2011年、国内IT投資の主役はスマートフォンに――IDCの調査結果から:NEWS
2011年のスマートフォン市場規模は、前年比34.5%増の1兆1915億円。2014年にはクライアントPCの市場規模を上回るとIDC Japanは予測する。
IDC Japanは10月25日、最新の国内製品別IT市場予測を発表した。2011年4〜6月の実績値や最新の景気動向を踏まえて、2011年8月に発表した速報値を一部修正した。2011年の市場規模予想で修正幅が最も大きかったのはハードウェア市場で、8月時点では2010年比1.1%減としていたものを、1.0%増の5兆4936億円へと上方修正した。
ハードウェア市場の予想値を上方修正した背景はスマートフォンの急速な普及があると、調査を担当した同社グループディレクターの和田英穂氏は強調する。「スマートフォン市場はハードウェア市場のみならず、国内IT投資をけん引する存在になった」。スマートフォンの市場規模は、2010年の実績値である8858億円から、2011年は2010年比34.5%増の1兆1915億円、2012年にはそこから17.6%増加して1兆4013億円になると予測する。
2011年に2010年比111.2%増の大幅成長を見込むのが、タブレット端末と電子ブックリーダーの市場だ。この市場の2011年の規模は、2010年の346億円の2倍以上となる714億円。2012年はそこから11.6%増加して814億円に達すると予測する。だがスマートフォン市場に比べると市場規模としてはまだ小さく、「現時点では、IT市場全体に与えるインパクトは微々たるもの」。
スマートフォンの市場規模が、クライアントPCのそれに迫りつつあるのも注目点の1つだ。2011年の予測値で比較すると、クライアントPC市場は1兆5946億円なのに対し、スマートフォン市場は前述の通り1兆1915億円。IDC Japanは「両者の市場規模は2014年には逆転する」と見ており、2014年にクライアントPC市場が1兆2935億円に縮小する一方、スマートフォンは1億3777億円に達すると予測する。
国内IT市場全体で見ると、2010年実績値が12兆6785億円、2011年予測値が2010年比1.6%減の12兆4797億円、2012年予測値が2011年比2.8%増の12兆8307億円。2011年は東日本大震災の影響で市場は縮小すると予測するが、「サプライチェーンが想定よりも早く復旧したことや復興需要の高まりなどから投資意欲が戻り、2012年の投資は上向く」と見る。
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