プライベートデータセンターの欠点はコストの高さ:プライベートデータセンターは絶滅危惧種か?(前)
高密度化と高温化が進むデータセンター。大半の企業にはデータセンターを自ら運営する余力はないという指摘もある。自社所有とコロケーションサービスを利用する場合のコストを比較してみた。
企業のIT部門の中には、プライベートデータセンターの建設運営コストを正当化できるところもあるだろう。だが近年は、コロケーション施設やサービスプロバイダーからスペースをリースする企業がますます増えている。
ソーシャルゲーム大手の米Zyngaもその1社だ。同社はオンラインゲームの運営に何万台ものサーバを使用している。事情に詳しい情報筋によると、同社は2011年、パブリッククラウドからプライベートクラウドへの移行を決めたが、その際、データセンターを建設せず、コロケーション施設からスペースをリースすることにしたという(関連記事:簡単なようで意外と難しい、ホスティングサービスの選び方)。
もう1つの例としては、マネージドホスティングとクラウドコンピューティングサービスを手掛ける米Rackspaceがある。RackspaceのCTO(最高技術責任者)、ジョン・エンゲイツ氏によると、同社には所有しているデータセンターが幾つかあるが、「近年、地理的範囲の拡大を図る際には、ホールセール(卸売り)型のコロケーションサービスに頼ることが多くなってきている」という。
Fortune 500企業でもこうした傾向は見られる。例えば、保険大手の米Unumは2012年4月、T5 Data Centersからアトランタのホールセール型データセンターのスペースをレンタルする方針を明らかにしている。
「近年、大半の企業にはデータセンターを自ら運営する力はないのではないだろうか。全ての面で高密度化と高温化が進み、冷却の負荷は平均的な組織には対応しきれないものになっている」と独立系ITアナリストのカート・マルコ氏は5月にラスベガスで開催されたカンファレンス「Interop Las Vegas 2012」で語っている。
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