ハイパーバイザーで発生する6つのトラフィック
ネットワークを最適化するためのハイパーバイザー設定チューニング
ハイパーバイザーのI/Oを向上させるために、ネットワーク帯域を制御する必要がある。各ハイパーバイザーのMTU(最大転送ユニット)の設定について説明している。
どのハイパーバイザーでも、ネットワークパフォーマンスを最適化する重要な設定が幾つかある。これらは、リソースの競合やオーバーサブスクリプションの回避を目的としている。
第一に、特定のネットワークトラフィックタイプに対応するNIC(ネットワークインタフェースカード)チーミングの設定が重要だ。一般的にほとんどのハイパーバイザーでは、以下の6つのタイプのトラフィックが発生する。
- 管理
- IPベースストレージ(選択時)
- ライブマイグレーション
- 高可用性ハートビート
- フォールトトレランス(VMware固有)
- 仮想マシン
トラフィックタイプごとに専用の物理NICでサービスを提供できれば理想的だ。冗長性が求められるトラフィックタイプの場合、専用の物理NICであれば簡単に二重化できる。実際、トラフィックタイプごとに専用の物理NICを割り当てることは、仮想化ベンダーによってベストプラクティスや推奨事項と位置付けられていることが多い。しかし、ハードウェアに十分な数のNICがない場合や、冗長構成ができないプラットフォーム(例えば、ブレード当たり2枚のNICしかサポートしない古いブレードベースのプラットフォームなど)を使っている場合は、構成を工夫する必要がある。
一部の管理者は、ライブマイグレーションのトラフィックを管理ネットワークに流している。管理ネットワークは帯域の使用率が低いからだ。しかし、VLANタギングを使っていても、セキュリティコンプライアンスも考慮して、ライブマイグレーショントラフィックは管理トラフィックから分離すべきだろう。ここで重要なのは、ハイパーバイザーが機能するためのネットワークトラフィック(管理、IPベースストレージ、ライブマイグレーションのトラフィック)が、仮想マシン(VM)に影響しないようにすることだ。このため、帯域使用量が特に多くなりがちなストレージトラフィックとライブマイグレーショントラフィックには、独立した物理NICを割り当てなければならない。
また、ジャンボフレームを有効にすることで、仮想スイッチを最適化することもできる。ジャンボフレームによって、ほとんどのモダンネットワークではMTU(最大転送ユニット)を最大9000バイトまで増やせる。このようにMTUの値を標準の1500バイトよりも増やせば、仮想でも物理でも、全てのトラフィックタイプのネットワークパフォーマンスを最適化するのに役立つ。同じ量のデータをより少ないフレームで送信できるからだ。送信されるフレームが少なくなれば、オーバーヘッドが減少し、その結果としてTCP/IP承認パケットも減少する。
だが、MTUの値を安易に増やしてはいけない。実効を上げるには、全てのコンポーネント(物理スイッチ、仮想スイッチ、VM)を適切に構成する必要がある。SSLのようなプロトコルを使って安全に通信しようとする場合、MTUの値の設定に問題があると、全く通信できなくなる恐れがある。
MTUの設定
ハイパーバイザーは、さまざまな方法や場所でMTU設定を構成できる。例えば、VMwareの標準仮想スイッチ(vSwitch)を使っている場合、コマンドラインツールの「esxcfg-vswitch」を使ってMTU値を設定する。VMwareの分散仮想スイッチ(dvSwitch)を使っている場合は、その設定ダイアログボックスでMTU値を設定できる(図1)。
Hyper-Vでは、MTU設定はローカルエリア接続やNICチームのプロパティに保持されており、基本的にネットワークカードのベンダーによって制御されている(図2)。
ネットワークパフォーマンスを最適化するための他の選択肢として、NICチーミングの使用に関連するアルゴリズムの改良につながる設定を有効にすることが挙げられる。NICチーミングの最も一般的な使用目的は、ネットワークの冗長性を確保することだ。NICが異なるレイヤー2スイッチに分かれている場合は特にそうだ。
しかし、多くのハイパーバイザーでは、ネットワークレイヤーの最適化の改善よりも、互換性を重視したチーミングポリシーがデフォルトで採用されている。ほとんどの人は、NICチーミングによって使用可能な帯域が2~3倍に増えると考えるが、多くのハイパーバイザーではそうはならない。
採用されているポリシーの内容は、ハイパーバイザーがどのように開発されたかに大きく左右される。デフォルト設定は変更する必要があるかもしれない。例えば、VMwareのデフォルトでは、「発信元の仮想ポートIDに基づいたルート」というポリシーが採用されている。このポリシーでは、トラフィックのロードバランシングのために、NICでラウンドロビンが実行される。
このポリシーは、多様なネットワーク環境で優れた互換性を発揮するが、必ずしも最適とはいえない。通常は、IPデータを使うロードバランシングポリシーに切り替えるのが最も得策だ。
物理スイッチの最適化
物理スイッチが適切なプロトコルと標準をサポートしているかどうかを注意して確認しなければならない。例えば、VMwareの「IPハッシュに基づいたルート」というポリシーを使う場合、物理スイッチでIEEE 802.3のリンクアグリゲーション機能が有効になっている必要がある。VMwareでは、その設定は仮想スイッチのプロパティで指定する(図3)。
Hyper-V(図4)は、ベンダーのネットワーク設定によって規定される。興味深いのは、NICベンダーから提供される各社固有のプロプライエタリなオプションが豊富に利用できそうなことだ。例えば、Intel製NICでは、同社固有の仮想マシンロードバランシング(VMLB:Virtual Machine Load Balancing)のオプションが提供されている。
それぞれ新しいバージョンであるVMware vSphere 4.1やCitrix XenServer 5.0を見ると、モダンなハイパーバイザーには、ハイパーバイザーのネットワークI/O帯域を制御する設定が用意されていることが分かる。この制御機能は新しいが、こうした進化の重要性はまだ不明だ。
一部の顧客は、物理サーバ以外で利用できる方法、つまり、新しい10/20Gbpsハードウェアに組み込まれており、管理者がハイパーバイザーのバージョンやベンダーとは無関係に帯域割り当てを制御できる方法を使ってIOPS制御を行いたいと考えるかもしれない。構成を変更することで、使用可能な帯域が2倍や3倍に増えるとは限らない。だが、その対象となるハイパーバイザーの全体的なI/O能力は向上するだろう。
本稿筆者のマイク・ラベリック氏はVCP(VMware Certified Professional)の資格を持つエキスパートで、受賞経験も有する。2003年からVMwareコミュニティーにかかわっている。VMwareフォーラムの管理者ならびにロンドンのVMwareユーザーグループの運営委員を務める。仮想化をテーマとするWebサイト/ブログ「RTFM Education」を運営する。同サイトでは、VMware ESX/VirtualCenterユーザー向けに無償のガイドとユーティリティを提供している。
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