電子カルテのタブレット端末対応が注目される理由:【連載コラム】医療ITの現場から
電子カルテのタブレット端末対応が注目されている。医療現場のニーズや政府が主導する医療提供体制の再編など、医療ITを取り巻く幾つかの変化がその背景にある。
米国の内科医は75%、欧州の医師の26%がiPadを所有
2010年のiPadの発売以来、医療の現場でiPadをはじめとするタブレット端末を活用する動きが進んでいます。現在、多くの医師がタブレット端末を保有しています。米調査会社のManhattan Researchは2012年に「米国の内科医の75%がiPhoneやiPad、あるいはiPodなど、Apple製品を所有している」という調査結果を発表しています(関連記事:内科医の75%がAppleユーザー 米国医療機関注目のiPhone/iPad管理ツール)。また同社が欧州地域で実施した調査では「医師の26%がiPadを保有している」という結果が出ています。
日本国内でも、医療の現場でiPadやAndroid端末などを利用するシステムの開発が進められています。岐阜県の救急医療体制支援システム構築プロジェクト「GEMITS」では患者情報読み取り端末としてAndroid端末を導入したり、脳卒中の救急医療をサポートする遠隔画像診断治療補助システム「i-Stroke」ではiPad/Android端末といったタブレット端末を利用するなど、その活躍の場はさらに広がっています。
関連記事
- スマートフォンの利用で患者治療の効率はどう改善されるか
- 物言えぬ患者の代理人となる医療情報カード「MEDICA」
- 2012国際医用画像総合展に見る、モバイル端末利用や地域医療連携の広がり
- モバイル端末導入による医療現場の変革
タブレット端末の利用ニーズにも変化が
医師がタブレット端末を利用するシーンは、主に以下の4点が考えられます。
- 情報検索:インターネットで公開されている学術論文や医薬品などの情報検索に利用
- 患者説明(コミュニケーション):患者に対する説明を行い、医師と患者のコミュニケーションを促すために利用
- 電子カルテなどの医療情報の閲覧や入力:電子カルテや院内システムなどと連動し、その情報の閲覧や入力を行う
- 地域の医療機関との情報連携:地域医療連携や在宅医療・介護など、医療機関同士の情報連携・共有ツール
現在は(1)情報検索、(2)患者説明での利用が多いですが、今後は(3)情報の閲覧や入力、(4)地域の医療機関との情報連携での利用が増えることが予想されます。政府が進める医療提供体制の改革や現場のニーズなどがその背景にあります。
関連記事
- 医学文献の検索・管理に役立つiPad/iPhone対応アプリ「PubMed CLOUD」
- 積極的な治療参加に活用! 患者説明用iPadアプリ「IC動画 HD」
- iPad/iPod touchによる電子カルテ操作を低コストで実現 〜北海道社会保険病院
- 情報共有で在宅医療の質の向上に取り組む「睦町クリニック」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.