業統合
同時に両社は、アイシロン日本法人が7月1日付でEMCジャパンと事業統合することを発表した。米国EMCは2010年12月に米国Isilon Systemsの株式公開買付けを完了している。
EMCジャパンの代表取締役社長 山野 修氏は「2008年から2009年にかけて、ファイルベースのストレージ容量がブロックベースの容量を上回った」という米IDCの市場調査を挙げて、今後さらに非構造データを取り扱うファイルベースのストレージ市場は拡大すると説明した。その上で、多くのユーザーが「膨大なデータ増加への対応」と「システムのパフォーマンスと拡張性」を課題にしているとし、その最適な解決策として「柔軟性と拡張性を持つスケールアウト型NASの導入が進み、今後はスケールアウト型NASが主流になる」と強調した。
また、EMCではSAN(Storage Area Network)やユニファイドストレージ向けの「Symmetrix」「VNX」シリーズ、Webシステム向け「Atoms」などの既存製品群と共に、アイシロンの製品を非構造化データやファイルデータ領域をカバーする製品として位置付けているという。
アイシロンの代表取締役 江尾浩昌氏は、同社のNAS製品の導入分野について「これまではメディアやサービスプロバイダー、ライフサイエンス分野などが中心だったが、一般企業からのニーズも増えてきた」と説明する。その上で同社のNAS製品は、そうした「企業内に散在する多数のファイルシステムを1つのストレージに統合したいというニーズにも活用できる」としている。
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