不正Webサイトを1日約9500件遮断、誤検知はほぼなし
GoogleのSEO攻撃対策「Safe Browsing」は効いたのか
不正Webサイトを検索結果の上位に表示させ、マルウェア感染などを図る検索エンジンポイズニング。その対策として米Googleが2007年に開始した「Google Safe Browsing」の効果を検証する。
検索大手の米Googleは、フィッシング詐欺やマルウェア対策の一環として1日当たり約9500件の不正サイトを新たに検出・遮断していると、2012年6月にまとめた統計で明らかにした。
Googleが2007年に開始した「Google Safe Browsing」は、同社が悪質であると判断したWebサイトへのアクセスを遮断するプロジェクトだ。悪質だと判断されたWebサイトをユーザーが閲覧しようとすると、「このサイトはマルウェアに感染している可能性があります」「個人をだましてアカウント情報を盗もうとしています」といった警告メッセージを表示する。
Googleのセキュリティ担当者であるニールス・プロボス氏は、Google Safe Browsingについて解説したブログで次のように述べている。「悪質であると判断されるWebサイトは、本来は無害なWebサイトがマルウェア作者に改ざんされたか、最初からマルウェア配布やフィッシング詐欺の目的で開設されたかのいずれかだ。毎日多数のWebサイトについて警告を出しているが、われわれは高い品質を追求しており、誤って警告を出すケースはほんの一握りしかない」
Google Safe Browsingの目的は、検索結果が汚染される検索エンジンポイズニング(注)のリスクを低減することにある。技術に精通したサイバー犯罪集団は、Googleの検索エンジンアルゴリズムを利用して悪質なWebサイトを最適化。特定の用語が検索された場合に、悪質なWebサイトを検索結果の上位に表示させるようにしている。
※注:ポイズニングとは、機械的に検索エンジン最適化(SEO)を図り、検索結果の上位に悪質なWebサイトを表示させること。ブログのコメント欄に、正規Webサイトと悪質なWebサイトを混在させた大量のURLを書き込むなどの手口がある。
検索エンジンポイズニングに助長されて横行したのが、偽のウイルス対策ソフトウェアだ。これは、システムがマルウェアに感染していると被害者に思わせ、トロイの木馬が検出されたと偽の警告を発し、削除のための代金を請求する。
現在、悪質な可能性のあるWebサイトとしてGoogleに検出されると、検索結果に警告が表示される。プロボス氏によると、1日当たり1200万~1400万の検索結果に対してWebサイトの警告が表示されているという。
マルウェアやフィッシングを横行させているのは、主に改ざんされたWebサイトだと専門家は指摘する。2011年は、Webサイトを閲覧しただけでマルウェアに感染する「ドライブバイダウンロード攻撃」が急増した。攻撃者が「Blackhole Exploit Kit」などの攻撃用ツールキットを利用してWebサイトを改ざんし、容易に攻撃を仕掛けることが可能になったからだ(Blackhole Exploit Kitの使用例については「狙われるAdobe製品とJavaの脆弱性」を参照)。
米Hewlett-Packardが2012年4月にまとめた調査によると、カスタムWebアプリケーションのコーディングエラーは広範にわたっており、攻撃自動化ツールを利用する攻撃者に常に狙われている。米IBMは、攻撃自動化ツールがコーディングエラーを突くと、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング攻撃が可能になると説明する(攻撃自動化ツールを利用したSQLインジェクション攻撃については「自動SQLインジェクション攻撃への新たな防御戦術」を参照)。ただし、公表されたWebアプリケーションの脆弱性の数と、それを標的とするエクスプロイト(攻撃コード)の数は2011年には減ったとIBMは報告している。
膨大な数のユーザーを抱えるGoogleは、常にサイバー犯罪の標的とされてきた。Webサイトパフォーマンス向上とセキュリティ対策を手掛ける米CloudFlareは2012年6月、Google Apps APIの脆弱性によりアカウント情報が盗まれ、同社顧客の1社が攻撃を受けたと発表した。攻撃者はこの脆弱性を突いてCloudFlareのメールシステムに侵入し、メールをTwitterアカウントに転送してGoogle Appsのアカウント復旧プロセスの認証を通過したという。Googleは脆弱性があったことを認めて修正した。
GoogleのGmailも常に標的とされている。同社は国家が加担する攻撃の標的になっていると疑われるユーザーに対し、警告を出すと発表した。この警告はスピアフィッシングと標的型のマルウェア攻撃を減らすのが狙いだと説明している。
Googleはさらに、携帯電話や別の電子メールアドレスを使って違う場所からログインした場合、ユーザーが本人かどうかをチェックする仕組みも追加した。
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