TIS、IFRSの固定資産管理対応支援でソリューションを提供:【IFRS】Oracle EBS向けテンプレートを開発
日本の会計基準で既に適用されている資産除去債務への対応を進めている小売や装置産業の企業を主なターゲットにする。
TISは9月28日、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の固定資産管理に対応した「IFRS 固定資産管理ソリューション」を10月1日に提供開始すると発表した。保有する固定資産が多く、日本の会計基準で既に適用されている資産除去債務への対応を進めている小売や装置産業の企業を主なターゲットにする。
IFRSの会計基準の中でも固定資産管理は日本企業にとってハードルが高いといわれている。日本基準の固定資産が税法ベースで処理されることが多いのに対して、IFRSは経済実態に合わせた処理が必要。減価償却方法や耐用年数の変更、減損の戻し入れ、コンポーネントアカウンティングなどへの対応が必要といわれる。日本オラクルのアプリケーション事業統括本部 担当ディレクター 桜本利幸氏は「固定資産管理は業務やビジネスに直結して影響度が大きい」と指摘する。
TISが提供する固定資産管理ソリューションはコンサルティングサービスとシステム構築サービスで構成する。コンサルティングサービスは企業の固定資産管理対応を支援する内容で、「論点抽出」「影響調査」「試算」「検討」で構成する。TISが開発したIFRS導入方法論に基づくヒアリングシートや導入手順書、要求機能一覧を利用し、企業の対応方針決定を支援する。アウトプットとしては固定資産管理の会計方針書、システム化の要件定義書を作成する。「会計方針に基づいて、トピックごとのあるべき会計仕訳情報を詳細ステップごとに整理する。システム化要件、運用検討に活用できる」(TIS)
システム構築サービスは、コンサルティングサービスの結果を受けて実際に固定資産管理システムを構築する内容で、ERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」(以下、Oracle EBS)の固定資産モジュールに対応したテンプレートを提供する。テンプレートは日本オラクルが開発した日本向けの追加ソリューション「Oracle Japan Add-on Localization」とデータ照会ツール「Oracle FA Web Inquiry」、TISが開発したアドオン機能で構成する。
このテンプレートを使うことで、Oracle EBS内に固定資産管理のIFRS台帳を構築できる。このIFRS台帳をベースに、日本基準台帳や法人税台帳、償却資産税台帳を作成可能。日本基準台帳からは仕訳を生成して日本基準の総勘定元帳にデータを渡すことができる。また、法人税台帳からは減価償却費関係の「法人税別表十六」を出力できる。償却資産税台帳からは「償却資産税申告書」を作成できる。テンプレートにはIFRS導入後の固定資産管理、リース資産管理の各種業務に関する30以上の業務プロセスフローも含まれる。TISは他のERPパッケージに対して独自テンプレートを提供することも検討している。
コンサルティングサービスの提供期間は最短で2カ月。価格は300万円から。システム構築サービスは最短4カ月で、価格は2000万円から。TISは2017年までに50社への提供を目指す。
TISのITソリューションサービス本部 ITソリューションサービス事業部 事業部長の中村清貴氏は、2015年のIFRS強制適用開始が延期された中でも「グローバル企業を中心にIFRSに取り組むという方針には変わりはない」と説明した。これまでIFRSの制度対応を目指していた企業も、強制適用が2017年以降とみられることから、IFRS対応と同時にITシステムを使った経営管理の高度化などに取り組む時間的余裕ができたとして、ITシステム対応の深掘りを行っているケースが多いという。TISはこれまでIFRSの個別論点に対応したソリューションとして「金融商品会計ソリューション」の提供を開始している。今回の固定資産管理ソリューションはその第2弾で、連結会計についてのソリューションも近く提供開始するという。
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