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FedExの社内コラボレーションシステム担当者に聞くゲーミフィケーション活用ユーザーの思考を根本から切り替えるには

FedExでは30万人の従業員が活用する新しいソーシャルコラボレーションプラットフォームの立ち上げに、ゲーミフィケーションを活用したという。システム構築担当者が活用の勘所を語る。

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 2008年の年末、ブライアン・バーリンガー氏は職を失い、当時、米国の労働者人口の7%以上を占めていた失業者の仲間入りをした。現在、同氏は米FedExにおいて、世界220カ国に散らばる同社の30万人の従業員のための新しいエンタープライズソーシャルコラボレーションプラットフォームの立ち上げを指揮している。

 バーリンガー氏はどのようにして、他に何百万人といる失業中のプロフェッショナルとの競争から抜け出し、エンタープライズコラボレーションプラットフォームの導入担当マネジャーとしてFedEx Servicesに雇われることができたのだろうか? 同氏は自らの得意分野を結集させ、活用したのだ。その得意分野とは、「行動学的研究」「ソフトウェア開発」「ゲーム」「ソーシャルネットワーキング」の4つだ。

 ベテランゲーマーであるバーリンガー氏がゲームをするようになったのは、まだMicrosoftのXboxなど存在せず、Atariがゲーム市場を支配していた時代だ。同氏はゲームのおかげで達成感を感じることができること、ゲームで競争心が養われること、ゲーマーのネットワークでは情報交換が活発に行われているということをよく知っていた。そこでバーリンガー氏が考えたのは、ゲームの手法をゲーム以外の分野に応用する「ゲーミフィケーション」の心理学を企業の世界に適用することだった。ソーシャルネットワークを構築すれば、企業は従業員に個々の知識を解き放たせることができるのではないだろうかと考えたのだ。なぜならソーシャルネットワークには、知識を自分だけのものにしておくより、皆と共有しようという気持ちを起こさせる作用があるからだ。

 さらにバーリンガー氏は、ソーシャルネットワーキングの威力を身をもって体験している。失業してから半年後、同氏は初めてコンサルティングの職(顧客対面型Webアプリケーションの設計と展開)に就けたのだが、それはLinkedInやFacebookやTwitterなどでソーシャルコラボレーションの力を学び、マスターしたおかげだった。実際、同氏を雇った会社はLinkedIn経由で連絡を取ってきたという。

 だが、ゲーミフィケーションとソーシャルコラボレーションについてのバーリンガー氏の理論が真価を問われたのは、その次に就いたコンサルティングの仕事だった。その内容は、あるソフトウェア企業向けの大規模なソーシャルコラボレーションプロジェクトだったが、同氏はこの仕事を通じて、ゲーミフィケーションの心理学を企業に応用する際のポイントや問題点を明確にすることができた。

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