DRツールは特効薬にあらず
復旧プランで異なる 仮想ディザスタリカバリツールの選択基準
以前はコスト面で難しかったディザスタリカバリ(DR)だが、仮想DRツールを利用することで実装しやすくなった。しかし、ツールの特性とDRプランのニーズを把握して導入する必要がある。
仮想ディザスタリカバリ(DR)ツールはDRに関する障壁を引き下げてくれる。だが効果的なDRプランには、分析的かつ技術的な難しい判断も必要だ。
別の言い方をすれば「DRツールは特効薬にあらず」ということだ。むしろ、堅牢で効果的なDRプランを作成するには、複数の仮想DRツールを利用したり、どのような障害に備えるのかを決定したり、災害後にユーザーにどのようにサービスを展開するのかを判断したりなど、かなりの手間が必要となる。
DRのニーズは企業ごとにさまざまだろうが、以下の仮想DRツールと戦略は全てのIT部門にとって検討の価値があるはずだ。
市販の仮想DRツール
主要ベンダーの中には、米VMwareの「Site Recovery Manager」のように独自の仮想DRツールを提供しているところもあれば、DRのニーズを満たすリファレンスアーキテクチャを提供しているところもある。例えば、米Microsoftの仮想化技術「Hyper-V」では、マルチサイトのWindowsフェイルオーバークラスタ上に仮想ホストを構築できる。また米Citrix Systemsは「XenServer Pool Replication」の他、バックアップやリカバリのための各種のアプローチで同様の機能を提供している。
VeeamやAppAssure、Acronisといった米サードパーティーベンダーは多様な仮想DRツールを提供している。その多くはバックアップ機能とリストア機能の強化に重点を置いたものだ。こうしたツールはデータと仮想マシン(VM)の複製を作成し、災害に備えて離れたサイトに保管するようになっている。
NeverFail、Doyenz、Terremarkの各社が提供しているのは、災害発生からITサービス復旧までの時間短縮を目指す製品だ。これらの製品ではVMとその作業負荷をフェイルオーバーできる。仮想ロックステップ方式で全てのITサービスの複製を保存しておくことで、問題が発生した瞬間からサービスをリストアできるようになっている。
EMCやDell、Hewlett-Packard(HP)などの製品の中には、ストレージに重点を置き、プライマリサイトからセカンダリサイトへのストレージの複製を扱うものもある。ご想像の通り、災害から迅速に復旧するためにはデータを2カ所に置いておく必要があり、データの移動には慎重な管理が必要だ。
DRプランを策定する
こうして豊富な選択肢が提供されているにもかかわらず、多くのIT部門はそのうちのどれか1つを選び、「われわれにはこのDRツールが最適だ」と断言することができずにいる。DRプランを策定する際には、「どのような災害に対して備えるか」と「どれだけ迅速にサービスを復旧させなければならないか」を判断する必要がある。こうした問題を検討した上で、結局、多くのIT部門は複数の仮想DRツールを導入しているのだ。
仮想ホストが1台停止したり、サーバラック全体が停止したりした場合にVMを保護するためのフェイルオーバー機能にしても、実に数多くの選択肢が提供されている。こうした災害からデータセンターを保護するためには、仮想プラットフォームのハイアベイラビリティ(HA)機能を使うというシンプルな方法もある。ただしこの選択肢を用いるにしても、VMを移行するための十分な予備のホストリソースが必要となる。
HA機能にはもう1つ、共有ストレージという弱点もある。VMwareやCitrix、Microsoftなど主要な仮想ベンダーの大半は、ストレージインスタンスを1つと想定した共有ストレージベースのHAツールを提供している。そのため、HA機能はホスト停止後のVMは保護するが、ストレージの停止を防ぐ機能は備えていない。
ストレージ停止の対策にはコストが掛かる。別のサイトにデータのコピーを保存する必要があるが、そのためにはデータ複製技術の他、追加のストレージとネットワーキングも必要だ。幸い、エンタープライズクラスの優良なストレージでは100%のアップタイム保証が提供されている。
DRには事前の計画が必要ということは、恐らく皆さんもご存じだろう。もっと具体的に言えば、DRプランを首尾よく遂行するためには、オンラインにサービスを復旧させる順番を慎重に調整する必要がある。プロダクションデータセンターにDR環境をフェールバックするためのステップも重要だ。なお、こうしたステップは紙と鉛筆を使って計画することになるだろうが、アクティビティの実装にはコアサービスや優先的な作業をオンラインに復帰させるためのソフトウェアが必要だ。
万一災害が起きたら
最後になるが、DRツールの中には従業員がインターネット経由で接続できるようにするネットワーク中心のものもある。新しいデスクトップ環境を作成するデスクトップ中心の製品を導入するという方法もある。そのデスクトップ環境はその後、事業活動を実行するための暫定的な拠点となる。どれが適切な選択肢かは、企業と従業員のコミュニケーション方法によって違ってくる(関連記事:在宅勤務で災害に強い業務体制を作る! 使えるテレワーク製品一覧)。
DRプランと言えば、かつては各サーバをバックアップサーバで補強し、双方のマシンをしっかり隔離しておくことを意味した。だがよほど大規模な企業でもなければ、そのためのコストは擁護できるものではなかった。
今では仮想化のおかげで、大企業でなくともDRを実装できるようになっている。ただし、DRが技術的かつ分析的なスキルを要する取り組みであることはどんな企業にとっても同じだ。
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