特集/連載
誰も触れないExcelファイルがなぜ生まれるの?:【IFRS】経理業務とExcelの深い関係【第2回】
財務経理の現場で使われているExcelファイルは容易に「作成者自身でしか変更・保守できない」ファイルになってしまう。いわゆる「ブラックボックス化」だ。この問題を避けるにはどうすればいいのか?
財務経理といえばExcel、Excelといえば財務経理。といっても過言ではないぐらいに、財務経理業務と「Microsoft Excel」に代表される「表計算(スプレッドシート)ソフトウェア」とはゆかりが深い。
この深い関係はいつから始まったのか? 財務経理業務へのスプレッドシートの活用はこれからも続くのか? 近い将来に到来するIFRS(国際財務報告基準)への対応も踏まえ、経理業務とExcelの関係について概観します。なお、以下の文中における見解は特定の組織や団体を代表するものではなく、筆者の私見です。
Excelで作る業務資料が「ブラックボックス化」しやすい理由
連載第1回「私たちがExcelをこれほど使う理由」では、財務経理業務にExcelが深く入り込んでいる現状とその重要さについて振り返りました。ここではもう少し踏み込んで、Excelを業務で利用することで生じるリスクや対処法を考えてみたいと思います(なお、Excelの業務リスクは財務経理業務に限定されませんが、ここでは財務経理業務に話を絞ります)。
Excelは表計算(スプレッドシート)ソフトウェアとして多くの機能を持っており、使いこなし方次第で非常に強力で便利なツールになります。一方で、Excelで作成した業務資料は以下の要因により「ブラックボックス化」つまり「作成者自身でしか変更・保守できない」ファイルになるリスクを抱えています。
- ファイル作成の自由度が高い
- 表示されている情報と背後にあるビジネスロジックの関係が見えにくい
- 仕様書や設計書が作成されない
- 業務処理がマニュアル化されにくい
以下、それぞれの要因について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.